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Netflixシリーズ「ファイナルドラフト」大久保嘉人インタビュー 前編(全3回)

 Netflixシリーズ「ファイナルドラフト」全8話が、8月12日から全世界向けに独占配信されている。賞金3000万円をかけ、出場者25人のアスリートがしのぎを削るリアリティショーだ。

 野球、サッカー、ボクシング、アメリカンフットボール、柔道、水球、体操など、さまざまなジャンルの元選手たちが、それぞれの思いで舞台に立っている。元プロ野球でオリックス時代には首位打者や盗塁王にも輝いた糸井嘉男、プロボクサーの元世界3階級王者である長谷川穂積、女子レスリングでリオデジャネイロオリンピックの金メダリストとなった登坂絵莉のようなメジャーアスリートに加え、ボディビルダー、アルティメット、カバディといったマイナースポーツ界からも"一獲千金を狙う"チャレンジャーが集った。

 いくつものステージを突破し、最後のひとりに生き残れるか。熾烈な競争で、肉体の限界を問う。それは、現役だった日々の自分との対峙だったかもしれない。

 その挑戦者のひとりが、元プロサッカー選手の大久保嘉人だ。

 大久保は、日本サッカー界を代表するストライカーのひとりと言えるだろう。スペインのラ・リーガではデビュー戦で華々しくゴールを決め、日本代表では2010年、2014年と2度のワールドカップに出場した。6チームを渡り歩いたJリーグでは、川崎フロンターレ時代に史上初の3年連続得点王に輝くなどして、J1リーグ歴代最多得点記録を保持している。

 サッカー選手として栄光をつかんだ大久保は、なぜ「ファイナルドラフト」に参加することにしたのか?

 全3回のインタビュー、前編では出演決断の前後について訊いた。

【最初は"痩せられるからいいかな"と】

――大久保さんは2021年に現役を引退後、テレビ出演が増えています。今回、Netflixシリーズ「ファイナルドラフト」に出演することを決めた理由は何ですか?

大久保(以下同)「(番組の)中身は最初、全然知らなくて......。オファーが来たのが去年の4月くらいで、"まだ、だいぶ先のことやなって"感じで。

去年の12月が撮影やったから、『いいよ』って返事をして、"痩せられるからいいかな"と、とりあえず受けることにしました(笑)」

――出演のオファーを受けたときの写真は、某ダイエットのビフォー写真のようでしたが......。

「受けたときは83㎏で、マジでやばいくらい太っていて(笑)。さすがに動きたいな、とは思っていたんですけど、何も目標がないと"めんどくさいじゃん"って。でも、何かあったら自分は目標に向かっていけるタイプだから、これでどうにかなると思いました」

――では、オファーを受けたあとはすぐにトレーニングを始めたんですか?

「全然してなかった(笑)。"あ、やばい"と思ったら、もう9月で。9月の半ばくらいからトレーニングを始めましたね。とりあえず、"見せられる筋肉だけは作ろう"と思って、トレーナーをつけて。ただ、「ファイナルドラフト」で実際にどんなステージを戦うのかはわからなかったから、練習メニューも何をしたらいいの?って」

――よく、それでオファー受けましたね(笑)。

「何があるのかわからないのが、面白いじゃん(笑)。なかなか体を動かさなかったから、奥さんには『早く運動しなさい』って言われていましたよ。ただ、どんな感じかわからないと、なかなか気合が入らなくて。でも、実際にトレーニングをやり出してからは、体がどんどん変化していくから、それがすごく楽しいなと思えました」

【喋ったらいけないのに、糸井(嘉男)さんがバァーってなんか喋っていて(笑)】

――久しぶりのトレーニング、キツくはなかったですか?

「「ファイナルドラフト」に出場する、というわかりやすい目標があったからね。

自分は目標がないと自分を追い込めないんだけど、やり始めたらストイックにやるほうで。かなり追い込みましたよ。子どもたち(長男から四男まで男の子4人)には、『頑張って』と言われて送り出されて。まあ、見せる体はどうにか作れたな、って思ったんですけど、もし走る系のステージがあったら、苦しいかなって......」

――いきなり、雪山を駆け上るステージでした(笑)。

「そう(笑)。とにかく想像がつかなかったから。初日も、誰が出場しているかもわからないなか、目隠しをされて、みんなで車に乗り込んで連れて行かれたんだけど、喋ったらいけないことになっているのに、(元プロ野球選手の)糸井(嘉男)さんがバァーってなんか喋っていて、"これは糸井さんやな"ってすぐにわかりました(笑)。自分は尿意を感じて、我慢できず『トイレに行かせてください!』って頼んで、トイレに行って少し目隠しを外したら、なんかとんでもないところに連れて来られているなって。そこから、さらに遠くに連れて行かれて、目隠しをとった瞬間、"何これ"って......」

賞金3000万円をかけたサバイバル 大久保嘉人がNetflixシリーズ「ファイナルドラフト」出演を決めたワケ
――山登り、あの傾斜はきつそうでした。

「どこまで登るのかな、あの辺かな、と見えているところで目星をつけていたんですけど、スタートして30mも走ると、もう走れなくて。あの辺って思っていたところにも、なかなかたどり着かない(笑)。手を使わないと登れないところもあって、気を抜くと、下に滑り落ちそうになってしまって。

結局、ゴールと思っていた場所より実際のゴールがずっと上だとわかって、"もうマジかよ"って、心が折れちゃいました。すでに乳酸も溜まっているし、"やばい、どうしよう"ってずっと思っていました」

――最初のステージは脱落者がひとりだけでしたが、そのひとりになるのは回避したかったのでは?

「今回の「ファイナルドラフト」に向けてトレーニングしてきたから、"意地でもここで落ちることはできない"って思いながら、ひたすら前の選手についていくことにしました。もう、心は無になっていましたね(笑)。一応、足腰のトレーニングもしたし、せっかくやったんだからって......」

(>>中編に続く)

●Profile 大久保嘉人(おおくぼ・よしと)
1982年6月9日生まれ。福岡県出身。国見高卒業後、2001年にセレッソ大阪入り。J2に降格したプロ2年目からチームの主力として奮闘し、2004年にはスペインのマジョルカに期限付き移籍した。2006年にC大阪に復帰したあとは、ヴィッセル神戸、ヴォルフスブルク(ドイツ)、神戸と渡り歩いて、2013年に川崎フロンターレへ完全移籍。3年連続で得点王に輝いた。その後は、FC東京、川崎F、ジュビロ磐田、東京ヴェルディ、C大阪でプレーし、2021年シーズン限りで現役を引退。日本代表では、2010年南アフリカW杯、2014年ブラジルW杯に出場。国際Aマッチ60試合出場、6得点。

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