現地発! スペイン人記者「久保建英コラム」
久保建英のレアル・ソシエダは、ラ・リーガ開幕から4試合連続未勝利と非常に厳しい状況に陥っている。そうしたなか、今回はスペイン紙『ムンド・デポルティボ』でレアル・ソシエダの番記者を務めるウナイ・バルベルデ・リコン氏に、チームの今季の戦い方や最終的な成績を予想してもらった。
【4-4-2の採用はあり得る】
新たなプロジェクトを構築する過渡期にあるレアル・ソシエダでプレーする久保建英。今季はゼロからのスタートではないとはいえ、多くの変化と不確実さを伴っているため、簡単な一年とはならないだろう。
今季は欧州カップ戦に参加しないことで、セルヒオ・フランシスコ監督はローテーションを組む必要がなくなる。そのため、全員が万全の状態にあるなかでどのシステム、どのプレースタイル、どのスタメンを採用するかという注目点がシーズン前にあった。だが実際は、メンバー決定が遅れ、フィジカル面やプレー面で問題が出たことで、ラ・レアル(レル・ソシエダの愛称)は4試合を終えた今も1勝も収められていない。成功への道筋を模索し続けなければならない状況だ。
久保は今夏プレシーズン中に日本で、クラブに補強を要求する発言をしていた。動き出しは遅かったが、最終的にドゥイェ・チャレタ=ツァル、ゴンサロ・ゲデス、ジャンヘル・エレーラ、カルロス・ソレールの新加入が決定した。
チームのスポーツディレクター、エリック・ブレトスは今夏の補強を評価した際、MFが多数いることについて、「今のチームに満足している。監督はたくさんの優秀な人材をうまく活用できるだろう。中盤ダイヤモンド型はセルヒオが快適と感じるシステムであり、我々はそれを計画に考慮した」と明かした。これはシーズンのある時点で、監督がそのシステム(中盤ダイヤモンド型)を採用する可能性が高いことを意味する発言だ。
おそらくどのシステムであっても、ウイングを起用する近年の基本構造は維持されるだろう。
しかし、メンバー編成やブレトスの発言、そしてセルヒオ・フランシスコが夏に行なったテストを振り返ると、中盤の枚数を増やす可能性も否定できない。つまり、今のシステムが機能しない場合、中盤ダイヤモンド型の4-4-2への変更は現実的な選択肢となり得る。
実際に中盤ダイヤモンド型の4-4-2に変更された場合、久保が起用される可能性の高いのはFWになるだろう。それは3シーズン前にイマノル・アルグアシル監督のもと、重傷で離脱していたミケル・オヤルサバルに代わりアレクサンデル・セルロートと前線でコンビを組み、トップ下のダビド・シルバと共にプレーしたシステムだ。
前線のポジションにたくさんの選手がいるなか、久保にとってゲデスはその特徴から競争相手となり、オヤルサバルやオーリ・オスカールソンのようなクラシックなFWもポジション争いのライバルになり得る。また、可能性は低いが、久保かオヤルサバルがトップ下に入り、そのどちらかとオスカールソン、ゲデス、バレネチェアが2トップを組むオプションもあるだろう。
いずれにせよ、チームが機能するまでセルヒオ・フランシスコはメンバーを変え続けるだろうし、競争が激しくなることが予想されるため、久保は継続的によりよいパフォーマンスを見せなければならない。
【久保は9ゴール4アシスト】
そうしたなか、今季のラ・レアルを予想するのはいつも以上に難しいと言える。なぜなら、トップリーグ経験のないセルヒオ・フランシスコの新監督就任、最重要の選手であったマルティン・スビメンディの売却、その後任が期限付き移籍先の2部ミランデスで成功を収めてトップチームデビューを飾ったばかりの下部組織出身、ジョン・ゴロチャテヒであることなど、チームが劇的に変化したためだ。
ラ・レアルは6年ぶりに欧州カップ戦不参加であるにもかかわらず、26人もの選手を抱える大所帯となっている。これは選手のマネジメントという点で大きなリスクを伴っている。さらに補強選手のうちふたり(ゲデス、カルロス・ソレール)はここ数年安定性を欠いた状態で、最も切望されたもうひとり(ジャンヘル・エレーラ)は負傷した状態でやって来ている。
