夏の新潟開催も残り2週。今週は注目の2歳重賞、GIII新潟2歳S(8月24日/新潟・芝1600m)が行なわれる。
近年はここから飛躍する馬も少なくなく、その注目度は年々増している。スポーツ報知の坂本達洋記者もこう語る。
「ここ最近の勝ち馬を見ても、2021年のセリフォス、2023年のアスコリピチェーノなど、のちのGI馬が名を連ねています。将来を嘱望された素質馬が秋に向けてステップアップを図る一戦として、重要度が高まっているのは確かでしょう。
そして今年も、今春のGI皐月賞(中山・芝2000m)を制したミュージアムマイルの半妹フェスティバルヒル(牝2歳)に、新馬戦(6月15日/東京・芝1600m)で7馬身差の圧勝劇を演じたリアライズシリウス(牡2歳)といった話題の馬たちがエントリー。それぞれ、どんな走りを見せるのか、注目されます」
レースの傾向としては、比較的堅いレースと言える。過去10年の結果を振り返ってみても、1番人気が4勝、2着3回、2番人気が1勝、2着1回、3着4回。上位人気馬が安定した成績を残しており、1、2番人気の両方が馬券から外れた年は一度もない。
そうしたことを踏まえると、坂本記者が先に名前を挙げた人気2頭が有力候補であることは間違いない。坂本記者が言う。
「このレースはキャリアの浅い2歳馬同士の対戦で、どうしてもスローペースになりがち。新潟の速い馬場であっても、ヨーイドンの瞬発力勝負になる傾向が見られます。
しかしながら、未熟な2歳の若駒の争い。何が起こるかわからない。実際、坂本記者も有力馬2頭には一目置きながら、「ひと筋縄ではいかないのが競馬です」と言ってこう続ける。
「今回のレースにおいても、展開次第では大きくレースの行方は変わりそう。おそらくテンの速さからリアライズシリウスがハナに押し出される形になるでしょうが、ポイントとなるのは、目標となるリアライズシリウスに対する各馬の仕掛けどころ。それによって、上位に入ってくる馬は変わってくると思います。つまり、このレースで穴党が期待すべきは"展開のアヤ"です」
そこで、坂本記者は異なる展開を想定して、2頭の穴馬候補をピックアップした。
「1頭目は、サンアントワーヌ(牝2歳)です。東京の新馬戦(6月14日/芝1400m)を鮮やかに勝利。その立ち回りのうまさから、展開がハマれば、上位に食い込める1頭と見ています。
デビュー戦では外枠発走ながらスムーズに流れに乗って、好位の2番手でピタリと折り合って追走。
管理する鹿戸雄一調教師も、その勝ちっぷりを評価。『能力どおりというか、強かったです。人の言うことをちゃんと聞けるし、走ることにも前向き』と、操作性の高さなどを同馬の強みとして挙げていました。
母サンティールは、現役時代に芝1800mで4勝。その血統からして、距離が延びるのもプラスでしょう。
展開的にも、リアライズシリウスの直後でうまく運べれば、直線でかわしての逆転も十分に考えられます。最低でも、2、3着の馬券圏内には粘りきれると踏んでいます。取り口の安定感からも、人気以上の走りが期待できるのではないでしょうか」
坂本記者がオススメするもう1頭は、デビュー予定のレースを取り消したあと、仕切り直しで臨んだ新馬戦(6月22日/東京・芝1600m)を快勝したサノノグレーター(牡2歳)だ。
「目標のリアライズシリウスに対して各馬が早めに仕掛けていく形となり、前が苦しくなったところで差し馬が台頭――といった展開になった場合は、この馬の出番でしょう。初陣では、4角11番手から豪快な末脚を繰り出して白星を挙げましたからね。
そのレースぶりには、鞍上の横山琉人騎手が『ここまでいい脚を使うとは思っていなかったです』と驚きの声を挙げたほど。
豊かなスピードを受け継いでいるのも、同産駒の特長。叔父に2022年のこのレースで2着になったウインオーディンがいるサノノグレーター。叔父同様、あるいはそれ以上の奮闘があっても不思議ではありません」
来春の大舞台に向けても、注視すべき一戦となる新潟2歳S。有力2頭がその資質どおりの力を示すのか。はたまた、意外な伏兵の台頭があるのか。必見である。