【「函館・芝2000m」で注目の血統は?】
6月29日(日)、函館競馬場で3歳以上馬によるGⅢ函館記念(芝2000m)が行なわれる。
このレースはハンデ戦ということもあって波乱の決着が多く、過去10年の3連単はすべて万馬券。そのうち7回が10万円以上となっており、特に2020年は12番人気→13番人気→3番人気の決着で3連単343万2870円の大荒れとなった。
では、血統的視点から占っていこう。今回は「函館・芝2000m」の過去約10年の種牡馬別成績を基に検証する。1位は19勝のハービンジャーで、2位ハーツクライの13勝を大きく引き離す成績。函館記念も、2023年にローシャムパークが勝利し、2024年はグランディアが2着に入っている。
ハービンジャーは昨年のJRAサイアーランキング8位と、ベスト10には入るが、トップを争うような種牡馬ではない。にもかかわらず、このコースで図抜けた成績を残せるのは、よっぽど相性がいいということだろう。勝率も12.0%と優秀。今年の6月22日に行なわれた遊楽部特別でも、5番人気レイピカケが快勝している。
今回は2頭のハービンジャー産駒が出走予定。筆者が本命に推すのはキミノナハマリア(牝5歳、栗東・千田輝彦厩舎)だ。
同馬は「母の父」がGⅠ皐月賞、GⅠ有馬記念、GⅠドバイワールドCを勝ったヴィクトワールピサという血統だが、このヴィクトワールピサの産駒もこの「函館・芝2000m」が得意で、過去10年で44戦6勝、勝率13.6%と好成績を残している。
こういった血統背景もあり、キミノナハマリアも函館コースを得意としている。2歳新馬戦(芝1800m)を8番人気で勝利し、昨年も五稜郭S(芝1800m)を勝利と、2戦2勝の成績を残している。
近走を見ると、今年に入ってから1月のGⅢ小倉牝馬S(小倉・芝2000m)7着、3月のGⅢ中山牝馬S(中山・芝1800m)10着、4月のGⅡ阪神牝馬S(阪神・芝1600m)11着と成績は冴えないが、昨年に勝った五稜郭Sも、その前走のGⅢ福島牝馬S(福島・芝1800m)での14着(レース中の不利あり)からの一変だっただけに、気にする必要はないだろう。
昨年のエリザベス女王杯以来、ずっと牝馬限定戦を使っていたが、今回は牡牝混合のこのレースを選択。先週、条件的には悪くないGⅢ府中牝馬S(東京・芝1800m)もあったが登録すらせず、ここ1本に絞ってきた。陣営としても勝負の一戦になりそうだ。
【もう1頭の「狙い目」は?】
もう1頭は、ボーンディスウェイ(牡6歳、美浦・牧光二厩舎)を推す。
同馬の父ハーツクライの産駒は、前述のように「函館・芝2000m」と相性がいい。このレースでも2019年にマイスタイルが勝利し、2022年にスカーフェイスが3着。さらに、ジャスタウェイ産駒で孫世代のアドマイヤジャスタは、2020年に15番人気で勝利している。
ボーンディスウェイは函館だけでなく、札幌も含めた北海道シリーズは初出走。これは逆に「狙い目」と言える。
そのほか、2022年のGⅡ弥生賞ディープインパクト記念(中山・芝2000m)は9番人気で3着、今年のGⅢ中山金杯(中山・芝2000m)は8番人気で3着に入っているように、人気薄で激走する傾向もある。近3走は7着、8着、5着とパッとしないだけに、今回もそれほど人気にはならないはず。それを逆手に取って狙うのもいいだろう。
以上、今年の函館記念は、ハービンジャー産駒キミノナハマリア、ハーツクライ産駒ボーンディスウェイの2頭に期待する。