東京ヴェルディ・アカデミーの実態
~プロで戦える選手が育つわけ(連載◆第18回)
Jリーグ発足以前から、プロで活躍する選手たちを次々に輩出してきた東京ヴェルディの育成組織。再スタートしたこの連載では、その育成の秘密に迫っていく――。
第17回◆東京Vのアカデミーで育った「非エリート」横山暁之の今>>
今年、東京ヴェルディユースは11年ぶりに高円宮杯U-18プレミアリーグEAST(以下、プレミアリーグ)を戦っている。
「今まで(世代別の)代表とかで一緒にプレーした選手もたくさんいますし、一緒に戦えて楽しいって部分もありますけど、負けたくないって気持ちも、もちろんあります」
年代別日本代表に選出された経験を持つMF今井健人(高校3年)がそう語るように、ヴェルディユースの選手たちは、久しぶりの高校年代最高峰リーグでも胸を借りるつもりは毛頭ない。
「自分たちは(パスを)つなぐというコンセプトでやっている」(今井)というチームは、第19節終了時点で、全12チーム中6位。第5節では首位に立つ鹿島アントラーズユースを3-0で下すなど、上位勢に劣らない力があることを示してはいても、やはり中位という成績には納得できるはずもないのだろう。
「昨年、プリンスリーグ、クラブユース選手権(U-18)、Jユースカップ、プレミアリーグ参入プレーオフと経験を重ねてきて、そこで培った経験値が今のプレミアに出ているので、(初めてのプレミアリーグでも)プレッシャーはあまりない」(DF中村宗士朗/高校3年)
「初めから自分たちも(プレミアリーグのレベルで)できるなっていうのはあったが、(試合を重ねるなかで)見え方も変わってきて、チームとしてもどんどんよくなっているので、手応えはある」(MF下吉洸平/高校2年)
選手たちの言葉からも、現状に満足する様子はうかがえない。
しかしながら、ヴェルディユースが10年もの間、プレミアリーグから遠ざかっていたことは紛れもない事実である。
それを思えば、伝統の緑のユニフォームがこの舞台に帰ってきたこと自体が、名門復活を印象づけるものとなっていることは間違いない。
さかのぼること11年前――。ヴェルディユースは、よもやの苦境に立たされていた。
2011年に創設されたプレミアリーグは、2014年が4シーズン目。長くクラブユースの顔とも言うべき存在だったヴェルディユースは、創設時から参戦し続け、それまでの成績(EAST)は、2位、優勝、4位と、順位を5位以下に落としたことがなかった(当時は全10チームが参加)。
とりわけ2012年は、中島翔哉(現浦和レッズ)、前田直輝(現サンフレッチェ広島)らを擁し、14勝4分けの無敗でプレミアリーグEASTを制覇。
翌2013年こそ4位に甘んじてはいたが、迎えた2014年、目指すは覇権奪還のはずだった。
ところが、である。
ヴェルディユースは、シーズン序盤の7試合を3勝3敗1分けの勝ち点10と、なかなか勢いに乗れずにいると、第8節からまさかの8連敗。悪い流れを変えられないまま、泥沼にはまっていったチームは、2年ぶりの優勝どころか、プリンスリーグ関東への降格が現実味を帯びていた。
「8連敗のときは、本当にヤバいっていう空気が流れていて......」
11年前を振り返り、そう語るのは当時ヴェルディユースのキャプテンを務めていた中野雅臣である。
中野は自身のことを、キャプテン向きの性格だとは考えていなかった。自分たちの代がユースチームの最上級生になるに際し、「たぶん当時の監督がそこの部分(リーダーシップ)でも成長してほしいということで、与えてもらったキャプテンの役割だったと思います」というのが、自己分析である。
とはいえ、もはやそんなことを言ってはいられない。
「結果とともに、結構ケガ人が増えてきたりとか、いろんな悪い状況が重なっていきました。キャプテンとして、ここは何とか耐えて、このままズルズルいかないようにしないといけないと思っていましたね」
2年前のプレミア王者は、崖っぷちに立たされていた。
(文中敬称略/つづく)

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