2025-26欧州サッカー注目クラブフォーメーション ビッグクラブ編
2025-26シーズンの欧州サッカー各リーグは移籍期間も終了し、いよいよ本格スタートとなる。ここでは国内リーグと共にチャンピオンズリーグ制覇も狙うビッグクラブのメンバーと主要フォーメーションを紹介する。
パリ・サンジェルマン
【4-3-3】FW:ブラッドリー・バルコラ(フビチャ・クバラツヘリア)、ウスマン・デンベレ(ゴンサロ・ラモス)、デジレ・ドゥエ(イブラヒム・ムバイエ)
MF:ファビアン・ルイス、ジョアン・ネベス(イ・ガンイン)、ヴィティーニャ(ウォーレン・ザイール=エメリ)
DF:ヌーノ・メンデス(リュカ・エルナンデス)、ウィリアン・パチョ(ルーカス・ベラウド)、マルキーニョス(イリア・ザバルニー)、アクラフ・ハキミ
GK:リュカ・シュバリエ(マドベイ・サフォノフ)
フランス初の3冠を遂げた後、クラブW杯でも準優勝と、ほぼ完璧な昨シーズンを送ったチームに大きな変化はない。迎えた即戦力はセンターバック(CB)のイリア・ザバルニーとGKリュカ・シュバリエくらいで、逆にクラブ史上最高のシーズンを最後尾から支えた世界屈指のGKジャンルイジ・ドンナルンマを「技術的な問題」(ルイス・エンリケ監督)により、マンチェスター・シティに放出した。
レギュラーメンバーもほぼ不動だ。欧州を制した11人からの変更はGKくらい。プレミアリーグで評価を高めたザバルニーも、マルキーニョスとウィリアン・パチョのCBコンビに割って入れるかはまだわからない。
下部組織出身でクラブ史上最年少公式戦出場記録を持つ、現在19歳のウォーレン・ザイール=エメリは昨季、2月に負傷してから中盤における序列を下げたが、ライトバックもこなせる汎用性の高さと、この年齢にしてキャプテンを任されるリーダーシップを兼ね備え、出場機会はありそうだ。
クラブはアイデンティティーを確立するために、有望なフランス人の若手を重視しており、リーグアン開幕戦では17歳のイブラヒム・ムバイエが前線で先発している。
バルセロナ

FW:フェラン・トーレス(ロベルト・レバンドフスキ)、ラフィーニャ(マーカス・ラッシュフォード)、ラミン・ヤマル
MF:ダニ・オルモ(フェルミン・ロペス)、ペドリ(マルク・カサド)、フレンキー・デ・ヨング(ガビ)
DF:アレックス・バルデ(ジョフレ・トレンツ)、パウ・クバルシ(アンドレアス・クリステンセン)、ロナルド・アラウホ(ジェラール・マルティン)、エリック・ガルシア(ジュール・クンデ)
GK:ジョアン・ガルシア(ヴォイチェフ・シュチェスニー)
就任1年目にラ・リーガとコパ・デル・レイの2冠を果たしたハンジ・フリック監督は、熟成路線で自身2度目の欧州制覇を目指す。
財政面に問題を抱えていることもあり、それなりの移籍金を支払って獲得したのは、GKジョアン・ガルシアのみ(推定移籍金2500万ユーロ/約43億円)。昨シーズンに飛躍的に成長し、ラ・リーガのベスト11にも選出された24歳の新守護神は、衰えの隠せないヴォイチェフ・シュチェスニーより数段、クオリティーに優れる。
また即戦力としては、マンチェスター・ユナイテッドの下部組織からファーストチームに上がりながら、近年はチームの不調に足並みを揃えるように不振が続いていたマーカス・ラッシュフォードをローンで獲得している。
いずれにせよ、今季もチームの不沈の鍵を握るのは、ウイングのラミン・ヤマルとCBパウ・クバルシの18歳の生え抜きコンビの出来や、ロベルト・レバンドフスキやペドリのコンディションとなるか。

FW:キリアン・エムバペ(ゴンサロ・ガルシア)、ヴィニシウス・ジュニオール(ロドリゴ)、フランコ・マスタントゥオーノ(ブラヒム・ディアス)
MF:アルダ・ギュレル(ジュード・ベリンガム)、オーレリアン・チュアメニ(エドゥアルド・カマビンガ)、フェデリコ・バルベルデ(ダニ・セバージョス)
DF:アルバロ・カレーラス(フラン・ガルシア)、ディーン・ハイセン(アントニオ・リュディガー)、エデル・ミリトン(ラウール・アセンシオ)、トレント・アレクサンダー=アーノルド(ダニエル・カルバハル)
GK:ティボー・クルトワ(アンドリー・ルニン)
6シーズンぶりにメジャータイトルと無縁に終わったチームは改革に乗り出し、一昨季にレバークーゼンでブンデスリーガを無敗で制したOB、シャビ・アロンソを新監督に招聘した。
高齢化が懸念されていた最終ラインに、20歳のスペイン代表CBディーン・ハイセンと22歳の左サイドバック(SB)アルバロ・カレーラスという評価の高い若きタレントを迎え、世代交代を進めている。リバプール一筋だったライトバックのトレント・アレクサンダー=アーノルドも加えているが、今のところ、こちらは主将のダニエル・カルバハルと併用されている。
ウイングにはアルゼンチンの名門リーベルプレートが送り出す近年の最高傑作と名高い、18歳の超新星フランコ・マスタントゥオーノを獲得。才能に溢れるレフティーは、ロドリゴやブラヒム・ディアスとの熾烈なポジション争いを制して、リーガ第2節から2試合連続で先発を飾っている。昨夏にトニ・クロース、今夏にルカ・モドリッチが抜けた中盤は、構成力の低下が懸念されており、開幕前に手術を受けて離脱中のジュード・ベリンガムが復帰するまで、新指揮官がどう対応するか見ものだ。
アーセナル

