~ 「企業における2026年の年賀状」調査 ~
年賀状の投函シーズンに入ったが、取引先との有効なコミュニケーションツールだった年賀状を出す企業は、36.0%にとどまることがわかった。
一方、2026年の年賀状を出さない企業は64.0%だった。内訳は「昨年も出しておらず、2026年も出さない」が52.6%、「昨年は出したが、2026年は出さない」が11.3%だった。
もともと年賀状を出す文化のない企業も増えており、企業の“年賀状じまい”が加速しているようだ。
東京商工リサーチ(TSR)は12月1~8日、会社経費で取引先に年賀状を出すかアンケート調査を実施した。「2026年の年賀状を出す」と回答した企業は36.0%にとどまり、3社に1社にとどまることがわかった。
「2026年の年賀状を出す」と回答した企業は、大企業34.6%、中小企業36.1%で、中小企業が大企業を1.5ポイント上回り、会社の規模による差はわずかだった。
2024年10月、通常はがきの郵便料金が63円から85円に値上がりし、費用面での負担が増加した。例えば、会社で1,000枚の年賀状を購入すると、これまでの6万3,000円が、現在は8万5,000円の「費用」がかかる。印刷代、担当社員の手間まで考慮すると、さらに費用は嵩む。また、年賀状に一筆添えることも「手間」と「負担」に感じる企業が増えたとみられる。
※本調査は、12月1~8日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答6,306社を集計・分析した。調査は今回が初めて。
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。
Q1. 貴社では会社の費用で取引先に対して、2026年の年賀状を出しますか?(択一選択)
「2026年の年賀状を出す」企業は36.0%
全企業で「2026年の年賀状を出す」と回答した企業は36.0%(6,306社中、2,270社)で、約3割の企業が年賀状を出す予定だ。
一方、「2026年の年賀状を出さない」は64.0%(4,036社)で、内訳は「昨年も出しておらず、2026年も出さない」が52.6%(3,322社)、「昨年は出したが、2026年は出さない」が11.3%(714社)だった。
規模別で「2026年の年賀状を出す」は、大企業34.6%(496社中、172社)、中小企業36.1%(5,810社中、2,098社)で、中小企業が1.5ポイント高かった。
業種別 印刷・同関連業が年賀状を出すことに最も意欲的
Q1の回答を業種別で分析した(回答母数10以上)。「2026年の年賀状を出す」と回答した業種は、紙を扱う頻度の多い印刷・同関連業が60.3%(53社中、32社)と、業種別では最も高かった。次いで、広告業55.0%(20社中、11社)、織物・衣服・身の回り品小売業52.9%(17社中、9社)と続く。
一方、「2026年の年賀状を出さない」は、個人の消費者に対する商売を中心に行っている業種が上位を占め、年賀状を出すことは現実的に困難だ。各種商品小売業83.3%(12社中、10社)飲食店80.8%(47社中、38社)、娯楽業77.7%(27社中、21社)が上位に並んだ。
Q2.Q1で「2026年の年賀状を出す」と回答された方に伺います。出す理由はなんですか?
(複数回答)
「関係性の維持」が最多
「2026年の年賀状を出す」と回答した2,270社のうち、 2,230社が理由を回答した。年賀状を出す理由は「関係性の維持」が最も多く73.4%(1,638社)、次いで「相手先への敬意」が62.8%(1,402社)だった。
年賀状を出す企業は、取引先との関係を良好に保つために年賀状を一つのコミュニケーションツールとして活用していることがわかる。
Q3.Q1で「2026年の年賀状を出す」と回答された方に伺います。 2026年を最後の年賀状とする予定ですか?(択一選択)
「2026年の年賀状を最後とはしない」は56.8%
有効回答2,245社のうち、「2026年の年賀状を最後とはしない」は56.8%(1,276社)で、「最後とする」6.9%(156社)を大きく上回った。
規模別では、大企業と中小企業ともに「2026年の年賀状を最後とはしない」との回答は、55~56%台で大きな差はみられなかった。
一方で、「未定」の企業が36.2%(813社)だった。“年賀状じまい”を迷っている企業が3割超あり、ますます年賀状を出す企業が少なくなる可能性がある。
Q4.Q1で「2026年の年賀状を出さない」と回答された方に伺います。出さない理由はなんですか?(複数回答)
「必要性を感じないから」が5割超
「2026年の年賀状を出さない」理由を回答した3,948社のうち、 最も多かった理由は「必要性を感じないから」が52.3%(2,068社)で最も高く、唯一、5割を超えた。
以下「業務量が増えるから」35.7%(1,413社)、「ペーパーレスを推進しているから」35.3%(1,397社)の順。
一方で「年賀メールを出すから」は9.5%(377社)、「挨拶回りで訪問するから」は26.9%
(1,065社)にとどまり、積極的に年賀状の代替手段がとられているわけではないようだ。
年賀状の起源は平安時代といわれる。明治時代の郵便制度の確立により、年賀状の文化が広まったとされるが、「2026年の年賀状を出す」予定の企業は36.0%にとどまる。
年賀状は、業務の効率化や費用削減、そして必要性が議論される一方、取引先との「関係性の維持」や「相手先への敬意」など、年賀状に年に一度の気持ちを託す文化は、まだ残されている。時代や年齢構成の変化の中で、年賀状への想いは揺れているようだ。
これを示すように、日本郵便の2026年用年賀はがきの当初発行枚数は、約7億5,000万枚で前年より3割減少している。
本調査で、2026年の年賀状を出さない企業は64.0%で、そのうち「昨年も出しておらず、2026年も出さない」が52.6%、「昨年は出したが、2026年は出さない」が11.3%だった。
また、2026年の年賀状を出す企業のうち、2026年の年賀状を最後にするか「未定」の企業が36.2%(813社)あった。年賀状じまいを迷う企業が3割超あり、ますます年賀状を出す企業が少なくなる可能性がある。
一方で、有効回答2,245社のうち、「2026年の年賀状を最後とはしない」は56.8%(1,276社)で、「最後とする」6.9%(156社)を大きく上回った。
今後、年賀状を出す企業、出さない企業の二極化は、さらに進むと考えられる。コミュニケーションツールの一つとして年賀状のあり方が問われている。

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