春のGIシリーズも今週で最後のレースを迎える。フィナーレを飾るのは春のグランプリ、GI宝塚記念(6月15日/阪神・芝2200m)だ。

今年は、例年よりも2週間前倒しでの開催となる。

 過去10年の結果を振り返ると、1番人気は2勝、2着2回とその信頼度は意外と低い。昨年もドウデュースが6着に敗れていて、それ以前にも断然の支持を得ていたゴールドシップ(2015年/15着)やキタサンブラック(2017年/9着)が馬群に沈んでいる。

 まさに波乱含みの一戦で、日刊スポーツの太田尚樹記者もこう語る。

「ジョッキーの多くが『トリッキー』と口をそろえる阪神の芝2200m戦。近年の傾向を見ても、大荒れとはいかないまでも、毎年のように5番人気以下の馬が連対していて、3連単はもちろん、馬連でも好配当が続出しています」

 実際、過去10年で5番人気以下の馬が連対しなかったのは、2019年のみ。それ以外は必ず連対していて、2019年以外の馬連はすべて20倍以上だ。また、3着にも伏兵がしばしば突っ込んできており、3連単では2015年に52万8510円、2018年には49万2560円といった高額配当が飛び出している。

 そうした状況にあって、「今週は週中に雨が降って、梅雨時の読みづらい天気が波乱を呼び込みそう」と太田記者。馬券的には穴狙いに徹してもよさそうだ。

 そこで、太田記者は高配当の使者となり得る2頭の伏兵候補をピックアップした。

「1頭目は、メイショウタバル(牡4歳)です。

前走の海外GIドバイターフ(4月5日/メイダン・芝1800m)は5着に敗れましたが、勝ったソウルラッシュからコンマ4秒差。悲観するものではありませんでした。

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 何より特筆すべきは、過去に重馬場のGIII毎日杯(阪神・芝1800m)、やや重のGII神戸新聞杯(中京・芝2200m)を快勝していること。道悪適性は、今回のメンバーのなかでもトップクラスです。

 さらに、阪神コースも2戦2勝。2013年、2014年と宝塚記念を連覇したゴールドシップ産駒というのも、見逃せない要素です。

 これまでに勝ったふたつの重賞は、いずれも逃げきり勝ち。鞍上の武豊騎手は『(今回も)逃げるとは決めていない』と我々の取材を煙に巻いていましたが、確たる同型馬は見当たらず、今回も単騎逃げが濃厚。ドゥレッツァ(牡5歳)やベラジオオペラ(牡5歳)など好位で運ぶ有力馬同士がけん制し合えば、展開利も見込め、大駆けの可能性は大いにあります」

 太田記者がオススメするもう1頭は、ジャスィンパレス(牡6歳)。一昨年のGI天皇賞・春(京都・芝3200m)以来、勝利からは遠ざかっているが、まだまだ見限るのは禁物だという。

「前走の天皇賞・春は6着に終わりましたが、出負けが響きました。その結果、早く動いたことが裏目に出てしまいました。

 それでも、まだまだ衰えは感じません。一昨年の宝塚記念ではイクイノックスに食い下がって3着。コース適性は高く、スムーズなレースができれば、勝ち負けに加わってくる力は十分にあります。

 管理する杉山晴紀調教師も、今季3戦目で『見た感じでは(状態は)上がっていると思います』と手応えを口にしていました。

 良馬場がベターなので、雨量が増すと厳しいかもしれませんが、天皇賞・春を勝ったときはやや重。同世代のイクイノックスやドウデュースと何度も好勝負を演じてきた実力馬ですから、そこまで馬場の渋化が進まなければ、大いにチャンスはあると思います」

 今年も好メンバーが集った宝塚記念。人気の盲点になりそうな実力馬2頭の一発に期待してみるのも悪くない。

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