【「東京・芝1600m」が得意なソニンク系から選ぶ】
6月8日(日)、東京競馬場で3歳以上馬によるGⅠ安田記念(芝1600m)が行なわれる。
上半期の「古馬マイル王決定戦」という位置づけのレース。今年は、前走のGⅠドバイターフ(メイダン・芝1800m)で香港最強馬のロマンチックウォリアーを破ったソウルラッシュ、昨年のGⅠNHKマイルC(東京・芝1600m)を勝ったジャンタルマンタル、昨年のGⅠ高松宮記念(中京・芝1200m)を勝ったマッドクール、2023年のNHKマイルCを勝ったシャンパンカラー、2023年のGⅠエリザベス女王杯(京都・芝2200m)を勝ったブレイディヴェーグと、5頭のGⅠ馬が出走予定。
このレースを血統的視点から占っていこう。今回は"牝系"に注目するが、「東京・芝1600m」を得意としている牝系が、トロヴァトーレ(牡4歳、鹿戸雄一厩舎)が属しているソニンク系だ。
この牝系は2009年のGⅠ日本ダービー(東京・芝2400m)馬ロジユニヴァース、2017年のGⅠ秋華賞(京都・芝2200m)や2019年の英GⅠナッソーS(芝1980m)を勝ったディアドラなど、コンスタントに活躍馬を送るファミリー。とりわけ「東京・芝1600m」の成績がよく、コース別で最も多い10勝を挙げている。
同条件の重賞に限るとさらに好成績で、9戦5勝、勝率55.6%と非常に高い数字が残っている。そのなかで4勝しているのがソングラインで、2022年と23年安田記念、23年GⅠヴィクトリアマイル、21年のGⅡ富士Sを勝利している。また、初めて出走した2021年のNHKマイルCは7番人気ながらハナ差の2着と好走した。
1頭だけの成績なら有効なデータとして推しにくいが、今年、もう1頭のGⅠ馬が登場。それが、NHKマイルCを勝ったパンジャタワーだ。
同馬は、芝1600mではGⅠ朝日杯フューチュリティS(京都)12着と大敗していたが、9番人気で出走したNHKマイルCを4角9番手から鮮やかな差し切り。1分31秒7の好タイムだった。
トロヴァトーレは、この「東京・芝1600m」で2戦1勝。昨年6月、今回の安田記念からちょうど1年前の芦ノ湖特別(2勝クラス)では、4角3番手から押し切った。昨年11月のキャピタルSは2着だったが、大外18番から外を回るロスがあり、やや折り合いも欠くというちぐはぐなレースぶり。それでもハナ差の2着というのは及第点の走りと言っていい。その後、ニューイヤーS(中山・芝1600m)、GⅢダービー卿CT(中山・芝1600m)と連勝して重賞初制覇も果たすなど本格化しつつある。
父レイデオロは、東京コースではGⅠ日本ダービー(芝2400m)、GⅠ天皇賞・秋(芝2000m)を勝った馬。産駒はGⅡ阪神大賞典(芝3000m)を勝ったサンライズアース、GⅡ目黒記念(芝2500m)を勝ったアドマイヤテラなど、芝中長距離の活躍馬が目立つが、トロヴァトーレは母系の血を強く受け継いでいるのだろう。そういう場合は、父系の傾向はあまり気にする必要はない。3連勝でのGⅠ初制覇に期待する。
【「東京GⅠ勝ち馬」の血を集めたような馬も】
もう1頭はウォーターリヒト(牡4歳、栗東・石橋守厩舎)を推す。
同馬は、先週の日本ダービーで2着に入ったマスカレードボールと同牝系。
ウォーターリヒトは、キャピタルSでトロヴァトーレを破った馬。その後、GⅢ京都金杯(中京・芝1600m)2着を経て、前走のGⅢ東京新聞杯(東京・芝1600m)で重賞初勝利。トロヴァトーレ同様、4歳にして本格化を迎えた感がある馬だ。東京コースの実績も十分なだけに期待したい。
以上、今年の安田記念は、牝系や配合が魅力の2頭、トロヴァトーレとウォーターリヒトに注目する。