夏の甲子園2025注目選手(野手編)
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8月5日から開幕する第107回全国高等学校野球選手権大会。将来的にプロ球界を沸かせるような逸材はいるのか? 投手編に続き、野手編でも今大会注目の10選手を紹介しよう。
スケール感は2025年高校ナンバーワンの強打者。昨夏の甲子園では、大阪桐蔭戦で勝利を決定づける適時打など、2安打を放った。たくましい体躯と強烈なフルスイングは、インパクト十分だった。今年4月には高校日本代表候補合宿に招集されたが、参加選手のなかでも飛距離はずば抜けていた。まるでピンポン玉のように弾かれる打球は、見る者に畏怖を与える。今夏の石川大会で2本塁打を放ち、高校通算25本塁打。大学進学希望ながら、長い目で進化を見守りたい怪素材だ。

心技体が超高校級の頼れるリーダー。今夏の神奈川大会準々決勝・平塚学園戦の逆転サヨナラ2点適時打は、決着後のふるまいを含めて伝説として語り継がれるだろう。体調万全なら驚異的なスローイングを披露するように、走攻守に高い能力を誇る。打撃はノーステップ打法から力強くコンタクトする。高校2年の5月から名門の主将を務めてきただけに、経験値も精神年齢もケタ違い。

守備でのし上がる可能性を秘めた遊撃手。攻めるべきところは攻め、待つべきところは待つ。メリハリのあるフィールディングは、グラウンドで一層映える。力感がなく、さまざまな角度で投げられるスローイングも頼もしい。線が細く、非力に見られがちな打撃は、自分の間合いで力強くとらえる意外性が光る。チーム戦略との兼ね合いもあるが、塁上で相手バッテリーに一段上のプレッシャーをかけられるようになると、さらに評価が高まりそうだ。高校卒業後は社会人でのプレーを希望している。

自身4回目の甲子園で存在感を示したい遊撃手。今夏の鹿児島大会決勝では4安打4打点の大暴れで、チームの鹿児島3連覇に貢献。今大会で数少ないプロ志望の野手、しかも育成契約でもプロに進む意向を示している。

甲子園のグラウンドを縦横無尽に駆け回る牛若丸。小兵ながら、機敏かつ確実性の高いフィールディングを披露する。難しいバウンドでもこぼさない、しぶとさを感じる守備だ。今年4月には高校日本代表候補強化合宿に招集され、代表監督の小倉全由氏から高い評価を受けた。今春のセンバツでは2試合で無安打に終わったものの、3盗塁をマーク。昨秋の公式戦でも11試合で11盗塁を記録したように、足でかき回せるのは貴重な個性。上の世界でも、相手から嫌がられる選手になるだろう。

美しい放物線を描く和製大砲。今春のセンバツでは、2回戦の山梨学院戦で本塁打をマーク。大会随一のスラッガーとして強烈に印象づけた。流行する「マン振り」のフルスイングではなく、運ぶように飛距離を伸ばす。丸みのあるシルエットと打撃スタイルは、ホームランアーチスト・中村剛也(西武)が重なる。現時点で高校通算18本塁打。今は左翼方向に偏っている打球方向が広がっていくと、手のつけられない打者になりそう。一塁守備の身のこなしも鈍重さはなく、高い次元で進化が見込める素材だ。

パワフルな攻守が光る、今大会随一の捕手。身長172センチと上背は乏しいものの、厚みのある肉体で高校通算20本塁打を放っている。対応力があるだけでなく、ツボにはまれば爆発力も発揮。右方向にも力強い打球を弾き返す。

花巻東に現われた、新たなパイオニア。父・茂幸は巨人などで渋く活躍したバイプレーヤーだったが、その次男はたくましい体躯の右の強打者に成長しつつある。1年夏から主軸を任され、早くも3回目の甲子園になる。ファーストフトライクから果敢に打ちにいくスタイルで、柔らかく、雄大に振り抜く。2ストライク後は大先輩の大谷翔平(ドジャース)を思わせるノーステップ打法でアプローチ。ツボにはまれば、とてつもない初速スピードで打球が弾かれる。同期の赤間史弥もバットヘッドをしなやかに使い、スラッガーらしいスイングができる好素材。

新時代の怪物候補。山梨学院・吉田洸二監督は「日本球界の宝」と形容したが、決してオーバーではない。高校野球界をあげて、温かい眼差しで成長を見守りたい大器だ。遠目にも目立つ巨体に、底知れないエンジンが内蔵。投打とも膨大な可能性を宿しており、本人も「大谷翔平さん(ドジャース)に続く、世界で戦える二刀流になりたい」と大志を抱く。現段階では石橋を叩くように起用されており、野手中心。ひと振りで逸材とわかるスケールと圧力に溢れたスイングから、高校通算25本塁打を放っている。

相手バッテリーを混乱に陥れるリードオフマン。小柄ながらプレーにスピードがあり、状況に応じて何でもできる多才ぶりが魅力。群馬大会決勝・前橋育英戦では、緊迫したタイブレークの先頭打者として登場。