日本代表がガーナとの親善試合に、2-0で勝利した。従来の主力選手にケガやコンディション不良が相次ぐなか、代わってピッチに立った選手の活躍があった結果である。
日本代表が選手層の厚さを示した試合、と言っていいのだろう。
特に主力の欠場が目立つのは、3バックと2ボランチだが、その5つのポジションでガーナ戦に出場した7人は、いずれも堅実なプレーを披露している。
7人のうち、前回のワールドカップを経験しているのは、谷口彰悟と田中碧のふたりだけだったにもかかわらず、だ。
なかでも出色の働きを見せたのは、ボランチを務めた佐野海舟である。
自身が「球際のところで負けていたら、自分のよさは出ないと思う。そこは最低限自分の基準になるところ」と語るように、まずは自分の最大の武器となるボール奪取にこだわりながらも、攻撃面でも高い推進力を発揮。自らボールを奪うと、そのまま前線へと進出し、南野拓実の先制点をアシストしたプレーなどは、それを象徴するものだった。「前にスペースがあったので、うまく(ボールを)運べたと思うし、(上田)綺世くんがすごくいい動き出しで(相手DFを)釣ってくれたので、そこ(南野)にパスを出すことができた」(佐野)
ただ、佐野のプレーぶりは力強く、ダイナミックである分、よくも悪くも愚直だ。
ガーナ戦のように前からのプレスがハマる展開では、これ以上なく頼りになるのは間違いないが、実質的には今年6月に加わったばかりの新戦力とあって、評価対象となるサンプル数がいかにも少ない。
今年6月以前に時間を巻き戻せば、前回のワールドカップ以降、日本のボランチは、遠藤航と守田英正のコンビが鉄板だった。彼らふたりがピッチにいるといないとでは、日本代表はまったく別のチームになってしまう。そう言っても、大げさではなかった。
彼らはチームに欠くべからざる存在だったのである。
しかしだからこそ、森保一監督はこのふたりを外せなかった、とも言える。
本来なら、ケガや出場停止などの事態に備え、たとえば、どちらか一方と新戦力を組ませるなどして、新たなオプションを模索してもよかったはずだが、結局、ワールドカップ最終予選で本大会出場が決まるまで、その作業はほとんど行なわれなかった。
ようやく訪れたその機会は、皮肉にも、遠藤と守田の離脱によってもたらされたものだ。
確かに、佐野のパフォーマンスは特筆に値する。現時点でそこにケチをつけるのは、重箱の隅をつつくようなことかもしれない。
しかしその一方で、遠藤と守田が継続的、かつ安定的に示し続けてきた、臨機応変なゲームメイクが相当な高水準にあったことも確かだ。
相手の出方や試合展開に応じて、柔軟に立ち位置を変え、周りを動かし、試合の流れを自らに呼び込む。彼らの打つ手は、実に多彩だった。
はたして佐野のパフォーマンスは、それをもしのぐものなのか。
正直なところ、比較は難しく、判断はしかねる。
佐野は現在、ドイツ・ブンデスリーガでプレーしているとはいえ、ナショナルチームでの国際経験について言えば、決して経験豊富な選手ではない。
同じことは、3バックの一角で評価を高めている、鈴木淳之介にも言えるだろう。ガーナはおろか、ブラジルにまで勝利したとはいえ、それはあくまでも親善試合。国と国との真剣勝負の場では、単純な実力評価では計りえない、さまざまなことが起こり得る。
これまでのワールドカップを振り返れば、結果にこだわり、割り切った戦いを選択してきたギリシャやコスタリカに、日本が痛い目にあってきたのは、その証左だ。
自分たちの得意な組手に持ち込めないとき、何ができるか。そうした戦いにこそ、日本の勝ち上がりのカギがある。過去の経験は、それを物語っている。
佐野がピッチ上で見せるはつらつとした動きは頼もしく、間違いなく楽しみな材料だ。
しかし、遠藤と守田の残像が、それで簡単に消し去られるわけではない。

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