夏の牝馬重賞、GIIIクイーンS(札幌・芝1800m)が8月3日に行なわれる。
過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気は3勝、2着3回、3着1回。
ただ一方で、伏兵の台頭も頻繁に見られ、3連単は2018年を除いてすべて万馬券。2016年には1番人気のシャルールが2着に粘りながら、9番人気のマコトブリジャールが勝利し、11番人気のダンツキャンサーが3着に突っ込んできて、39万7120円の高配当をつけた。他にも、オイシイ配当がしばしば生まれており、波乱含みの一戦と言える。
はたして、今年はどうか。
デイリー馬三郎の木村拓人記者は、気になる馬場状態について触れつつ、波乱ムードを匂わす。
「開幕週の先週は雨の影響もあった札幌開催。高速決着の多かった函館に比べて、時計は少しかかっていました。その分、馬力のあるタイプが奮闘する結果が多かったように感じましたが、開幕週ということもあって、馬場の傷みはなく、天気がよければ、(今週は)ある程度速い時計が出るかもしれません。
それでも、基本的には"洋芝・平坦・小回り"というポイントは変わりません。言い換えれば、軽い馬場で、広くて直線が長い東京競馬場のレースとは真逆の傾向になりやすい、ということ。穴にしても、そうした条件に適った馬が狙い目になるでしょう」
そうして、木村記者は3頭の穴馬候補をピックアップ。
「前走のGIII府中牝馬S(6月22日/東京・芝1800m)は14着でしたが、この馬はまさしく、東京競馬場のレースで見られるような脚力勝負には向かないタイプ。その結果は度外視できます。
しかしその逆、小回りで上がりのかかるコースで力を発揮します。実際、福島競馬場が舞台のGIII福島牝馬S(芝1800m)では、昨年が2着、今年も3着と好走。GIII中山牝馬S(中山・芝1800m)でも、昨年が4着、今年も差のない5着と善戦しています。
こうした戦績から、小回り向きなのは明らか。平坦ならさらに向く、ということは間違いありません。
とにかくこの馬は毎回人気にならないわりに、適した条件では人気以上の走りを見せてくれます。ハンデ戦であれば、なおよかったのですが、そうでなくても、上位への食い込みは十分に期待できます」
木村記者が推奨する2頭目は、レーゼドラマ(牝3歳)だ。
「この馬も力はありますが、上がりがかかったほうがいいタイプ。つまり、東京向きではない馬と言えます。
翻(ひるがえ)って、GIIIフラワーC(3月22日/中山・芝1800m)では好位から抜け出して快勝。小回りなら、評価を一変させることができます。
また、今回は3歳馬なので、斤量53kgというのもプラス。レイチェル・キング騎手騎乗で少し人気になってしまうかもしれませんが、さすがに1番人気にはならないでしょうから、ここは"買い"です」
木村記者が推奨する最後の1頭は、条件クラスを連勝中のパレハ(牝4歳)だ。
「前々走で2勝クラスの松前特別(6月14日/函館・芝1800m)を、前走で3勝クラスの五稜郭S(7月12日/函館・芝1800m)を勝ち上がってきた同馬をピックアップしたのは、単純に『中距離の牡馬相手の定量戦で2、3勝クラスを勝つ馬は、牝馬重賞でも通用する』という持論に基づくところが大きいです。
加えて、同馬は以前にも少し時計のかかった福島・芝2000mのレースを勝っていて、その直後に昇級初戦の中山・芝1800mのレースで2着と好走。今回の舞台における適性は十分です。一発あっても......」
北の大地で行なわれる伝統の牝馬重賞。今年のレースで好配当の使者となるのは、ここに挙げた3頭であってもおかしくない。