~ 2025年「老人福祉・介護事業」倒産動向 ~
2025年の介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産は、176件(前年比2.3%増)で、2年連続で最多を更新した。コロナ禍前の2019年(111件)と比べ、約6割増えた。
特に、3年連続で最多を更新した「訪問介護」が91件(同12.3%増)と突出し、全体の件数を押し上げた。一方、2024年に過去2番目の件数だったデイサービスなど「通所短期入所」は45件(同19.6%減)、2024年に最多だった有料老人ホームも16件(同11.1%減)と減少に転じた。
2025年に「訪問介護」が突出した背景は、マイナス改定の影響が大きい。ヘルパー不足に加え、ガソリン代など運営コストの上昇も資金繰りを圧迫している。また、デイサービスや有料老人ホームは減少したが、高止まりしている。政府の人件費支援などはあるが、介護業界の人員確保やコスト上昇への対応は自助努力だけでは追い付かないレベルまで深刻さを増しており、2026年も倒産が続く可能性が高い。
介護保険法が施行された2000年以降の介護事業者の倒産を集計した。主な3業種のうち、最多は「訪問介護」の91件(前年81件)で、3年連続で最多を更新して増勢に歯止めがかからない。
次いで、デイサービスなどの「通所・短期入所」45件(同56件)。2022年に最多を記録し、2025年も過去3番目の高水準となった。「有料老人ホーム」は16件(同18件)で、2024年の最多から減少に転じた。
認知症老人グループホーム(GH)や特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など「その他」のうち、認知症老人GHが9件(同2件)と急増した。住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)との競争や物価高、職員不足で、定員まで受け入れられないケースもある。
介護事業者の倒産原因は、売上不振(販売不振)が140件(構成比79.5%)で、約8割を占めた。利用者の獲得競争や人手不足から利用率の落ち込みが大きい。形態別では、破産が160件(同90.9%)、特別清算が14件(同7.9%)で続き、再建見通せない消滅型が98.8%と大半だった。
倒産事業者の規模は、資本金500万円未満(個人企業他含む)が128件(同72.7%)、負債1億円未満が141件(同80.1%)、従業員10人未満が142件(同80.6%)と、事業規模の小さい小・零細事業者がほとんどを占めている。
政府は、介護職員の処遇改善のため賃上げ支援を進めるが、他の産業の賃上げペースに追いつけないでいる。また、生産性向上の取り組みによる処遇改善の加算をうまく活用できない小・零細事業の脱落も懸念される。国や自治体は、高齢者のニーズに沿った介護サービスの提供や介護離職を防ぐためにも、倒産抑制の取り組みと同時に、一層の運営効率化への支援を強化することが必要だろう。
※ 本調査は、「老人福祉・介護事業」を対象に集計した。内訳は、訪問介護事業、通所・短期入所介護事業、有料老人ホーム、その他に分類。

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