【産駒の勝利数よりも勝率を見る】

 8月3日(日)、新潟競馬場の芝1000mで、3歳以上馬によるGⅢアイビスサマーダッシュ(アイビスSD)が行なわれる。

 このレースはJRAで唯一となる芝1000m、かつ直線の重賞競走という名物レース。過去24回行なわれているが、3連単が始まってからの20回のうち19回が万馬券、6回が10万馬券という波乱傾向がある。

 2023年には、9番人気→6番人気→12番人気の決着で、3連単は80万4460円の大波乱。難解だが予想しがいがあるレースとなっている。

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 それでは、このレースを血統的視点から分析していこう。新潟の直線1000mでのレースは、年間20戦以上実施されており、今回は過去約10年の全レースから分析する。

 この新潟・芝1000mの種牡馬別成績を見ると、勝利数はロードカナロア15勝、ダイワメジャー10勝、アドマイヤムーン8勝と続く。そんななかで、21戦5勝と勝利数は多くないが、勝率は23.8%と高い数字を誇るのがアジアエクスプレスだ。

 5勝の内訳を見ると、すべて異なる5頭で5勝している。こういった数字は、1頭による好成績によって大きく左右されることがあるが、多くの馬が結果を残しているのは本当に相性がいい証拠。データとしての信頼度は高い。

 2023年の韋駄天Sでは、メディーヴァルが6番人気からの勝利で単勝1680円。さらに同年の飛翼特別では、アジアノジュンシンが10番人気からの勝利で単勝4940円と高配当も多く、単勝の平均配当は1810円。単純計算ではあるが、アジアエクスプレス産駒21戦すべての単勝馬券を買っていたら約4.3倍になっている計算になるため、無視できない存在と言えよう。

 今回、出走するアジアエクスプレス産駒は1頭で、それがピューロマジック(牝4歳、栗東・安田翔伍厩舎)だ。

 今回が初の新潟コース、初の芝1000mとなるが、日本開催のレースでは10戦連続で逃げているように、スピードは現役馬のなかで間違いなくトップクラス。1200mの持ちタイムも1分07秒1と速く、昨年のGⅠスプリンターズS(中山・芝1200m)で記録した1000m通過タイムは54秒7と、昨年のアイビスSDの勝ちタイム55秒3より0.6秒も速い。距離短縮も大きなプラス材料となるはずだ。

 前走はドバイに遠征し、GⅠアルクオーツスプリント(芝1200m)に出走。ハナは奪えなかったが、ゴール前では目立った脚いろで伸びて5着に入るなど、まずまずの競馬だった。陣営も遠征を経験しての成長を感じているようで、逃げなくても競馬ができるという戦法の幅が広がったのも大きい。人気サイドにはなりそうだが、血統からも能力からも今回は中心に見たい。

【ビッグアーサー産駒のスプリント力にも注目】

 もう1頭はブーケファロス(牡5歳、美浦・清水英克厩舎)を推す。同馬の父はGⅠ高松宮記念(中京・芝1200m)を勝ったビッグアーサーというスプリンターの血統。ビッグアーサー産駒も、この新潟・芝1000mは26戦4勝、勝率15.4%と好成績で、ブーケファロス自身も3戦して昨年の駿風Sを勝利している。

 その勝利後は不振が続いていたが、前走のOP安達太良S(福島・芝1200m)では2着と好走。

オープン昇格後初めての馬券圏内で、レースを重ねた経験がようやく実になった感がある。激走に期待しよう。

 以上、今年のアイビスサマーダッシュは、アジアエクスプレス産駒ピューロマジック、ビッグアーサー産駒ブーケファロスの2頭に期待する。

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