『ほどなく、お別れです』(2月6日公開)
就職活動に苦戦する美空(浜辺美波)には、亡くなった人の姿が見え、声を聞くことができるという秘密があった。そんな彼女の能力に気付いた葬祭プランナーの漆原(目黒蓮)は、美空を葬祭プランナーの道へといざなう。
長月天音の同名小説を三木孝浩監督が映画化。故人の霊と会話ができる主人公というファンタジー的な設定を用いて、故人の思いを遺族に伝えることで、「残された遺族だけでなく、故人も納得できる葬儀とは何か?」という問いが浮かび上がる。
その中で、『おくりびと』(08)の本木雅弘同様、本作でも目黒が“納棺の儀”を執り行うシーンが見せ場となる。
また、舞台は墨田区周辺ということで東京スカイツリーがさまざまな角度から画面に登場することから、かつて『煙突の見える場所』(53)という名作映画で千住のお化け煙突が象徴的に映ったように、今や下町のランドマークとなったスカイツリーが下界の人々を見守っているような不思議な印象を受けた。
『クライム101』(2月13日公開)
米西海岸線を走るハイウェー101号線上で、数百万ドルの宝石が消える強盗事件が多発。デービス(クリス・ヘムズワース)の4年間にも及ぶ犯行は完璧だったが、犯罪組織からの追跡や警察内部の陰謀、そしてルー刑事(マーク・ラファロ)の執拗(しつよう)な捜査網にそれぞれの思惑が絡み合い、デービスの犯罪計画とルールは崩れていく。
現代アメリカを代表する犯罪小説作家ドン・ウィンズロウの原作を、豪華キャストの共演で映画化したクライムアクションスリラー。実録犯罪ドラマ『アメリカン・アニマルズ』(18)のバート・レイトン監督らしく、今回も犯罪の裏側にひそむ人間模様をあぶり出す手法が見られる。
見どころは、1970年代のアクション映画をほうふつとさせるようなカーチェイスと、スタイリッシュな主人公とうらぶれた刑事という、追う者と追われる者とを対照的に見せる人物描写。そして一見脈絡がないように思えるおのおののドラマが最後につながる構成の妙にある。
『ブゴニア』(2月13日公開)
製薬会社のカリスマ経営者ミシェル(エマ・ストーン)が何者かに誘拐される。犯人は、ミシェルが地球を侵略する宇宙人だと固く信じる陰謀論者のテディ(ジェシー・プレモンス)と彼を慕ういとこのドン。
2人は彼女を自宅の地下室に監禁し、地球から手を引くよう要求する。ミシェルは何とか彼らを言いくるめようとするが、互いに一歩も引かない駆け引きは二転三転。荒唐無稽な誘拐劇は予想外の方向へと転じていく。
鬼才ヨルガン・ランティモス監督とストーンは、本作が5度目のタッグとなった。ブラックユーモアに満ち、予測不可能な展開を見せる一種のSF不条理劇。
こうした“妙な、変な世界”にずるずると引きずり込まれていく感じがするのがランティモス作品の真骨頂であり、魅力でもある。
ストーンが頭を剃(そ)りあげて熱演を見せ、第98回アカデミー賞では作品賞、主演女優ほか計4部門にノミネートされた。今はこういうタイプの映画が評価される時代なのだ。
(田中雄二)

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