12月18日、ドローンや暗号資産の採掘(マイニング)装置の販売を展開していた(株)ドローンネット(TSRコード:024112925、千代田区)は東京地裁より破産開始決定を受けた。負債総額1,445億円はことし最大で、債権者を含めて影響は広範囲に広がりそうだ。
2017年3月設立のドローンネットは、2025年2月期に977億円を売り上げるまで急成長した。一方、秋以降は決済に関する情報が飛び交い、信用性はここにきて大きく低下していた。倒産原因はこれから破産管財人になどが調査するとみられる。
急成長しながら急停止したドローンネットに何が起きていたのか――。
ドローンネットの看板(TSR撮影)
ドローン本体の販売や研究開発からスタートしたドローンネットは、関連機器の開発やドローンスクールの運営など事業の幅を広げてきた。旺盛なドローン需要にも支えられ、2020年2月期に21億9,289万円だった売上高は、2023年2月期に313億8,649万円へ急成長した。その後、2022年4月の税制改正でドローンを活用した節税が強化されたため、
マイニング装置に関連した事業を強化。暗号資産への投資ブームや節税スキームへのニーズが絡まり合い、2025年2月期の売上高は977億4,278万円へ伸長した。
節税商品を投資家に販売か
ドローンネットは、ブロックチェーンのセキュリティを担う演算用コンピューターを9万9,000円(税込)で販売するスキームでオーナーを集めていた。取得額10万円未満の少額減価償却資産として、一括損金(即時償却)できる金額だ。ドローンネットは、コンピューターが稼働すれば暗号資産が増え、購入から1年以内であれば中古市場で高い金額で売却できると説明していた。
こうしたスキームは近年加熱しており、法人・個人含めて債権者は相当数にのぼる。
急成長の裏で
急成長を遂げたドローンネットだが、設立から2年ほど経過した2019年より散発的に取引先への支払い遅延の情報が東京商工リサーチに寄せられている。
こうしたなか、2025年6月に東京国税局から約30億円の所得隠しを指摘された。関係者によると、マイニング装置の売上計上の時期が問題となったようだ。これを期に信用が大幅に低下。秋以降は決済に関する情報が輻輳するようになった。
12月に事実上の経営者が死去するなど事業継続が困難となった。
破産管財人は「過去に実施した資金調達の方法や調達した資金の使途等や運営していたマイニングマシンの販売及び買取事業に関して、調査を行う予定」と表明している。
機器の稼働実態や販売した機器の買取、収益の分配方法などが注目される。

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