パラグアイ戦(10月10日)、ブラジル戦(10月14日)に臨む日本代表の招集メンバー27人が以下のとおり発表された。

GK
早川友基(鹿島アントラーズ)、大迫敬介(サンフレッチェ広島)、鈴木彩艶(パルマ)

DF
長友佑都FC東京)、谷口彰悟(シント・トロイデン)、板倉滉(アヤックス)、渡辺剛(フェイエノールト)、安藤智哉(アビスパ福岡)、瀬古歩夢(ル・アーヴル)、鈴木淳之介(コペンハーゲン)

MF/FW
遠藤航(リバプール)、伊東純也(ゲンク)、南野拓実(モナコ)、鎌田大地(クリスタル・パレス)、相馬勇紀(FC町田ゼルビア)、小川航基(NEC)、前田大然(セルティック)、堂安律(フランクフルト)、上田綺世(フェイエノールト)、田中碧(リーズ)、町野修斗(ボルシアMG)、中村敬斗(スタッド・ランス)、佐野海舟(マインツ)、久保建英(レアル・ソシエダ)、斉藤光毅(QPR)、望月ヘンリー海輝(FC町田ゼルビア)、藤田譲瑠チマ(ザンクトパウリ)

 9月のアメリカ遠征(メキシコ戦、アメリカ戦)に招集されたメンバーから外れた選手は菅原由勢(ブレーメン)、関根大輝(スタッド・ランス)、荒木隼人(サンフレッチェ広島)、鈴木唯人(フライブルク)、三笘薫(ブライトン)、佐野航大(NEC)、細谷真大(柏レイソル)の7人。

代わって入った7人は安藤智哉、谷口彰悟、鈴木淳之介、相馬勇紀、田中碧、中村敬斗、斉藤光毅だ。

サッカー日本代表メンバーは今回もバランスに問題あり アメリカ...の画像はこちら >>
 新顔は斉藤ひとりに留まった。フレッシュな選手も、発表前日のチャンピオンズリーグ(CL)カラバフ戦で晴れてチャンピオンズリーガーになった鈴木(代表キャップ1)、そして東アジアE-1選手権で初めて日本代表に招集された安藤(前回はケガで辞退)ぐらいか。

 7人の入れ替えはあったが、これまでの経緯を踏まえると小幅な印象だ。ワールドカップ本大会まで残すところ8カ月。新顔.若手に対してもはや扉が広く開放されているとは言い難い。会見で本大会に向けての完成度を問われた森保一監督は「7、8割程度」と答えたが、選手の全体像はあらかた見えてしまっている印象だ。

【三笘を外したのは妥当。久保は?】

 2010年の南アフリカワールドカップを目前にした2009-10シーズンに、CSKAモスクワの一員としてCLでベスト8に進出した本田圭佑のような"上がり馬"が出現する可能性はなさそうな雲行きだ。

 現在のベストメンバーを壊す選手がどれほど現れるか。それと本大会の成績は比例する。"現在のベストメンバーは8カ月後のベストメンバーに非ず"でなければならないが、その追求が甘いような気がしてならない。

 三笘が漏れたことは確かに大きなニュースである。しかし、最近の出来からすれば、その選択は妥当と言える。三笘は体調不良もしくは極度なスランプに陥っている状態だ。自慢のドリブル&フェイントが効かない。縦抜けを狙う果敢さ、闘争心、積極性に欠ける。ここは無理に招集せず休ませたほうが本人のためになると、筆者は記したが、森保監督も同じことを考えたのだろう。

 久保に関しても、休ませるべきタイミングを迎えていると記した。久保は調子が悪いというわけではない。実際にケガをしている。それなのに招集する理由がわからない。「所属クラブの医療スタッフとやりとりした結果」(山本昌邦ナショナルチームダイレクター)と言うが、呼ばないという選択もできたはずだ。ケガから回復途上にある守田英正(スポルティング)は今回、呼んでいない。

メンバー発表前日に行なわれたCLナポリ戦には後半33分からピッチに立っているにもかかわらず、だ。基準が見えない。

 三笘、久保という二枚看板を同時に休ませるわけにはいかない営業的背景まで透けて見えるようだ。だがこの常連組を休ませれば、空いた席に新顔を投入することができる。三笘を休ませたことで、チャンピオンシップで活躍している斉藤を加えることができたわけだ。

 足首に不安を抱える選手を、日本で行なわれる代表戦のためにはるばる呼び戻すことに、森保監督は罪悪感を覚えないのだろうか。

【ブラジル戦でウイングバックはどうなるか】

 今回、とりわけブラジル戦は押される展開になることが予想される。左右の高い位置に両ウイングを置くブラジルに対して、3-4-2-1で臨めば、両ウイングバック(WB)は自ずと後退する。低い位置で構えることが予想される。

 だが選んだWB候補の顔ぶれは大半が、4バックではウイングを務めるアタッカーだ。伊東、相馬、前田、堂安、中村、斎藤、望月の7人のなかで、例外は望月のみ。バランス的に問題ありだ。

格上に対してアタッカーを最後尾に据えて戦おうとしている。無謀と言わざるを得ない。

 中村が最後尾に留まる時間が増えれば、中村の魅力は減退する。後方での守備に奔走する中村は本来の中村ではないのだ。相手に怖さを抱かせることはできない。

 そしてSB系の選手はごく僅かしか選ばれていない。バランス的に問題ありだ。対応の幅は狭くなる。先のアメリカ戦で、3バックから4バックへの移行をテーマに掲げながら、それがスムーズにできなかった理由だ。CBの瀬古を左SBで起用すれば、左のサイド攻撃が円滑にならないことは火を見るより明らかである。それが森保監督にわからないのだろうか。

 今回のメンバー構成から、その反省は見えてこない。

SBをこなすことができそうな選手は望月がせいぜいだ。左は見当たらない。長友を戦力として見るなら、彼だけになる。サイドを押し込み日本のWBを後方に押し下げることができれば、相手はしめたものだ。それをよしとする森保監督には懐疑的にならざるを得ない。

 アジアの格下相手では露呈しない問題だ。両WBが専守防衛を強いられるケースはほとんどない。この考え方を改めないと本大会は戦えない。メンバー発表会見でもそうだったように、「優勝」という言葉を目標として普通に口にする森保監督だが、ウイングをWBとして起用するサッカーは、まさに強者の論理だ。世界ランク19位の日本は、もっと謙虚でなければならないのだ。

 特にブラジル戦。ピッチ上、とりわけサイドにどんな絵が描かれるか。

サイドを制するのはどちらか。少なくとも相手の監督、カルロ・アンチェロッティには難しい設問ではまったくないだろう。

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