主演作品のドラマ「じゃあ、あんたが作ってみろよ」(TBS系)が話題を呼び、Netflix映画『10DANCE』では美しく激しいラテンダンスで視聴者を魅了する竹内涼真。2026年1月から放送のドラマ「再会~Silent Truth~」(テレビ朝日系)では秘密を抱える刑事役を演じ、話題作への出演が続く。

さらに、4月には、5年ぶりとなる主演ミュージカル「奇跡を呼ぶ男」の上演も決定。「奇跡を呼ぶ男」は、竹内自身が「やってみたい」という強い思いから出演が決定した作品だ。竹内にミュージカル出演への思いや本作への意気込みを聞いた。

-ミュージカルへの出演は2021年上演の「17 AGAIN」以来、5年ぶりになります。初舞台となった「17 AGAIN」の思い出や当時のエピソードを教えてください。

 初めて触れるものばかりだったので戸惑いもありましたし、最初は演出と体がリンクしていない感覚もありましたが、稽古を続けていくうちにいろいろな楽しさを感じました。僕は、意外と稽古が好きなんだなと。2カ月くらいかけて一つひとつ積み重ねていくことで、演出家やスタッフ、共演者との信頼関係が生まれ、お互いに信頼感を持って舞台で生まれたものをキャッチしながら表現していくという作業がすごく楽しかったんです。本番が始まってからも、初日にしかない感触もあれば、公演期間中の体が疲れてきたときだからこそ生まれる面白さもあって。毎日何かしら収穫があって、その積み重ねを大千穐楽まで持っていくという過程はとても楽しいものでした。とにかく自分の中ではやり切ったという達成感がありました。でももし、またいつか自分に合う、やってみたいと思う作品に出合えたら、舞台に挑戦してみようという思いでした。

-それが今回の作品だったということでしょうか。

 まず、舞台の持つスリルとライブ感と充実感をまた体験したくなったからかもしれません。もちろん、映画やドラマの現場にもライブ感はありますし、共通する部分はあるのですが、映画の場合ならば撮影が終わった後にアフレコがあったり、皆さんの手に届くまでにいろいろな工程があって、大切に大切に仕上げていきます。舞台の場合は、稽古をして積み上げていきますが、本番では自分たちが積み上げてきたものを一度手放して、お客さんの目の前で演じるので、そのライブ感やリスクは映像とは全く違うものだと思います。それに、生で反応がもらえる。もちろん、お芝居をしているときは集中して、(その役の)人生を一生懸命歩みますが、会場と一体になった感覚や熱量みたいなものが、同じ空間にいるから感じることができる。そうしたスリルやリスクをまた感じたくなったというか。前回の舞台から5年がたって、リニューアルした自分で臨めるのではないかなと思ったことがきっかけになりました。

-出演が決まった際の竹内さんのコメントで「『奇跡を呼ぶ男』という題名を目の前にして、これは僕がやるべきだと直感した」とありましたが、どういったところに「やるべきだ」と感じたのですか。

 この作品では、ゴスペルで物語がつづられていくので、その歌い方やリズム感などを再現するのはとても難しいことだと思います。ですが、日本で上演するときに、もし、何か奇跡が起こって成功するとしたら僕がやるべきなのかもしれないと思ったんです。もちろん今はまだ僕にはできないことが多いですが、ここから初日までの間に自分を追い込んで、「できるの?」という皆さんの疑いをひっくり返したいと思います。

それから、「自分のうそから始まる中でどうにか本当の奇跡を作りたい」という(竹内が演じるジョナスの)思いに僕は共感しました。見えを張ったりとか、認められたいと思ったりすることは、僕の中にも少なからずあります。20歳の頃に「僕は俳優で稼いで成功します」と自分の親に言って、スポーツをやめたんですよ。今まで一つひとつの作品を積み重ねて歩んでいるから「本当だったんだな」と思ってもらえていますが、そういうことって世の中にありふれていると思います。成功するかどうか分からない。失敗してしまったら「できる」と言ったことがうそになる。それはきっとジョナスも同じです。共感できるからこそ、演じたいと思いました。

-本作で竹内さんが演じるのは、伝道師のように振る舞い、仲間たちと集会に人々を集めて寄付を募る詐欺師・ジョナスという役柄です。現時点では、どのように演じたいと考えていますか。

 道徳から外れていることをしている人にも、心の奥底には光があるのではないかと思っています。その光を真正面から受け止めるのは、すごく怖いことですが、彼は、うそから本当になっていく過程で、それまで隠していた自分や心の奥底と向き合っていきます。

そうした彼の人生を自分らしく演じてみたいと思っています。

 それと、僕は小さい頃からブラックミュージックも好きでよく聞いていましたが、自分が育ってきた環境とは文化も歴史も違う世界なので、いかに音楽性やグルーブ感を本物に見せるのかが勝負になるのかなと思います。

-ミュージカルでは歌とダンスがありますが、今、どんな心持ちで準備をされていますか。

 すごくラッキーなことに、僕は(2025年の)2月までダンスを踊っていたので、5年前にミュージカルに出演したときより、相当、レベルが上がっていると思います。やはり『10DANCE』で得たダンススキルは、何かしら反映できるものがあるのではないかと。それから、この作品の歌はゴスペルなので、せりふを話している流れのままリズムに乗っていって、歌に入っていくんです。その境目がジョナスにはないんです。その巧みなパフォーマンス、そして、うそを本当にしていくエネルギーや相手に考える隙を与えない巧みなパフォーマンスは練習を重ねていかなければいけないと思っています。自分のイメージはあるので、そこに近づけながら、演出家の方と正解を一つひとつ見つけていきたいです。

-竹内さんは、これまでに「奇跡を起こした」と感じたことはありますか。

 どうなんだろう…あるのかな。でも、奇跡は起こそうと思って起きるものではなく、本気で目の前のことに打ち込んだり、何かを信じてそこに100%懸けたときに気づいたら生まれていたということはあるかもしれません。

-では、改めて竹内さんは本作のどんなところに魅力を感じていますか。

 主人公が正義ではないというところです。ジョナスが抱えているもの、隠しているもの、そして詐欺師という役柄に引かれました。それから、この作品はショーとしてもすごく華やかなので、そうしたところも楽しんでいただけるのではないかと思います。グルーブ感を持って、みんなでゴスペルを歌えたら会場はきっと一つになると思います。エンターテインメント性が高く、きっとオーケストラの皆さんも制作スタッフの皆さんも、観客の皆さんの気持ちを引っ張っていく熱量を持って挑んでくださると思うので、一体となってグルーブ感が伝わる作品になるのではないかと僕自身も期待しています。

 それに、今回、足の不自由な少年のジェイクが登場しますが、僕はずっと若い俳優さんたち、小学生や中学生くらいの俳優さんとお芝居をしたかったんですよ。

-というと?

 彼らの持っているピュアさに触れたいんです。大人になるといろいろな雑念が入ってきて、ときにうそをついたり、見えを張ったり、楽をしたり、ピュアさがなくなってしまいますよね。なので、可能性を秘めた、自由なエネルギーを持った少年とぶつかることで生まれる奇跡を感じたいんです。今回、そうした意味でも、すごく面白いものが生まれるのではないかと楽しみにしています。

(取材・文/嶋田真己)

 ミュージカル「奇跡を呼ぶ男」は、2026年4月4日(土)~24日(金)に都内・東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)ほか、福岡、大阪、愛知で上演。

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