2025-26欧州サッカー注目クラブフォーメーション 日本人所属クラブ編
三冠を目論む遠藤航のリバプールやチャンピオンズリーグに挑戦するフランクフルトの堂安律など、新シーズンの欧州サッカーは日本人選手のプレーからも目が離せない。こちらではそんな日本人選手が所属する注目クラブの主要フォーメーションを紹介する。
>>前編「PSG、バルセロナ、シティ...ビッグクラブ編」
リバプール
【4-2-3-1】FW:コーディ・ガクポ(リオ・ングモハ)、アレクサンデル・イサク(ウーゴ・エキティケ)、モハメド・サラー(フェデリコ・キエーザ)
MF:フロリアン・ビルツ(ドミニク・ソボスライ)、アレクシス・マック・アリスター(カーティス・ジョーンズ)、ライアン・フラーフェンベルフ(遠藤航)
DF:ミロシュ・ケルケズ(アンドリュー・ロバートソン)、フィルジル・ファン・ダイク、イブラヒマ・コナテ(ジョー・ゴメス)、ジェレミー・フリンポン(コナー・ブラッドリー)
GK:アリソン・ベッカー(ギオルギ・ママルダシュビリ)
プレミアリーグ王者が直後の移籍マーケットでも主役を演じた。今夏の欧州トップとなる総額4億1500万ポンド(約828億円)を投じて、前線と最終ラインを大幅にレベルアップさせたのだ。
今回のマーケットで最も人気を集めたアタッカーのふたり、アレクサンデル・イサクとフロリアン・ビルツをどちらも英国史上最高額の移籍金で獲得(最終日に決まったイサクの1億2500万ポンド/約250億円が現時点での最高額)。さらにはウーゴ・エキティケも加え、多士済々な攻撃陣が出来上がった。
最終ラインは、生え抜きのトレント・アレクサンダー=アーノルドが抜け、穴ができた右だけでなく、左にも新戦力を補強している。左のミロシュ・ケルケズはアンドリュー・ロバートソンを差し置いて定位置を掴み、右のジェレミー・フリンポンもコミュニティ・シールドで得点するなど、上々の滑り出しを見せていたが、リーグ開幕節に負傷離脱。
そこに交代で入った遠藤航はまずまずだったが、翌節から先発したドミニク・ソボスライが開眼。第3節アーセナル戦では、新しいポジションで良質なパフォーマンスを披露したうえ、とてつもないFKで決勝点まで奪っている。
ブライトン

FW:三笘薫、ダニー・ウェルベック(ジョルジニオ・ルター)、ヤンクバ・ミンテ
MF:ディエゴ・ゴメス(ブラヤン・グルダ)、ヤシン・アヤリ(ジャック・ヒンシェルウッド)、カルロス・バレバ(ジェームズ・ミルナー)
DF:マキシム・デ・カイパー(フェルディ・カディオグル)、ルイス・ダンク(オリビエ・ボスカリ)、ヤン・ポール・ファン・ヘッケ(ディエゴ・コッポラ)、ヨエル・フェルトマン(マッツ・ウィーファー)
GK・バート・フェルブルッヘン(ジェイソン・スティール)
フロントが選手の売り時を逃さず、毎年、多くのメンバーが入れ替わるなか、三笘薫は入団した2022-23シーズンから左ウイングの定位置を守り続けている。28歳にしてチーム最高の市場価値を持つ日本代表が、今季もエースだ。
同じように3シーズン以上、先発の座を維持しているのは、主将でセンターバックのルイス・ダンクとセンターフォワードのダニー・ウェルベックくらいで、今シーズンも主に2、3年目の選手がそれ以外のポジションを任されている。
例年どおり、新戦力は国際的に知名度の低い若手が多いため、即戦力は少ない。
昨季にプレミアリーグ史上最年少で監督に就任した現在32歳のファビアン・ヒュルツェラー監督は、新シーズンも自発的で攻撃的なスタイルで上位を狙う。春に英国のファッション誌のインタビューで、「人間の身体の限界はとても高いと、私は強く信じている。それに挑戦しようとする人が少ないだけだ」と語ったように、自らを追い込み、チームにもハードワークを求める指揮官だ。
レアル・ソシエダ

