ウナギ・サヤカ 東京ドームへの道 vol.3 後編

(前編:「プロレスを広めたい」ウナギ・サヤカが、今の王者たちに思うこと「何のためにベルトを持っているのか本当に見えない」>>)

ウナギ・サヤカは両国で1600万円の赤字も「今の私なら取り返...の画像はこちら >>

 プロレス界で抜群の発信力を持ち、「自分に一番できることは、この世にプロレスというものを認知してもらうこと」と話すウナギ・サヤカ。企業スポンサーがいないからこそ、自身のYouTubeチャンネルを圧倒的なコンテンツにしなければいけないと考えている。

 6月下旬に公開された動画では、4月の両国国技館大会で1600万円の赤字を出したことを赤裸々に告白。「大丈夫だったんですか?」と聞くと、「大丈夫じゃないですよ!」と言うが......。

【1600万円の赤字を出す大失敗。「でも、まだ全然やれる」】

ウナギ・サヤカ(以下、ウナギ):メンタル的なもので言ったら、スターダムをクビになった時のほうが、ダメージがあったんです。「もしかしたらプロレスができなくなるかもしれない」って思ったから。「終わった......」という気持ちがすごい大きかったんですよ。

今回、1600万円の赤字ってなった時に、客入りとか売り上げとかだけで見たら大失敗なんですけど、自分のなかでは「やってよかった」ってすごく思う。今の私なら取り返せる数字なんだろうなっていう、根拠のない自信があります。

――取り返せる目途が立っている?

ウナギ:まったくなくて......。でも「まだ全然やれる」っていう、謎の自信があるんです。まあ、本当にヤバいんですけど、ヤバいと思っていないです。

――動画では「常に成功し続けなければならないウナギ・サヤカのハードルが取れた」とおっしゃっていました。

早めに失敗しておくのは、確かに悪くないと思います。

ウナギ:そうなんですよね。あの時期にビッグマッチをやったのが、仙女(センダイガールズプロレスリング)の代々木第二体育館と、スターダムの横アリ(横浜アリーナ)ですよね。そこと並んで、私ひとりだけ大失敗したんですよ。

 でも、あそこでベストカード(里村明衣子vs橋本千紘)を切った仙女と、ベストカード(中野たむvs上谷沙弥)を切ったスターダム。 そのベストカードは二度と切れないから、あの人たちはもう失敗できない。でも私は大失敗したから、逆にまだ全然やれるんですよ。

――さすがの鋼メンタル! 何に一番お金がかかったんですか?

ウナギ:後楽園(ホール)でやっていた自主興行と比べて、そんなに大きく何かを変えたわけじゃないんですけど、お金のかかり方が全体的に"0"ひとつくらい違っていた。それを知らなかったというのもあるし、もうちょっとお客さんが来るだろう、と思っていたところもありましたね。

――あの興行で1600万円の赤字だと、ほかの団体は大丈夫なのかなと心配になりました。

ウナギ:ほかの団体はスポンサーがいるじゃないですか。所属選手もいるので、そこに関してはお金がかからないって言ったらあれですけど。

まあ、だから見込みの立て方がわからなすぎて、全部が高かったですね。 思った以上に、圧倒的に高かった。

――動画では「スポンサーを募集したい」とおっしゃっていましたが。

ウナギ:それも難しいんですよね。大きい団体って営業がいるから、そこががっちり取りに行っているんです。「やっぱり大企業の取り方してるな」って、いろいろ勉強していて思います。同じ闘い方だと絶対に勝てないので、そういう意味でも、プロレスラーがやっているYouTubeのなかで絶対的な一番を取って、そこで引っ張ってこられるようにならないといけないなっていうのは、今すごく思っています。

――フリーで興行をやっていくって大変ですね......。

ウナギ:大きな団体には、営業の専門がいて、裏方の専門がいて、SNSの専門がいて、「やっぱり闘えない」と思うところはあるけど、逆に大企業ができないことも私にはできるので。

――ウナギさんだからできることとは?

