『ミッドナイトスワン』(20)の内田英治監督によるオリジナル作品で、佐久間大介Snow Man)を主演に迎え、殺し屋たちが暗殺計画のためにダンス大会出場を目指す姿を描く『スペシャルズ』が3月6日から全国公開される。本作で、佐久間演じるダイヤと共に、ダンス大会出場というミッションに挑む個性的な殺し屋たちを演じた椎名桔平青柳翔小沢仁志に話を聞いた。

-最初に脚本を読んだ印象から伺います。

椎名 初めは、殺し屋たちの世界とダンスの世界をどう描いていくのかがよく分からなくて、本当にそういうことできるのかと思いました。僕らは現場に入る前にダンスの稽古をやったりして、だんだんとその世界に入っていったのですが、内田(英治)監督の演出が、殺し屋とダンスという本来は相容れない世界を融合させる能力に長けていると思いました。僕は内田作品には初出演でしたが、『ミッドナイトスワン』(20)を見ていたので、その世界観のままくるのかなと思いましたが、これは監督がまた違った世界観を生み出そうとしている現場なんだという印象でした。

青柳 初めて脚本を読んだ時は、やっぱりダンスのことが気になりました。過去にフォークダンスをやっていたというイメージが先行して、どんな感じになるのか想像ができませんでした。でも、現場に入って、ダンスレッスンも含めて、監督の熱量や演出を見て、これは楽しい作品になると思いました。

小沢 内田監督から声を掛けてもらったけど、踊ってくれっていうのが引っかかった。だから、ストーリーよりもそっちの方が気になったんだ。それで、何だ俺はおじいちゃんの役かと思いながら、でもおじいちゃんが踊るんだよな、一体どういうことになるんだろうって。ほかのみんなと仕事をするのも初めてだったし、踊りも含めて俺にとっては全てが初物だったから、現場がやばそうだなっていうのが第一印象だった。

-皆さん本格的なダンスは初めてでしたか。

椎名 全くのずぶの素人です。

青柳 スクールでちょっと教えてもらったことがありますけど、ほぼ初めてです。

椎名 あなたはダンスで有名な事務所の方では…。

青柳 僕はお芝居がしたかったので、ダンスはほとんどやってないです。

小沢 だって、人生にダンスは必要ないじゃない(笑)。

-ダンスレッスンはいかがでしたか。

青柳 何か内内外内外みたいなステップを最初から教えてもらいましたが、そこにこれと何かを足しますみたいな…。勘弁してくれってなりました(笑)。それプラス、佐久間(大介)くんの所に行くまでのバミリ(出演者の立ち位置を示す目印)も大変でした。

椎名 アクションでバミリに行くのは得意だけど、踊りながら行くのはね。

小沢 芝居しながら踊らなきゃいけない時もあった。そうすると顔とリズムが合ってないんだよな。

椎名 うちへ持ち帰って復習しなきゃいけない。小沢さんは毎晩お酒を飲みながら練習したんじゃないですか(笑)。

-ダンスのプロでもある佐久間大介さんと中本悠太さん、そこにダンス初心者の3人が混ざるというのは、合わせるのが大変だったのでは。

小沢 向こうが合わせてくれて、俺たちは2人の邪魔をしないようにと。

椎名 でも向こうはダンス中の立ち位置が前列だから後ろは見えない。だから個々に頑張るしかないわけで。ダンスに関しては、彼らはもちろんできるんだけど、本作ではダンス指導のakaneさんとその下にまた先生が2人いらっしゃって、この方たちが細かくチェックしてくれたので、言われたことをどううまくやるかというところでした。

-主人公を演じた佐久間大介さんの印象はいかがでした。

青柳 もうテレビのまんまです。現場でもとても明るくて、撮影スタッフも演者もみんなが明るくなるようなすてきな方でした。

椎名 よくしゃべるしね。心の声までしゃべるみたいな。

小沢 「鬼滅の刃」で言うと、(主人公の)炭治郎が独り言じゃなくて、全部しゃべっている感じ(笑)。

椎名 でも、彼はすごく機転が利いて、頭の回転も早いから言葉を選んでいるんでしょうけど、非常にテンポが早いです。われわれおじさんチームだけだとちょっと間があくところに言葉を入れてくれる。だから5人が和気あいあいと話せるように引っ張ってくれたのも彼だと思います。

-完成作を見た印象はいかがでしたか。

青柳 すごく高低差がある作品で、あんなに稽古したのに、あっという間に終わっちゃったなという印象でした。時間を忘れるぐらい楽しかったです。

椎名 ちゃんと5人組になっていたなと思いました。みんなが初共演で、ばらばらなところから始めたので、最初は世代も違うし、どうすればチーム感を出していけるのかと思っていましたが、ダンスの稽古をしたり、現場でいろいろと話をしたりする中で、本当にこの5人のスペシャルズとしての一体感が出たという感じがします。それが作品全体にも非常に出ていたんじゃないかと思います。それぞれの個性が一緒になることで面白いものが出来たと思います。

小沢 スポ根みたいな感じもある。

でも、それっていつの時代でも普遍で、例えば、野球、サッカー、ラグビーなんかもあるけど、殺し屋のダンスという設定が新しい。殺し屋がダンス大会に出ればこうなるよってね。そのぎこちなさが面白かったりしますね。

-これから映画を見る方や読者に向けて一言ずつお願いします。

青柳 先ほど桔平さんが言われた通り、一体感が伝わる作品だと思うので、そこを楽しみにしていただけたらなと思います。

椎名 いろんな世代のいろんな趣味嗜好がある中で、Vシネマのファンでずっと見ていましたという、われわれ世代の人もいれば、今のSnow Man大好きという人もいれば、日本から飛び出て韓国で頑張っている悠太くんを応援している人もいれば…。そんないろんな人たちを取り込みたいですね。そのぐらい明るく楽しくもあり、ちょっとほろっとする、そういう作品になっていますから、ぜひ皆さんに見てもらいたいと思います。

小沢 この映画を何十回も見て、ダンスの振りを覚えてもらって、スクリーンの俺たちと一緒に踊ってほしい。それでTikTokとかで「私も踊りました」ってなって、バズって、このみんなが劇場で映画見たのかよって思うぐらいになったらすごいよね。そういうことがあり得るぐらいのポテンシャルを持つ映画だと思うんだ。でも、大介が劇中のダンスは新しくて難しいって言っていたから、俺たちの振りは覚えられても、大介と悠太の振りはなかなか覚えられないかもしれないな。

(取材・文・写真/田中雄二)

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