2025年7-9月の上場ビジネス・シティホテル「客室単価・稼働率」調査
ホテル運営の上場12社(13ブランド)の2025年7-9月期の平均客室単価は、1万6,975円(前年同期比8.9%増)で前年同期を上回った。7-9月期で、13ブランドの平均が前年を上回るのは3年連続。平均稼働率は83.9%で前年同期を2.9ポイント上回り、 稼働率も3年連続で上昇している。
日本政府観光局によると、2025年7-9月の訪日外客数は、 1,013万2,752人で前年同期から11.3%増加した。9月までの累計人数は3,165万500人で、過去最速で3,000万人を突破した。円安で訪日外客数が伸び、ホテルの稼働率は上昇が続くが、ホテルでは人手不足などが課題に浮上している。
2025年7-9月期で、コロナ禍の2020年と比較可能な10ブランド(9社)でみると、2025年の平均客室単価は1万7,171円で、2020年(8,892円)の約2倍(93.1%増)に上昇していた。
客室稼働率は、13ブランドすべてで70%を超え、ダイワロイネットホテルを運営する大和ハウス工業(株)(90.0%)、ベストウェスタンなどを運営するポラリス・ホールディングス(株)(90.6%)の2社は90%台に乗せた。日中関係の悪化による訪日客数への影響に不安を残すが、インバウンド需要や円安を追い風に、2026年もビジネス・シティホテルの稼働率は高水準を維持し、客室単価も上昇し続けるのか。動向が注視される。
※本調査は、国内の上場ホテル運営会社12社の客室単価と稼働率を集計した。調査は2025年7月に次いで7回目。稼働率・客室単価は開示資料をもとに集計した。
※集計対象の企業・ブランド:藤田観光(株)(ワシントンホテルなど)、相鉄ホールディングス(株)(相鉄フレッサイン・サンルートなど)、東急不動産ホールディングス(株)(東急ステイ)、(株)共立メンテナンス(ドーミーイン)、(株)グリーンズ(コンフォートホテル、ホテルエコノなど)、西日本鉄道(株)(西鉄ホテルなど)、ポラリス・ホールディングス(株)(ベストウェスタンなど)、大和ハウス工業(株)(ダイワロイネットホテル)、(株)西武ホールディングス(プリンスホテルなど)、阪急阪神ホールディングス(株)(阪急阪神ホテルズ)、三井不動産(株)(三井ガーデンホテルなど)、九州旅客鉄道(株)(THE BLOSSOMなど)
客室単価(前年同期比) 各社値上げ続く
比較可能な12社(13ブランド)では、2025年7-9月期の客室単価は、13ブランドすべてで前年同期を上回った。
上昇率の最多レンジは、「0%以上5%未満」で6ブランド。次いで、「5%以上10%未満」の3ブランド、「10%以上20%未満」と「20%以上」の各2ブランドと続く。
上昇幅の最大は、阪急阪神HDが運営する阪急阪神ホテルズの前年同期比22.7%上昇だった。
ビジネスホテル7ブランドの稼働率・客室単価 稼働率は2020年比で40ポイント超回復
コロナ禍と比較可能なビジネスホテル7ブランドの2025年7-9月の稼働率は82.6%で、前年同期(80.7%)より1.9ポイント上昇した。また、客室単価は1万4,040円(前年同期1万3,136円)と前年同期より904円アップした。
コロナ禍の2020年同期は、緊急事態宣言や県をまたぐ移動の制限などで、企業の出張が減り、稼働率が低下した。
しかし、コロナ禍が落ち着くと稼働率が改善し、インバウンド需要や物価高、人件費上昇のなかで客室単価が高騰した。
2025年は、インバウンド需要のほか、大阪関西万博の開催などで国内需要も伸び、稼働率・客室単価ともコロナ禍以降で最高となった。
シティホテル3ブランドの稼働率・客室単価 稼働率は2020年比で60.3ポイント回復
ファミリー層や観光利用が多いシティホテルは、コロナ療養者向けに施設を貸し出したビジネスホテルの需要を補填できず、2020年7-9月の稼働率は22.9%と20%台にとどまった。
その後、人流の回復とインバウンド需要により稼働率は上昇。コロナ禍と比較可能な3ブランドの2025年7-9月期の稼働率は、83.2%で、2020年同期から60.3ポイント改善した。
客室単価は2022年7-9月に1万1,495円まで低下していたが、2025年同期は2万4,478円と、前年同期の2万1,161円を超え、最高値を更新した。
上場12社(13ブランド)の、2025年7-9月期の客室単価が前年同期を上回った。
2026年7-9月は、夏休みやお盆、祝日の並びなどで長期休暇を取りやすい日程になっている。このため、国内の旅行需要に加え、インバウンド需要が下支えし、ビジネスホテル、シティホテルの客室稼働率・客室単価は上昇する可能性がある。
ただ、観光産業では人手不足の解消が急務になっている。顕著な人手不足の状況で来日旅行者が増え続けると、受け入れ体制が追いつかず、万全のサービス提供に支障を来たすほか、各地でオーバーツーリズムが深刻化することも懸念される。
観光庁は2025年度補正予算で、自動チェックイン機などの省力化設備の導入や、地域の共同設備投資への支援に取り組む。また、外国人材の確保・定着支援、宿泊業の従業員の待遇改善策などを検討し、中長期的な対策を総合的に推進し、観光産業の基盤の維持・強化を図る予定だ。
官民あげて省力化・省人化の推進への取り組みは少子化、人手不足の状況では不可欠で、観光産業の慢性的な人手不足の解消に向けた政策としても期待される。
なお、2026年7月1日以降、国際観光旅客税が1,000円から3,000円に引き上げられる方針が決定している。これによりインバウンド需要だけでなく、上場ホテルの稼働率にも影響を与える可能性がある。今後、ホテルはサービス内容とは異なる側面として、売上高や稼働率、収益性までトータルで見ていくことが必要になりそうだ。

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