ウナギ:路上プロレスもそうだし。大企業だと決定するのに、会議を含めて何段階かくぐらなきゃいけないところを、私は「行けます!」って言ったらもうGOなので。そこだけは違うのかな。

【遠くから見ても「プロレスをやってる」とわかる人選】

――では、8月2日の自主興行についてうかがいます。昼興行の「殿はご乱心 ウナギの夏休み」に出場する選手は、シン・広田さくら、花園桃花、網倉理奈、神姫楽ミサ。注目はシン・広田さくら選手ですね。先日の選挙で落選したことに触れるのかどうか。

ウナギ:告知では「シン・広田さくら先生(予定)」って書いたんですけど、庶民になりました。

――どんなことをする予定ですか?

ウナギ:リングが火傷するくらい熱いので、試合はたぶんできないんですよ。まずみんなでラジオ体操をしようかなあ? 遊びたいけど、まだどこまでできるかわからない感じです。でも、めっちゃ遊ぶ! 絶対楽しい!

ウナギ・サヤカは両国で1600万円の赤字も「今の私なら取り返せる」 東京ドームシティでの自主興行は「アトラクションを巻き込みたい」
インタビューに答えるウナギ

――夜興行は「殿はご乱心 夏のウナギ 赤の代合戦」です。アジャコング&水波綾vs. 桃野美桜&梅咲遥というカードが発表になっていますが、アジャ選手とアニキ(水波)が組むのは見たことがないような?

ウナギ:見たことはないですよね。長い歴史があるから、どこかであるのかもしれないけど。わかりやすく信頼できる人にしたいなと思ったんですよ。外でやった時に映える人たちを意識しました。

どれだけ遠くから見ても「プロレスをやってる」って理解してもらえる人たちがいいなと。

――この4人は映えますね! あとは鈴木みのるvsウナギ・サヤカ。鈴木選手とシングルは初めてですか?

ウナギ:はい。実はシングルではやったことないんです。

――前哨戦の路上プロレスは楽しい雰囲気でしたが、バチバチやり合う?

ウナギ:めっちゃバチバチ真剣にやるけど、途中で乗り物に乗らなければいけないルールなんですよ。

――乗り物に乗らないとフォールできない、とか?

ウナギ:それやったら面白いけど、めっちゃ時間かかる......(笑)。

――確かに。でもアトラクションを使うのはいいですね。

ウナギ:東京ドームシティ アトラクションズが70周年で、せっかくそんな記念すべき年にやれるので、アトラクションを巻き込みたいですね。

――内藤哲也選手にも動画でオファーしていましたが、内藤選手は出ない?

ウナギ:今日(7月23日)からイギリスに行くみたいですよ。内藤哲也に関しては、たぶん日本では試合やらないんじゃないですか? というのもあって、動く内藤哲也をみんな見たいだろうなって。そういう回でした。

――内藤選手がたこ焼き屋さんで働くという情報が回って、その日に突撃したんですよね。どうやって情報を得たんですか?

ウナギ:当日、ニュースで知りました。「もう行くよ!」ってカメラも引き連れて。

――そこまでアンテナを張っているのがすごい......。内藤選手はどうでしたか?

ウナギ:マジ、なんもしてなかった。マジ、立ってるだけ。

――アハハハ! 8月2日の自主興行、楽しみにしています。

■撮影協力 : 東京ドームシティ アトラクションズ

【プロフィール】

■ウナギ・サヤカ

1986年9月2日、大阪府生まれ。2019年1月4日、東京女子プロレス後楽園ホール大会にて「うなぎひまわり」としてデビュー。2020年11月、スターダムに初参戦。コズミック・エンジェルズを結成し、12月、アーティスト・オブ・スターダム王座を戴冠。2021年7月、フューチャー・オブ・スターダム王座を戴冠。

2022年10月よりフリーになり、"ギャン期"と称して他団体に参戦。2023年10月、KITSUNE世界王座の初代王者、2024年1月6日、JTO GIRLS王者、1月7日、アイアンマンヘビーメタル級王者となり、三冠王となる。2024年1月、9月、後楽園ホールにて2度の自主興行を開催。2025年4月26日、両国国技館での自主興行を成功させた。168cm、54kg。X:@unapi0902

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