【佐賀で始動した社会貢献活動】
Bリーグ10周年の記念すべきシーズンが華々しく開幕した。数多の選手たちが志を新たにしてスタートを切ったなかで、佐賀バルーナーズのPG/SG内尾聡理(うちお・そうり)もまた新加入選手として並々ならぬ思いでコートに立った。さらに彼はこの佐賀の地、そして全国のファンに向けて社会貢献活動の輪を広めるべく新たな挑戦の一歩を踏み出した。
内尾は幼き頃から母親と姉の3人暮らし、いわゆる『ひとり親家庭』で育ってきた。そんな境遇ながらも、大好きなバスケットボールに打ち込み続け、今はプロ選手として着実に歩み始めている。それを実現できたのも、「多くの方々に支えられてきた」からこそ。
そんな方々に恩返しする意味でも、「今度は自分が誰かの力になりたい」と、2024年10月に社会貢献活動(子ども支援)プロジェクト『S.U future』を立ち上げた。「スポーツは人の心を動かし、立ち上がる力を与えてくれる。バスケットボールを通じて、子どもたちが夢や希望を見つけるきっかけをつくりたい」と内尾は、その思いを語る。
また新天地である佐賀バルーナーズは、かねてから地域・企業・行政とともに"ALL SAGA"で地域課題の解決に挑む参加型の社会貢献プロジェクト「SAGA Take Action」を行なってきたが、内尾はこのキャプテンにも就任した。「このような機会を与えてくれたのは非常にありがたいですし、僕がやりたいと思っていることと歩調は同じだと思っています」と感謝の言葉を述べ、支援の輪がさらに広がることを喜んだ。
この活動は早速始動。10月6日にはS.U futureと「SAGA Take Action」のコラボ第一弾として佐賀県みやき町の"子ども第三の居場所"「みやキッズハウス」を内尾が訪問した。ここではスタッフの方々と意見交換を行なうとともに、子どもたちや保護者の方々とも交流。10月4日・5日(@SAGAアリーナ)の開幕戦において、S.U future特設ブースで実施したフードドライブに寄せられた食品やバスケットボールを寄贈した。
【込められた100通りのメッセージ】
開幕戦でのこのS.U future特設ブースには多くのファンが訪れた。ここでは先のフードドライブをはじめ、子ども支援のためのチャリティ商品として、自身がプロデュースしたコーヒー100個とコラボTシャツなどを販売した。ひとりでも多くの人に自らの思いを伝えたいと考えた内尾は、用意したコーヒーすべてにサインとメッセージを添えた。練習が休みの日に一つひとつ丁寧に違う言葉を書いたという。
「いろんな方に手伝ってもらっていますので、僕自身も形として行動すべきだなと常に思っています。ですから、自己満かもしれませんが、販売するコーヒーにはサインと一言を書かせていただきました」
「内尾選手のプレーを見て力をもらっています」
「福岡第一高校時代から応援しています。チームになくてはならない存在なんです」
「友人が今闘病中で会場には来られませんでしたが、病室から応援しています」
試合出場のため内尾自身はブースに立つことはできなかったが、試合後にこれらの声を伝え聞き、「支援の輪が温かい気持ちで広がっていくのを肌で感じ、これこそがS.U futureの原点だと改めて実感しました。そして、この活動を継続していくことの大切さを強く感じました」と進むべき道を再確認した。
【今後の構想と選手としての決意】
内尾はこれらの活動をより積極的に推進していくためにマネジメント事務所(株式会社IMO)にも所属した。
「競技に集中しながら社会貢献活動を形にしていくためには、信頼できるサポート体制が欠かせません。IMOは僕の思いを深く理解し、それを行動へと変えるために本気で支えてくれる存在です」
このサポート体制のもとで、「活動をより広く継続的に届けるために」、公式ホームページとチャリティ商品を販売するオンラインストアをオープンさせた。
「ホームページは活動の記録と思いを共有する場所として、子どもたちと社会をつなぐ『未来への入口』にしたいと思っています。ストアでは、すばらしいご縁から生まれた商品を通じて支援の輪を広げていきたいと思います」
今後も時間の許す限り、内尾はこれらの活動を主体的に行なっていく決意で、未来の構想も少しずつ組み立てつつある。
「佐賀を中心に、九州各地のひとり親家庭の子どもたちへバスケットボールやフードドライブで集まった品を届け、お子さんやお母さんが笑顔になれる活動を広げていきます。また、ホームゲームへのひとり親家庭のご招待や『S.U futureシート』を設けることも目標のひとつです。さらにオフシーズンには、日本財団HEROsと連携した大規模イベントも計画しています」
このような活動を実現し、活動の輪を広げていくためにも、プロバスケットボール選手としてのさらなる飛躍は欠かせないだろう。それは内尾自身も十分に承知している。
「まずは僕がしっかりとBリーグで活躍して多くの人に応援してもらえるようになることが大前提だと思っています。そのためにも日々の練習に取り組んでいきたいと思います」
「バスケット選手として全力を尽くしながら、社会に貢献できる人間でありたい」
この決意の重さが、人の心を動かし、いずれ大きな輪へと広がっていくはずだ。
【Profile】
内尾聡理(うちお・そうり)
2001年4月12日生まれ、福岡県出身。



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