~ 「三菱マヒンドラ農機グループ」取引先調査 ~


 2026年9月に解散することを公表している三菱マヒンドラ農機(株)(TSRコード:760014582、松江市)グループ(三菱マヒンドラ農機G)の余波が広がっている。解散予定の3社の国内取引先は全国2,158社に及び、とくに1次仕入先の本社は島根県が36社で最も多く、地域経済への影響が懸念される。
 解散予定は、三菱マヒンドラ農機のほか、三菱農機販売(株)(TSRコード:710187246、久喜市)、リョーノーファクトリー(株)(TSRコード:760080267、松江市)の3社。

いずれも法的清算ではなく、解散後に通常の清算を予定している。
 3社の1次2次の仕入販売の取引先は合計2,158社で、資本金1億円未満が約8割と中小企業が多い。    
 三菱マヒンドラ農機Gは、農業用機械事業の安定的な継続は困難として、補修用部品の供給と保証事業以外からの撤退を公表している。継続する事業は、事業分割による承継を予定しているが、社名は未決定。

 東京商工リサーチ(TSR)の約440万社の企業データベースから、三菱マヒンドラ農機Gの取引先を1次(直接)、2次(間接)に分けて抽出、分析した。
  農業用機械の大手で、全国に顧客や取引先を持つ。だが、国内の農業需要の減少や国内大手との競合、海外事業の低迷から業績が悪化し、三菱マヒンドラ農機Gの3社は2025年3月期にそろって債務超過に陥った。従業員約970名のうち、継続する事業に従事する約50名を除く約920名は、退職の予定だ。松江市は、従業員の就職支援や協力企業の事業継続に関する相談窓口を設置し、影響が広がっている。
 島根県でトップクラスの企業だっただけに、グループの解散発表の衝撃は大きい。とりわけ、1次仕入先が全国最多の36社を抱える島根県内企業への影響が懸念されている。
 三菱マヒンドラ農機Gの担当者は、協力会社など取引先への支援について「契約書に則って、適切な対応をして参ります」と回答。
グループや県、市は、取引先に深刻な影響が出ない対策が求められる。
※ 本調査は、TSRの企業情報サービス(tsr-van2)の企業相関図から国内仕入先、販売先を1次(直接取引)、2次 (間接取引)を3月13日に抽出し、業種、規模などを分析した。取引先計は、1次、2次の仕入先と販売先を合算後、重複を除いた。

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三菱マヒンドラ農機の工場(TSR撮影)

三菱マヒンドラ農機グループ

 中核の三菱マヒンドラ農機は、1914年6月創業。1980年の合併で三菱農機に社名を変更した。トラクターやコンバイン、田植機などの製造で、1984年11月期は売上高758億3,874万円をあげていた。
 だが、その後は需要減や競合から減収をたどり、2015年3月期の売上高は278億5,009万円まで落ち込み、76億円の債務超過に陥っていた。2015年10月、株主の支援やトラクターメーカーのインドのマヒンドラ社と資本提携し、現社名に変更。再建を目指したが、海外戦略が計画通りに進まず、業績は低迷。2025年3月期の売上高は179億2,560万円にとどまり、39億9,194万円の赤字を計上し、再び債務超過に転落した。
 三菱農機販売は、三菱マヒンドラ農機製品の販売会社。販社統合で現体制になったが、販売は伸び悩み、2025年3月期は2014年4月の統合後、初めて売上高300億円を下回った。
 リョーノーファクトリーは、農機の製造会社。

2025年3月期は、在庫過多から生産調整などを実施したことで、売上高は91億6,897万円(前期比40.4%減)と大幅に落ち込み、7期連続で最終赤字を計上し、債務超過が膨らんでいた。

解散公表の三菱マヒンドラ農機グループ 国内取引は2,158社、1次仕入先は島根県が最多
解散を予定している三菱マヒンドラ農機グループ


産業別

 産業別の1次2次の仕入販売を含めた取引先計の最多は製造業の781社(構成比36.1%)で、卸売業の691社(同32.0%)が続き、2産業で約7割を占める。
 1次仕入先では、最多が168社(同63.4%)と製造業が6割超に達し、撤退による影響を製造業が最も受けそうだ。1次販売先では、小売業の249社(同65.7%)が最多だった。


解散公表の三菱マヒンドラ農機グループ 国内取引は2,158社、1次仕入先は島根県が最多
産業別

資本金別

 資本金別の取引先計では、個人企業含めた1億円未満が1,645社(構成比76.2%)で、対して1億円以上は513社(同23.7%)だった。1次仕入先は1千万円以上5千万円未満が148社(同55.8%)、1次販売先も1千万円以上5千万円未満の125社(同32.9%)がそれぞれ最多で、小・零細から中小企業との取引が多いことがわかった。

上場・未上場別

 上場区分別の取引先計では、未上場が2,006社(構成比92.9%)と9割超を占めた。一方、プライムは100社(同4.6%)、スタンダードが51社(同2.3%)、その他上場が1社と続く。

売上高別

 売上高別の取引先計は、最多は10億円以上100億円未満の605社(構成比28.0%)、僅差で1億円以上10億円未満の594社(同27.5%)で、100億円以上1,000億円未満が405社(同18.7%)、1億円未満の346社(同16.0%)、1,000億円以上は152社(同7.0%)で続いた。
 1次仕入先は10億円未満が162社(同61.1%)、1次販売先も10億円未満が358社(同94.4%)と直接取引は、小・零細から中小企業が大半を占める。

都道府県別

 取引先の本社地、都道府県別の取引先計は、最多は東京都の321社だった。次いで、大阪府の223社、北海道の191社、愛知県の107社、兵庫県の101社が続いた。
 1次仕入先では、最多が三菱マヒンドラ農機の本社地である島根県の36社。北海道の29社、大阪府の23社、東京都と岡山県の各20社などの順だった。


 1次販売先では、北海道の39社が最多。新潟県の24社、岡山県の19社、長野県の17社、山形県の16社など、農業が盛んな地域が上位に入った。
 地区別の取引先計は、最多の関東の646社(構成比29.9%)、近畿379社(同17.5%)、中国294社(同13.6%)、中部253社(同11.7%)がそれぞれ続いた。

解散公表の三菱マヒンドラ農機グループ 国内取引は2,158社、1次仕入先は島根県が最多
都道府県別


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