石川祐希のAttack The World vol. 14

 昨年の真夏のパリ。オリンピックの準々決勝でつかみかけていた白星は、その手からこぼれ落ちた。

3年後のロサンゼルス五輪でのリベンジを目指し、新たな指揮官を迎えて再スタートを切った男子バレーボール日本代表。その中心にいるのは、引き続き主将を務める石川祐希だ。

 7月16日からのネーションズリーグ千葉大会からチームに合流するが、パリで得た課題にどう向き合い、今季の代表でどこを目指すのか。

日本男子バレーの主将・石川祐希が語る、国際大会で「ベスト4」...の画像はこちら >>

【新体制の代表チームで「一番重要」なこと】

――石川選手は今季も主将を務めることになります。新たにロラン・ティリ監督を迎えましたが、どんなシーズンにしたいですか。

「新体制となるので重要なシーズンだと思ってます。でも、そんなに焦らずにやりたいですね。まずはそれぞれが自分の立場を理解することや、コンディションをしっかり整えて代表に臨むことが大切です。

 今季はネーションズリーグと世界選手権がありますが、ネーションズリーグは出る選手と出ない選手がいますし、週ごとにメンバーが変わることもあるでしょう。2028年のロサンゼルス五輪に向けた最初の1年になるので、新しいメンバーも含めてお互いのことを知り、監督やスタッフともコミュニケーションを取り、ティリ監督の求めるバレーを選手たちが理解することが一番重要です。そういうことを意識しながら練習や試合に臨みたいですね」

――石川選手はこれまで、個々のレベルアップやチームとしての団結を求め、それを呼びかけてきました。今年はいかがですか?

「引き続き、個の力は高めなければいけないと思いますね。これから、日本代表には若い選手たちが増えてきます。

僕はイタリアのリーグでプレーしているのでイタリアの若い選手たちをよく見ていますが、かなり能力が高く、経験もある選手が多いです。そういった選手と比べると、日本の若い選手はちょっと劣ってしまう。なので、やはり個の力で勝負できるという点は、トライし続けないといけないですし、とても重要なことだと思っています」

【五輪のメダルをつかむための、世界選手権での目標】

――今季、代表として最重要となるのは、やはり世界選手権だと思います。どのような目標を設定していますか?

「コンスタントに世界のベスト4に足を運べるチームになりたいと思っているので、ベスト4を目標にしたいですね。これまでいろいろな大会を戦ってきて、そこに行くことは大変なことだと感じています。

 ベスト4になってからのその先、決勝に進むことや優勝することは、またワンステップ、ハードルが上がることです。そのハードルを越えるためにも、まずは常にベスト4にいるチームになりたい。世界選手権はグループステージからカナダやトルコといった力のあるチームと戦うことになりますし、まったく油断はできません」

――日本が入っているグループG(日本、カナダ、トルコ、リビア)を1位通過すれば、決勝トーナメント1回戦でオランダ、準々決勝でポーランドと対戦する可能性が高そうです。

「そうですね。その通りになれば、ポーランドとの戦いがひとつのヤマ場になるでしょう。他の大会でも、ポーランドのように力があるチームとは絶対にベスト4をかけて戦うことになります。そこで勝ってベスト4に入れるかどうか。

今年だけじゃなく来年以降も、そういった経験がどれだけできるか、そこで勝つ経験をどれだけ積めるかが、今後の日本代表チームにとって大事になってくる。それがロサンゼルス五輪でのメダル獲得という目標につながっていくと思っています」

――パリ五輪が終わったあとのインタビューで、石川選手は「ギリギリの勝負のなかでも、楽しめるメンタルが必要なんじゃないかと思った」という話をされていました。その後、ペルージャで過ごした2024-25シーズンでは、それについてどのように考えてプレーしていましたか?

「ギリギリの勝負のなかで楽しむことはかなり難しいな、と思いましたね。特にペルージャは勝たないといけない、勝つことが当たり前というチームですから。オーナーやファンの方たちも、常に勝つチームという感覚で見ています。でも、当然のことですが、当たり前に勝つことはなかなか難しい。そんなギリギリの勝負のなかで楽しむことは、やっぱり簡単なことではないですね。

 でも、欧州チャンピオンズリーグ(ペルージャが初優勝)の最後に、ようやく形になったなと思っています。いいきっかけをつかむことができたので、それを代表チームでも発揮したいですね」

【プロフィール】

◆石川祐希(いしかわ・ゆうき)

1995年12月11日生まれ、愛知県出身。イタリア・セリエAのペルージャ所属。星城高校時代に2年連続で三冠(インターハイ・国体・春高バレー)を達成。2014年、中央大学1年時に日本代表に選出され、同年9月に代表デビューを飾った。

大学在学中から短期派遣でセリエAでもプレーし、卒業後の2018-2019シーズンからプロ選手として同リーグで活躍している。2021年には日本代表のキャプテンとして東京五輪に出場し、29年ぶりに決勝トーナメントに進出。2024年のパリ五輪でもキャプテンとしてチームをベスト8に導いた。

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