今季を分析する前に、こうした点を指摘しておく必要があるが、私はかなり楽観的だ。出だしの悪さを覆し、欧州カップ戦の出場権を獲得できる順位でシーズンを終えてくれると信じている。しかしそれは、ラ・リーガが再びチャンピオンズリーグの追加枠を獲得し、7位と8位に褒美が与えられるかどうかに大きく左右されることになる。
私はラ・レアルが今季は7位で終わると予想している。7位はカンファレンスリーグかヨーロッパリーグに出場できる可能性が高いが、国王杯の優勝がリーグ戦の下位チームだった場合、またはラ・リーガがチャンピオンズリーグの追加枠を得られなかった場合は、欧州カップ戦に出場できない可能性のある順位だ。
昨季11位だったラ・レアルが順位を上げるには、何よりもまず敗北を減らし、勝利はもちろん、引き分けを増やさなければならない。昨季の18敗など言語道断である。例えば順位が2つしか変わらないオサスナ(9位)は敗戦が8試合も少なかった。
ラ・レアルはすでに2敗しているが、最終的に敗北数を11にまで減らし、引き分けを昨季よりも4試合多い11に増やせれば、ポジティブな結果を得られるはずだ。そうなれば勝利数は必然的に昨季よりも3多い16試合となる。結果として最終的な勝ち点は昨季よりも13多い59まで伸びる、と計算できる。
ヨーロッパリーグの出場権を確保するために必要な勝ち点は、60だとよく言われる。
久保個人の成績についてはいくつか考慮する必要がある。まず試合数が大幅に減少する。その一方、欧州カップ戦への返り咲きや日本代表としてワールドカップに万全の状態で臨むことは、非常に大きなモチベーションになるはずだ。この状況に加え、久保は得点力向上への強い意欲を持っていることから、欧州カップ戦に出場しない今季が彼にとって最高のシーズンになるのではないかと予想している。
ラ・レアル4年目の久保は重責を担い、より決定力を発揮し、目に見える形でチームに貢献しなければならない時期に来ている。
アシスト面に関しては昨季ラ・リーガでは一度も記録していないため、簡単に上回れるはずだ。逆足でのクロスは難しいのでそれほど多くは記録できないと思うが、4アシストはつくだろう。それは悪くない数字だ。
ゴールに関しては、スター選手としての地位に相応しい10ゴール前後を決めるべきだと思うが、私は個人的に9ゴールと予想している。
【新加入カルロス・ソレールと連係】
久保にとって9月13日は、獲得したにもかかわらず最終的に彼に賭けなかった古巣レアル・マドリードをサン・セバスティアンに迎える重要な日だった。
試合は2点リードされる厳しい展開となったが、10人となった相手に奮起したラ・レアルはその勢いを維持すべく、後半21分に久保を右サイドに投入した。
彼は絶え間なくトライし続けたが、最高の日とはならなかった。シュートを外し、最近の課題であるクロスは4本すべて成功せず、デュエルは3回中1回しか勝てず、ボールロストは9回あった。
ポジティブな点はドリブルを1回成功させ、難しいエリアでパスを13本中10本成功させたことだ。目立つ活躍はなかったとはいえ、同じく途中出場から起爆剤としての役割を担ったデビュー戦のカルロス・ソレールと興味深い連係を見せた。
セルヒオ・フランシスコは試合後の会見で、「カルロスはフィジカル的にまだ少し足りない部分があるが、我々が必要とすることをチームに与えてくれた。自分がどんな選手なのか、そしてプレーを選択する決断力があることを示してくれた。タケはフル出場できる状態ではなかったが、決定的になり得る局面で出場し、カルロスや他の選手と連係し、いくつかのプレーに関与した」とふたりのパフォーマンスをポジティブに捉えていた。
髙橋智行●翻訳(translation by Takahashi Tomoyuki)

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