~ 2025年の「上場企業」倒産(12月29日16時時点)~
2025年の上場企業の倒産(12月29日16時時点)は、7月30日に東京地裁に民事再生法を申請した東証グロースの(株)オルツ(東京、負債総額約24億円)の1件にとどまった。
上場企業の倒産は、2022年から4年連続で発生している。
オルツの負債24億円は、2023年の(株)プロルート丸光(大阪、負債27億300万円)に次いで、令和では4番目の水準となった。
オルツは、デジタルクローンを目的としたAI「P.A.I.」(パーソナル人工知能)の提供に向けた研究開発を進め、売上の大半は議事録作成アプリ「AI GIJIROKU」の販売が占めていた。
事業の将来性を評価され、大手との提携や共同研究を推進し、ベンチャーキャピタルなどから出資を得ていた。2024年10月に東証グロースに上場し、同年12月期の売上高は60億5,728万円を公表していた。だが、2025年4月、SESC(証券取引等監視委員会)の調査で、売上の過大計上の疑惑が浮上した。第三者委員会を設置して調査を進め、2021年12月期から2024年12月期まで3年間の売上高の大半(約8~9割)が過大に計上され、経営幹部の関与で2021年6月頃から2025年3月まで、販売代理店に販売したライセンスのアカウント発行が実態を伴わない売上だったことが判明した。
スポンサー支援による再生を目指し、不適切な会計処理に起因して発生する可能性のある債務の公平かつ適切な対応を企図するとして民事再生法を申請した。
2025年の負債1,000万円以上の企業倒産は、2年連続で1万件を超えることが確実となり、企業倒産は緩やかな増勢が続いている。その一方で、上場企業の倒産は小康状態が続くが、2025年の東証の上場廃止は125社を数え、前年(94件)の1.3倍に増えた。中堅以上の企業では、企業価値が棄損しかねない法的倒産より、私的整理などでの事業再生への取り組みが進んでいる。

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