TBSでは毎週日曜夜9時から、松本潤主演の日曜劇場「19番目のカルテ」が放送中。富士屋カツヒトによる連載漫画『19番目のカルテ 徳重晃の問診』(ゼノンコミックス/コアミックス)を原作に、「コウノドリ」シリーズ(TBS系)の坪田文が脚本を手掛ける、19番目の新領域・総合診療医を描くヒューマン医療エンターテインメントだ。
-原作、脚本を読んだ時の印象は?
もともと原作漫画は読んでいて、ポップで個性豊かな登場人物たちの中でも、茶屋坂先生は特に癖が強く、魅力的なキャラクターだと感じていました。なので今回こうして役を頂いてとてもうれしかったです。ドラマの脚本では、生身の人間が演じることで生まれるであろう感情の揺れ、細やかな心の動きが、総合診療科が掲げる「病気ではなく人をみる」というテーマを、より温かみをもって伝えられるのではないかと感じました。脚本に描かれている茶屋坂先生は、ちゃめっ気がありひょうひょうとした一面はそのままに、原作に比べてよりクールで、天才的な部分が強調されているように思います。原作と脚本、それぞれで描かれるキャラクターのバランスが、自分の体を通して“ちょうどいいあんばい”に着地できたらいいなと考えました。
-“天才心臓血管外科医”の茶屋坂を演じるに当たって準備したことはありますか。
まずは脚本に出てくる病名や手術の方法が「どんな病気で、どういった手術が行われるのか」を把握しました。今は便利な時代で、動画サイトなどに実際の手術映像もたくさんあるので、同じ術式の動画を探して撮影直前までずっと見ていました。
-役作りで特に意識したことはありますか。
物語が進むにつれて、茶屋坂先生のバックボーンや現在の状況が徐々に明らかになっていくので、台本をもらうたび「そうなの!?」と驚かされる新しい情報がありました。彼女がメインで描かれる第5話で初めて知る設定も多かったので、よりいっそう今までの秘めた心情へのフォーカスが必要でした。心がどこにあるかを知りたがる理由、彼女自身の心の状態。失ってしまったのか、取り戻したいのか、それとも自ら封じ込めているのか…。そんなさまざまな可能性を、彼女を解剖して見つけ出すような気持ちでした。 外面的な部分での茶屋坂先生は、キュートでお茶目だけど、同じだけ冷たさと怖さがある、ひょうひょうとつかみどころのない人。圧倒的な天才だけど自立していて、おしゃれでコミュニケーションも取れる。周りも見えていて特定の人物への興味は見せるが、本音は見せない。「よく分からない人」だと分かってもらえるように演じるのは、簡単ではないなと思いました。
-主演の松本潤さんとお芝居で対峙(たいじ)してみての印象を教えてください。
松本さんは、演じられている徳重先生と共通して、とても包容力のある方だと感じます。現場でもオフでも、相手を受け止めて認めた上で、的確かつ愛を持ってアプローチされるので、その器の深さと優しさが伝わってきます。マクロとミクロ、両視点を持ち合わせた上でのムードメーカー。一方で、職人気質と相手に油断させない雰囲気もあって、「MJ」のカリスマ性を感じる瞬間も多々あります。さらには時折見せる“ゆるキャラ”的な愛嬌(あいきょう)もあったりと、複合的で一言で語りきれない、魅力の塊のような方です。
-他にも、撮影現場での共演者とのエピソードを教えてください。
(総合診療医となった滝野みずき役の)小芝風花さん、(内科医・鹿山慶太役の)清水尋也さんとは待ち時間に“MBTI(16タイプ性格診断)”で盛り上がりました。(外科医・東郷康二郎役の)新田真剣佑さんは、とにかく面白くて…今年一番の驚きかもしれません。
-総合診療医についての印象は?
原作漫画で存在を知り、興味深い職業だなと思っていました。私は普段から物ごとを複合的に捉え、ロジックで最適解を見つけていくのが好きなので、医学生だったら専攻の際に検討していたかもしれません。ただ私はマシンガントーク派なので、徳重先生のようにゆっくりと患者さんの話を聞けるかどうかは(笑)。いまだ普及率は高くないそうですが、家族にも話せない、相談先が分からない、地域に病院や医師が少ないなど、さまざまな悩みを最前線で受け止め、手引きになってくれる存在は、患者にとって救世主ですよね。 このドラマが、普及率や目指す人口の増加の後押しになれたらいいなと思います。
-最後に視聴者の皆さんに第5話の見どころをお願いします。
茶屋坂心という人物に感情移入できるかどうかは、人それぞれだと思います。ただ、“親と子”というテーマに関しては、誰もがかつて子どもだったという共通の記憶があるからこそ、何らかの共鳴はあるのではないかと思います。「母はあの時、何を思っていたのだろう」「もし自分が親になったら、子どもに何を伝えたいだろう」。そんな問いを、茶屋坂先生とその家族の関係を通じて、さまざまな視点から考えるきっかけになる回になっていると感じています。