今年のJ1は残留争いも熾烈なものになっている。現降格圏のチームは巻き返しを見せるのか? 残留圏で危ないチームはある? 現状を分析した3人のライターに下位の最終順位を予想してもらった(データは第27節終了時点)。

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【Jリーグ】大混戦のJ1残留争いで下位最終順位を予想 残留・...の画像はこちら >>

【現状の下位3チームは苦しんでいる】

中山 淳(サッカージャーナリスト)

<残留予想> 
15位:清水エスパルス 
16位:名古屋グランパス 
17位:横浜F・マリノス 
18位:湘南ベルマーレ 
19位:横浜FC 
20位:アルビレックス新潟

 残留争いも熾烈だ。ともに27試合を消化した下位8チーム(13位清水エスパルス、14位東京ヴェルディ、15位FC東京、16位名古屋グランパス、17位横浜F・マリノス、18位湘南ベルマーレ、19位横浜FC、20位アルビレックス新潟)が勝ち点12ポイント以内でひしめき合っている。18位に位置する湘南の勝ち点が25ポイントなので、13位清水も湘南との勝ち点差はわずか7ポイントしかない。

 とはいえ、チーム状況から見ると、実際のところ降格の可能性が高いと思われるのは、現在の下位3チームにあたる新潟、横浜FC、湘南だ。

 まず、松橋力蔵監督をFC東京に引き抜かれた新潟は、開幕前から苦戦が予想されていた。実際にふたを開けてみても、開幕から8戦白星なしでスタートしてしまい、現在も6月下旬から6連敗を含む8戦白星なしと、苦境が続く。

 とりわけシーズン途中に複数の主力が流出。代わりにふたりの助っ人外国人選手を含めた計7人の新戦力を加えたが、その効果はまだ出ておらず、むしろチーム作りに苦労している状況だ。

 しかも、6月23日に樹森大介監督からバトンを受けた入江徹新監督になってから、立て直しどころか白星から遠ざかっていることも痛い。終盤戦の巻き返しは難しいだろう。

 横浜FCも、7月23日に成績不振によって四方田修平監督を解任。三浦文丈コーチが監督に昇格する格好となった。もちろん、17位横浜FMとの勝ち点差はわずか3ポイントなので数字上は残留の可能性は十分に残っているが、三浦新監督の初陣を落として7連敗を喫するなど、なかなか明るい兆しが見えてこないのが実情だ。

 希望の光は、Jリーグでは実績十分の新戦力FWアダイウトン、同じく新守護神としてヤクブ・スウォビィクを迎えたことと、実践するサッカーが守って数少ないチャンスを生かすことを目指した四方田体制と違って、よりゴールを目指す積極的なスタイルに変わりつつあることか。そこに活路を見いだせるかが、終盤戦のカギとなりそうだ。

 毎年のように残留争いに巻き込まれながら、7年連続でJ1残留を続けている湘南も、さすがに今季は厳しいと言わざるをえない。とりわけ主力の流出が大きなマイナス材料になっていて、最後に白星を飾った5月11日の東京V戦以降、現在に至るまで実に11試合連続で勝利から遠ざかっている。

 この苦境をいかにして脱出するか。山口智監督の去就にも注目が集まりそうだ。

【重要なのはどれだけ失点を抑えるか】

篠 幸彦(スポーツライター)

<残留予想> 
15位:FC東京 
16位:横浜F・マリノス 
17位:名古屋グランパス 
18位:湘南ベルマーレ 
19位:横浜FC 
20位:アルビレックス新潟

 残留争いは現在13位までの清水エスパルスまでは、最後までわからない勝ち点差になっていると見ている。

 そのなかで最下位予想になってしまうのが、現在最下位のアルビレックス新潟。一番の理由は当然ながら勝ち点20というポイントの低さ。残留圏まで現時点で勝ち点6は必要だが、その6ポイントが遠い。

 この夏に積極的に補強し、ブーダやマテウス・モラエスという前線のタレントは、前節(第27節)鹿島アントラーズ戦でも強力なパフォーマンスを見せていた。しかし、残留争いで重要となるのは、どれだけ失点を抑えるか。

 勝てなくとも失点を抑え、勝ち点1でももぎ取れるかが、最終的に効いてくる。

その点で、後方の補強が薄いのは厳しい戦いを強いられるだろう。

 横浜FCも勝ち点でわずかに新潟を上回っている状態で、厳しいと言わざるを得ない。なにより横浜FCを難しい立場にしているのは、FC町田ゼルビア柏レイソル、鹿島アントラーズ、京都サンガF.C.と上位との対戦を4試合も残していること。しかもそのうち3試合がアウェー戦だ。

