今週から夏の福島開催がスタート。その開幕を飾る重賞は、3歳馬によるGIIIラジオNIKKEI賞(6月29日/福島・芝1800m)だ。

 過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気は2勝、2着1回、3着1回。信頼度は今ひとつで、波乱含みのレースといった印象が強い。現に、研究ニュースの藤田浩貴記者もこう語る。

「(ラジオNIKKEI賞は)1番人気が不振で、2016年のゼーヴィント以来、勝っていません。連対したのも、2018年のフィエールマンが最後です。その要因としてはまず、開幕週の(紛れが多い)小回り1800mという条件が挙げられます。加えて、やはりハンデ戦であることがレースを難解にしています」

 おかげで、伏兵の台頭も頻繁に見られ、過去10年の3連単はすべて万馬券。それも、2018年と2024年以外は5万円を超えるオイシイ配当となっており、10万円超えの高額配当も4回ある。

 そうした状況を受けて、藤田記者は馬券検討においてこんな見解を示す。

「1番人気の不振だけでなく、直近4年はトップハンデの馬が馬券にすら絡んでいません。そうなると、実績馬よりも素質やポテンシャルの高さを重視したほうが、馬券的中の近道かもしれません」

 藤田記者は続けて、狙い目となる馬のタイプについてこう言及する。

「開幕週に行なわれるレースですから、当然ながら内枠が有利。

そして、先行力を備えていて、器用に立ち回れるタイプを狙うのがベターでしょう」

 そこで、藤田記者は大駆けが期待できる2頭の伏兵候補をピックアップした。

 1頭目は、ハンデ53kgのエキサイトバイオ(牡3歳)だ。2走前に未勝利戦(3月30日/中京・芝2000m)を勝ち上がって、前走の1勝クラス・あずさ賞(5月17日/京都・芝2000m)でも2着と好走している。

【競馬予想】ラジオNIKKEI賞は1番人気、トップハンデ馬が...の画像はこちら >>

「気性面の幼さや口向きの難しさを抱えていて、未勝利を勝ち上がるまでに5戦を要しましたが、昇級初戦のあずさ賞でも僅差の2着。ここにきて、急成長を示しています。

 これまではモタれる面を懸念して、意識的に左回りのレースを使ってきましたが、新馬戦以来の右回りのレースとなった前走では、そういった悪癖は見せませんでした。器用な立ち回りを見せて、内容のある一戦だったと思います。

 また、前走は雨の影響で外枠有利な状況。直線でも外伸びの傾向が強かったことを考慮すれば、3枠3番発走で最後の直線でも最内を伸びてきたことは、非常に中身の濃いものだったと言えます。不良馬場で持ち時計を詰めた点も、評価に値します。

 母アニメイトバイオは現役時、牝馬三冠レースで奮闘。GIIローズS(阪神・芝1800m)を勝って、GI秋華賞(京都・芝2000m)では2着と健闘しました。

他にも、GI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)2着など、実績のある筋の通った母系です。エキサイトバイオ自身、重賞でもヒケを取らない器の持ち主だと思います。

 前進気勢の強いタイプで、初の小回りコースも吉と出る可能性大。前走で2着に負けたことによって、ハンデも53kg。他馬と比較してかなり恵まれたように見えますから、一発への期待がますます膨らみます」

 藤田記者が推奨するもう1頭は、2勝馬でハンデ55kgのビーオンザカバー(牡3歳)だ。

「2走前の1勝クラス・水仙賞(3月1日/中山・芝2200m)では9着と崩れましたが、道中で折り合いを欠いて、直線では進路がなくて追えず、馬なりのままゴールに入線。度外視していいレースだと思います。

 現に、次走の1勝クラス・山藤賞(4月12日/中山・芝2000m)では、好位でピタリと折り合って、直線に入ってから難なく抜け出すレースぶりを披露。後続に2馬身半差をつける完勝でした。

 しかも、同レースの勝ちタイムは1分59秒0。この時計なら、高速決着が予想される開幕週の福島にも対応できるでしょうし、ペースが流れやすい小回り1800mのほうが競馬はしやすいように思います。

 鞍上の田辺裕信騎手は福島出身で、福島巧者。

今春にはGIII福島牝馬S(福島・芝1800m)を制して、現在福島競馬場で行なわれている4重賞の完全制覇を遂げています。当レースも2勝していて、人馬ともに強調ポイントがあるだけに、侮れませんよ」

 波乱必至の3歳ハンデ重賞。今年も絶対的な存在がいないとなれば、ここに挙げた急成長中の2頭がアッと言わせてもおかしくない。

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