FW:アンデル・バレネチェア(ゴンサロ・ゲデス)、ミケル・オヤルサバル(オーリ・オスカールソン)、久保建英
MF:パブロ・マリン(ヤンヘル・エレーラ)、ルカ・スチッチ(ブライス・メンデス)(カルロス・ソレール)、ベニャト・トゥリエンテス(ジョン・ゴロチャテヒ)
DF:アイエン・ムニョス(セルヒオ・ゴメス)、ドゥイェ・チャレタ=カー(アリツ・エルストンド)、イゴール・スベルディア(ジョン・マルティン)、ホン・アランブル
GK:アレックス・レミロ(ウナイ・マレロ)
昨オフのロビン・ル・ノルマンとミケル・メリーノに続き、今夏はマルティン・スビメンディと、2シーズン連続でチームの主軸を放出した。モダンフットボールにおける中堅クラブの宿命とも言えるが、最終ラインと中盤のキープレーヤーを失った昨季は、リーグ戦で7シーズンぶりの二桁順位(11位)で終了。さらなる主力を手放した今季はどうなるか。
チームでもっとも市場価値の高い久保建英は、主将のミケル・オヤルサバルと並ぶ攻撃の要だ。新加入のゴンサロ・ゲデスがウイングの控えに入り、昨季は期限付きでパリ・サンジェルマンからウェストハムに移っていたカルロス・ソレールが中盤の層を厚くする。
7シーズンにわたって指揮を執ったイマノル・アルグアシル前監督の後任には、こちらもBチームからの昇格となったセルヒオ・フランシスコ監督が就いた。客観的に見て戦力ダウンしたチームを立て直すべく、ファーストチームのことだけに集中してきた新指揮官だが、ここまでリーグ戦で2分1敗とまだ白星がない。4-3-3と4-4-2を試しているが、最適解はまだ出ていない。
フランクフルト

FW:ジャン=マテオ・バホヤ(ミシー・バチュアイ)、ヨナタン・ブルカルト(エリー・ワヒ)、堂安律(アンスガー・クナウフ)
MF:ジャン・ウズン(マリオ・ゲッツェ)、ファレス・シャイビ(エリス・スキリ)、ヒューゴ・ラーション(オスカー・ホイルンド)
DF:アルトゥール・テアテ(ナサニエル・ブラウン)、ロビン・コッホ(オーレル・アメンダ)、ナムディ・コリンズ、ラスムス・クリステンセン(アウレリオ・ブタ)(エリアス・バウム)
GK:ミヒャエル・ツェッテラー(イェンス・グラール)
3シーズンぶりのチャンピオンズリーグに挑むドイツの雄が、新たな攻撃の核のひとりとして堂安律を迎え入れた。
2022年に鎌田大地と長谷部誠を擁したチームがヨーロッパリーグを制してから、フィリップ・コスティッチ、ランダル・コロ・ムアニ、ウィリアン・パチョとオマル・マルムシュ、そして今オフはウーゴ・エキティケと、毎年エースクラスを放出しながら、ブンデスリーガで7位、6位、3位と順位を上げている。
その理由は賢明なクラブ運営にあり、高額で売却した主力の穴をきちんと埋める新戦力を獲得しているからだ。その意味で、現在27歳の左利きの日本代表アタッカーも大きな期待を背負っている。
エキティケの後釜として迎えられたヨナタン・ブルカルトはリーグ開幕戦で負傷離脱。エリー・ワヒやミシー・バチュアイでも穴は埋まるが、ドイツ代表にも名を連ねるニューカマーの早期復帰が待たれる。3年目のディノ・トップメラー監督は組織的なハイプレスと一気に畳み掛けるショートカウンターに磨きをかけ、リバプールやバルセロナとの対戦が組まれたチャンピオンズリーグ(CL)でも上位を目指す。
モナコ

FW:フォラリン・バログン(パリス・ブルナー)
MF:アレクサンドル・ゴロビン(アンス・ファティ)、南野拓実(ミカ・ビエレス)(ジョージ・イレニケナ)、マグネス・アクリウシェ
MF:ラミン・カマラ(アラジ・バンバ)(ポール・ポグバ)、デニス・ザカリア(ママドゥ・クリバリ)
DF:カイオ・エンリケ(カソム・ウワタラ)、クリティアン・マウィッサ(モハメド・サリス)、エリック・ダイアー(ティロ・ケーラー)、ジョーダン・テゼ(バンデルソン)
GK:ルーカス・フラデツキー(フィリップ・ケーン)
2年前にザルツブルク時代の恩師アディ・ヒュッター監督と再会すると、南野拓実はここ2シーズン、トップ下や両翼でレギュラーを担っている。今季も現在30歳の日本代表は試合を決める活躍を見せており、リーグ戦で初めて先発を離れた第3節ストラスブール戦では、後半終盤に投入されると、追加タイムに決勝点を記録した。
2シーズン連続でCLに出場するチームは今オフ、興味深い選手をふたり迎えている。6月にドーピング違反により1年半の出場停止処分を受けていたポール・ポグバの獲得を発表すると、現在32歳の元フランス代表にして2018年のW杯王者は涙を流しながら、新天地からの「信頼」に謝辞を述べた。
もうひとりは、ラミン・ヤマル以前のバルセロナの最年少得点記録を持っていたアンス・ファティ。
どちらもまだモナコで出番はないが、CLのメンバーに入っており、じきに南野との共演もありそうだ。