 6ポイントマッチも新潟、湘南ベルマーレ、名古屋グランパスと残しているが、上位との対戦がこれだけあるとポイントを稼ぐのは至難の業だろう。

 湘南は前節で横浜F・マリノスと入れ替わって降格圏に落ちた。同勝ち点だが得失点差で、横浜FMに上回られた。湘南が不利となるのはその得失点差の部分である。横浜FMの-8に対して、湘南は-20と大きく差が開いている。

 リーグでは11試合も勝ち星から遠ざかっているわけだが、とにかく失点が多い。後期に入っても8試合のうち6試合で複数失点している。この失点の多さは、残留争いにおいて厳しく、補強でも補えていない。

 名古屋は一時調子を上げたかに思えたが、ここにきてリーグ4連敗と失速。降格圏とわずか3ポイント差に迫られている。DF藤井陽也が復帰し、どれだけ守備の安定を取り戻すことができるか。

 横浜FMは今季大不振に陥ってきたが、守備の安定感を取り戻してきていることが、ここからの戦いで大きな後押しになるだろう。後期に入って11ポイントと急激に勝ち点を稼いできている。

 ただ、上位との対戦を5つ(ヴィッセル神戸、柏、サンフレッチェ広島、京都、鹿島)も残しているため、決して安心できるような状況ではない。それでも守備が整ってきたことで、残留は大いに近づいたと見ている。

 FC東京は長倉幹樹の加入によって、攻撃面は改善されてきているが、守備の安定感は欠いている。そこがひとつ上の東京ヴェルディと大きく違うところ。前述している通り、残留争いは守備で粘れるかが大きなポイントだ。

 降格圏と勝ち点が5ポイント差あるとはいえ、15位~18位は逆転する展開はいくらでもあるだろう。

【残る1枠は最後まで目が離せない争い】

浅田真樹(スポーツライター)

<残留予想> 
15位:東京ヴェルディ 
16位:横浜F・マリノス 
17位:名古屋グランパス 
18位:湘南ベルマーレ 
19位:横浜FC 
20位:アルビレックス新潟

 夏の戦力移動が例年になく活発だった印象のある今季だが、それが残留争いに大きく影響を与えそうな気配は、現段階ではうかがえない。

 つまりは、従来からの流れが大きく変わることはなさそう、ということだ。

 まず、クラブ史上初となるJ2降格が目の前にちらついていた横浜F・マリノスだが、一時の危機的状況は回避したように見える。

 J1を制した2019、2022年当時とはサッカーが変わってしまったとはいえ、チーム状態は上向いており、戦いぶりは落ち着いてきた。頼みのブラジル人トリオがまとめて去ったのは、大きな痛手であることは間違いないが、それでもJ2降格は避けられるのではないだろうか。

 その一方で、J2降格が避けがたいものになってきたのが、アルビレックス新潟と横浜FCの2クラブ。どちらも前監督の解任に踏みきり、どうにか窮地を脱しようと必死だが、いわゆる"解任ブースト"も大きな後押しとはなっていない。

 特に最下位に沈む新潟は、深刻な状況にある。シーズン序盤からなかなか白星を並べられない試合が続き、夏場に入って6連敗。次々に主力選手がクラブを去った一方、数の上では進んだ補強も、功を奏しているようには思えない。

 第27節の鹿島アントラーズ戦(●1-2)を見ても、入江徹新監督が「(1-1の状況で)攻めるか、守るか、迷った」と話し、敗戦を悔いているようでは、指揮権を託す人選は正しかったのかと不安は一層大きくなる。ここから残留圏内まで順位を上げるのは、かなり困難なタスクだろう。

 同じく、夏場に7連敗を喫した横浜FCも、連敗こそストップさせたものの、状況を一変させるには至っていない。

Jリーグ経験のある外国人選手を新たに加えてもなお、降格圏脱出は難しいだろう。

 予想が難しいのは、残る1枠。これについては、最後まで目が離せない争いになりそうだ。前出の横浜FMにしても、完全に降格危機を脱したわけではなく、ここに入ってしまったとしても不思議はない。

 ただ、現時点でのチーム状態を見る限り、最も危うい状況にあると感じるのは、湘南ベルマーレだ。

 シーズン開幕当初のハツラツとした戦いぶりは影を潜め、長い連敗こそないものの直近11試合は勝ちなし(4分7敗)。そもそもチーム状態が下降線をたどっていた上に、日本代表選出の鈴木淳之介をはじめ、主力が次々に海外移籍したとあっては、ポジティブな材料は見つけにくい。

 そしてもう1クラブ、まだ降格圏にこそ足を踏み入れていないが、かなり心配な状態にあるのが、名古屋グランパスだ。

 第24節の横浜FM戦(●0-3)では、どちらが最下位かわからないような内容で完敗を喫し、案の定と言うべきか、そこから4連敗。たちまち残留争いに加わってきた。もはやJ2降格の"穴候補"と言っていいだろう。

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