フィギュアスケート四大陸選手権2025プレビュー・男子シングル編
韓国で開催されるフィギュアスケートの四大陸選手権男子シングルは、2月20日にショートプログラム(SP)、22日にフリーが行なわれる。
【三浦佳生は復調で2度目の優勝なるか】
3月の世界選手権に出場する選手にとってこの大会は現状の確認と次への弾みをつける機会となるが、世界選手権に出場しない選手にとってはシーズン最後のビッグゲームだ。
男子シングルは、イリア・マリニン(アメリカ)や鍵山優真(オリエンタルバイオ/中京大)など、世界選手権で優勝争いをするだろう選手たちが出場しないなか、今回が3回目の出場で過去2大会は3位、1位と相性のいい三浦佳生(オリエンタルバイオ/明治大)に、2度目の優勝の期待がかかる。
ISU(国際スケート連盟)公認大会のシーズンベストでも、三浦は出場選手中最高の278.67点を出している。世界選手権出場は逃しただけに、四大陸選手権で自信を取り戻しておきたいところだが、全日本選手権後に左太ももの肉離れが再発し、1月のワールドユニバーシティゲームズを欠場。今大会でどこまで回復しているかが大きな注目点だ。
【チャ・ジュンファンが条件付き優勝候補】
三浦の回復が十分でない場合、浮上してくるのが三浦に次ぐ276.17点を出しているミハイル・シャイドロフ(カザフスタン)と、2022年大会で優勝しているチャ・ジュンファン(韓国)だ。ともに1月のワールドユニバーシティゲームズと2月の冬季アジア大会に出場し、ハードなスケジュールをこなしてきている。
チャは、シーズン前半のGPシリーズのフィンランディア杯でSP7位のあと棄権したが、ワールドユニバーシティゲームズは264.94点で3位になり、冬季アジア大会ではフリーで鍵山を逆転。合計281.69点で優勝と非公認ながらもシーズンベストの得点を連続更新して復調してきている。四大陸選手権までの準備期間は短いが、勢いを維持していれば優勝候補の最有力になりそうだ。
一方、シャイドロフも、冬季アジア大会はSPで大きなミスがあり246.01点だったが、ワールドユニバーシティゲームズでは260.15点を出している。GPシリーズの中国杯で出したシーズンベスト(276.17点)は、コレオシークエンスでの転倒がなければもう少し上積みができた。後半に4回転ジャンプを持ってくる難度の高いコンビネーションジャンプを持っているだけに、うまくハマれば、チャや三浦と競り合う力はある。
【躍進中の壷井達也にかかる期待】
続く存在は友野一希(第一住建グループ)だが、今季は股関節痛を抱えてのシーズンインとなり、GPシリーズは2大会ともフリーで崩れて230点台の得点にとどまった。状態を上げている手ごたえを感じて臨んだ全日本選手権も、フリーで序盤にミスを連発してしまって233.95点で5位と悔しい結果になった。
それでも今季の友野は、状態が悪いなかでSPはしっかりと結果を出し、90点前後の得点を出せる。状態もシーズン前半に比べれば上がっているだろう。フリーで前半に入れた3本の4回転ジャンプを着実に跳んで勢いに乗れば、260点台は確実に出せて表彰台争いに食い込んで行けるはずだ。
壷井達也(シスメックス)も出場する。背水の陣の意識を持って臨んだNHK杯で、SP、フリーともにノーミスの演技をして自己最高の251.52点で3位に食い込む大殊勲の結果を出している。
全日本選手権は、SPでは緊張もあってミスを連発し14位発進だったが、フリーでは開き直った滑りでISU公認の自己ベストを大きく上回る173.37点を獲得。合計は247.31点ながら、鍵山とジュニアの中田璃士(TOKIOインカミラ)に次ぐ3位になって初表彰台をゲット。世界選手権代表にも選出される大躍進を果たした。
そんな壷井にとって今回の四大陸選手権は自身初のISUチャンピオンシップ大会出場で、3月の世界選手権へ向けた貴重な経験の場となる。挑戦者としての気持ちでのびのび滑って大幅な自己記録更新となれば、表彰台争いに絡むこともできそうだ。
1月の欧州選手権は、ルーカス・ブリッチギー(スイス)が267.09点の総合優勝で、SP1位発進だったアダム・シャオイムファ(フランス)は、フリーでミスを連発して3位と不調で若干低迷している。
そんななか、3月の世界選手権へ向け、今回の四大陸選手権でマリニンと鍵山の優勝争いに肉薄できるような存在が現われてくることを期待したい。