メキシコ戦(現地時間9月6日)、アメリカ戦(同9月9日)を戦う日本代表のメンバーが8月28日に発表される。メキシコはFIFAランク13位。
ところが、欧州の新シーズンが始まったいま、候補選手にケガ人が続出している。報道をもとに招集が絶望的な選手、微妙な状態にある選手を挙げれば、以下のとおりとなる。
CB=町田浩樹(ホッフェンハイム)、高井幸大(トッテナム)、伊藤洋輝(バイエルン)、板倉滉(アヤックス)、冨安健洋(所属なし)
MF=守田英正(スポルティング)、田中碧(リーズ)、鎌田大地(クリスタルパレス)
CF=町野修斗(ボルシアMG)
WB=三戸舜介(スパルタ)
さらに、所属クラブの2部降格に伴って移籍を希望し、現在プレーができていない中村敬斗(スタッド・ランス)も選びにくい状態にある。
最終ラインの負傷者には従来のスタメン級が並ぶ。ワールドカップアジア最終予選のラスト4戦でCBを張ったのは以下の選手たちだった。バーレーン戦(3月20日)=伊藤、板倉、瀬古歩夢(ル・アーヴル)
サウジアラビア戦(3月25日)=伊藤、板倉、高井
オーストラリア戦(6月5日)=町田、渡辺剛(フェイエノールト)、関根大輝(スタッド・ランス)
インドネシア戦(6月10日)=鈴木淳之介(コペンハーゲン)、瀬古、高井
このなかで今回招集できそうな選手は、瀬古、渡辺、関根、鈴木しかいないわけだ。インドネシア戦が初代表で、まだ評価が定まっているとは言い難い鈴木を除くと3人だ。CB枠を5、6人とすれば、これ以外から最大2、3人が招集されることになる。
可能性が高いのは谷口彰悟(シント=トロイデン)の復帰だ。所属クラブでは今季、交代出場に限られるが、これまでの実績を踏まえると、最終ラインのまとめ役としての期待がかかる。
【遠藤航にかかる負担が増大】
7月の東アジアE-1選手権に出場した以下の国内組5選手も候補になる。
荒木隼人(サンフレッチェ広島)、古賀太陽(柏レイソル)、安藤智哉(アビスパ福岡)、綱島悠斗(東京ヴェルディ)、植田直通(鹿島アントラーズ)。
このなかで優勢に見えるのは190センチの長身を生かしたヘディングで存在感を発揮した安藤か。
いずれにしてもCBは、今回のアメリカ遠征最大のウィークポイントになる。使えそうな絶対的な人数が少ないことを考えると4バックの採用を勧めたくなる。ただし4バック時のSBも、これまで久しく枠がなかったので、これだという選手の絶対数が不足していることに変わりはない。
メキシコ、アメリカは攻撃的で均整の取れた4バックのチームだ。日本の急造CBが相手を怖がり縮こまれば、おのずと両WBの位置取りも低くなる。東アジアE-1選手権の韓国戦後半のように、ベタ引きにならないか心配になる。
中盤にも不安がある。守備的MFで遠藤航(リバプール)と鉄板の関係を築いてきた守田と、3番手の田中も欠場するとなれば、候補は佐野海舟(マインツ)、藤田譲瑠チマ(ザンクトパウリ)になる。
遠藤が2試合、ほぼフルタイム出場しないと、最終ラインの問題を含めて、ゲームは安定しない。遠藤にかかる負担は大きい。遠藤と守田はともに30歳を超えるベテランだ。来年を考えると、両ベテランに頼るサッカーから脱皮すべき時を迎えている。
守備的MFの4枠目は、E-1選手権で健闘した稲垣祥(名古屋グランパス)や、川辺駿(サンフレッチェ広島)より、6月のインドネシア戦で代表デビューを飾った佐野航大(NEC)のほうが伸びしろがありそうに見える。もう1列高い位置でプレーできる多機能性も光る。大きく化ける可能性を秘めた選手だと個人的には見ているが、さらには旗手怜央(セルティック)を所属クラブより低い位置で起用する手もある。
【チャンピオンシップに多くの注目選手が】
2シャドーはこれまで、南野拓実(モナコ)、久保建英(レアル・ソシエダ)、鎌田の3人で争い、そこから若干遅れて旗手が続くという展開だった。そのなかから鎌田が抜けるとなると、スタメンは南野、久保で決まる。しかし2シャドーは、フルタイム出場するポジションではない。
枠は通常4だ。
中村敬斗が選外になりそうな左WBは、オーストラリア戦で代表デビューした平河悠(ブリストル・シティ)を推したい。左右ができる多機能性。馬力もある。スタッド・ランスからベルギーリーグのゲンクへと所属クラブのレベルを下げた伊東純也より、チャンピオンシップ(イングランド2部)の上位クラブでプレーする選手たちの格は上と見る。インドネシア戦で代表復帰した森下龍矢(ブラックバーン)もしかり。他にも、斉藤光毅(QPR)、坂元達裕(コベントリー)など、試すべきサイドアタッカーがチャンピオンシップには数多く控えている。
1トップは、上田綺世(フェイエノールト)、前田大然(セルティック)大橋祐紀(ブラックバーン)が候補となる。町野を休ませるなら、しばらくメンバーから外れている小川航基(NEC)や、その小川と所属クラブでスタメン争いをしている20歳の塩貝健人を抜擢する手もある。
今回の遠征で不安を抱えるのはCB、守備的MF陣になるが、構造的な問題として捉えるならCFになる。これから9カ月で、この問題をどこまで解決することができるか。最適解を見つけ出すことができるか。