FW:カブリエウ・マルティネッリ(エベレチ・エゼ)(レアンドロ・トロサール)、ビクトル・ギェケレシュ(カイ・ハヴァーツ)、ブカヨ・サカ(ノニ・マドゥエケ)(マックス・ダウマン)
MF:デクラン・ライス(ミケル・メリーノ)、マルティン・ウーデゴール(イーサン・ヌワネリ)、マルティン・スビメンディ(クリスティアン・ノアゴール)
DF:リッカルド・カラフィオーリ(マイルズ・ルイス=スケリー)、ガブリエウ・マガリャンイス(ピエロ・インカピエ)、ウィリアン・サリバ(クリスティアン・モスケラ)、ユリエン・ティンバー(ベン・ホワイト)
GK:ダビド・ラヤ(ケパ・アリサバラガ)
プレミアリーグで3シーズン連続の2位に終わり、最後の壁を乗り越えるために一線級のタレントを次々に獲得した。なにより不在を嘆かれていた正統派ストライカーに、超人気銘柄ビクトル・ギェケレシュを迎えられたのは大きい。その両翼にも、エベレチ・エゼとノニ・マドゥエケというプレミアリーグ経験者を加え、前線の選手層が大幅に増している。
中盤にも多くの競合との争奪戦を制してマルティン・スビメンディ、ベテランのクリスティアン・ノアゴールを加え、クオリティーはさらに高まるはずだ。最終ラインにも、ピエロ・インカピエとクリスティアン・モスケラを迎え入れてバックアップ体制を整えた。
昨シーズンからミケル・アルテタ監督がリーグ優勝にもっとも必要と感じているのは堅守のようで、今季も開幕から2試合連続でクリーンシートを達成。
マイルズ・ルイス=スケリーとイーサン・ヌワネリの10代の生え抜きコンビに続き、15歳のアカデミー出身者の超新星マックス・ダウマンも早々に台頭し、大きな注目を集めている。第2節リーズ戦ではボックス内でファウルを受けてPKを得るなど、すでにこの舞台で決定機にも関与している。
マンチェスター・シティ

FW:オマル・マルムシュ(ジェレミー・ドク)、アーリング・ハーランド(ラヤン・シェルキ)、オスカー・ボブ(サビーニョ)
MF:ベルナルド・シウバ(マテオ・コバチッチ)、タイアニ・ラインデルス(フィル・フォーデン)、ロドリ(ニコ・ゴンサレス)
DF:ラヤン・アイト=ヌーリ(ナタン・アケ)、ルベン・ディアス(ヨシュコ・グバルディオル)、ジョン・ストーンズ(アブドゥコディル・フサノフ)、リコ・ルイス(マテウス・ヌネス)
GK:ジェームス・トラフォード(ジャンルイジ・ドンナルンマ)
昨季はジョゼップ・グアルディオラ監督がキャリア最大のスランプに陥り、シティに就任した2016-17シーズン以来の無冠に終わった。それでも自身の契約を昨季中に更改した指揮官は、フレッシュなスタートを切るべく、血の入れ替えを敢行している。
8シーズンにわたってゴールマウスに君臨したエデルソンを放出し、昨季のパリ・サンジェルマンの3冠に貢献したジャンルイジ・ドンナルンマを招いた。同じく8シーズン在籍していたSBカイル・ウォーカー(昨季後半戦はミランにローン)も手放し、サイドは異なるものの、ラヤン・アイト=ヌーリを加えている。
中盤では、こちらも重鎮ケビン・デ・ブライネと10年間にわたる協働に終止符を打ち、オランダ代表タイアニ・ラインデルスでその穴を埋めようとしている。
ただし昨シーズンの夏と冬に迎えた新戦力に当たりと呼べる選手はおらず、今夏のニューカマーも小粒な印象は拭えない。そして開幕したプレミアリーグでは、第3節を終えて1勝2敗の13位。どこにも手に負えないほどの強さを誇ったかつてのシティは、今季に戻ってくるだろうか。
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