『ハイキュー‼』×SVリーグ コラボ連載vol.2(16)

PFUブルーキャッツ石川かほく 川﨑鈴奈 前編

(連載15:松井珠己は五輪メンバー落選にも海外挑戦をして落ち込んでいる暇なし 「毎年、自分を更新していきたい」>>)

【東京の名門校で、人間としても選手としても成長】

2024年10月、SVリーグ1年目のヴィクトリーナ姫路戦だった。チームはセットカウント0-2から、3―2とひっくり返して勝利した。

「コートに立つ前から、『やってやる』って気持ちが大きかったですね」

【女子バレー】石川かほくの川﨑鈴奈が「怖かった」最後の春高バ...の画像はこちら >>

 PFUブルーキャッツ石川かほくのアウトサイドヒッター、川﨑鈴奈(24歳)はトップリーグ1年目の熱狂の瞬間をそう振り返っている。

途中出場した川﨑は逆転の狼煙を上げ、勝利の立役者になった。

「ヴィクトリーナは、(過去の順位などからすると)格上の相手だったと思います。でも、相手が強かったら負けるわけじゃない。正直、自分たちのチームが下位だったとか、(自分が)新人だとかは『関係ない』とも思っていました」

 その負けん気が功を奏した。最後は理屈ではない。彼女は勝負にかける思いを燃やすことで、その道を切り拓いた。

 彼女がバレーを始めるきっかけは6歳上の姉だった。

「姉が部活でバレーをやっていたんです。私も身長が高かったので、小学校4年生の時に『やってみようかな』って。それまでも、近所のバレーイベントに参加していて、ジュニアでバレーを指導している方が誘ってくれました。習いごとはほかにもしていたんですが、続いたのはバレーでしたね。こんなに続けられるとは思っていなかったです」

 川﨑はそう言って快活に笑う。

周りにも感化された。

「小学校のクラブチームは、全国にいけるかいけないかというくらいの、そこまで強いチームではなかったんですが、『強いところでバレーをやりたい』というチームメイトが多かったんです。自分もそれに影響された部分もあります」

 そして彼女は中高一貫、東京の高校バレーの名門・八王子実践に進学し、ミドルブロッカーとして成長していった。

「伝統校で、人間的に学ぶことが多かったですね。自分のためになることだという確信があったので、『多少は厳しくてもしょうがない』と思いました。どっちかというと、バレーの練習のほうが楽でした(笑)」

 中高6年間、同じ釜の飯を食ったバレー部の部員はみんな同じクラス。川﨑は高校から寮に入ったが、濃密な時間を過ごした。

「"家族愛"じゃないけど、安心できて、わがままを言える関係でした」

 川﨑はそう振り返る。オフはチームメイトと連れ立ってスターバックスに行き、新作を注文した。高校生には高級だったが、つかの間の"青春"を楽しんだ。みんな長身で短髪だったので、目立っていたという。

【大学でポジションを変更】

「今でも『緑が似合う』と言われます」

 八王子実践の緑のユニフォームを着て戦った時代は、彼女の軸となっている。

高校3年時には、キャプテンとして集大成の戦いに挑んだ。

「高2の時の春高バレーは全国ベスト4だったので、(頂点を目指すために)3年の春高予選は負けられなかったですね。その年はインターハイも行けなかったですし、かなり緊張していました。人生で一番怖かったです」

 彼女は修羅場をくぐり抜けた。春高の本戦へと進み、インターハイで優勝した就実高校(岡山)も下してベスト8に進出している。

「とにかくホッとしました。インターハイに続いて春高も出られなかったら、それまでやってきたものが信じられなくなっていた。それが怖かったです」

 準々決勝で古川学園(宮城)に敗れたが、全員が力を出しきった。悔しさで涙を流しながらも、顔つきはすっきりしていたという。

「ネットにボールが当たったら、全部スパイカーのせい」

 彼女はバレー部の教訓に従った。「どうにかしなきゃ」と悩みながら、解決策を探ってきた。いつだって「やってやる」という覚悟が彼女の力を引き出した。

 そして、転機を迎える。国士舘大学で、ミドルブロッカーからアウトサイドヒッター、オポジットに転向した。

「新しいバレー人生に挑戦したかったんです。自分から『サイドをやりたい』と言ったら、監督が『4年間やってみよう』って受け入れてくれて。ミドルの自分は頑張ってきたけど、ひと区切り上を目指すわけでもなく、とにかく純粋にサイドをやってみたかったんです!」

 ジュニア時代、川﨑はライトをやったことがあり、その打つ感覚が好きだったという。その楽しさがあったからこそ、バレーを続けられたのだ。

「レシーブもできないし、下手くそでしたよ。それでも監督が試合に出してくれて、経験を積ませてくれました。いろんな人に聞いて、教えてくれる先輩がいて......恵まれていましたね」

 そう語る川﨑は、SVリーグ1年目で44試合に出場し、200得点以上を挙げた。登録はサイドだが、心境としてはオポジットだという。勝負を決めるスパイカーだ。

(後編:元ミドルの川﨑鈴奈が助けられている昼神幸郎の言葉とは? 選んだベストメンバーのサイド陣は強力で安定>>)

【プロフィール】

川﨑鈴奈(かわさき・れいな)

所属:PFUブルーキャッツ石川かほく

2001年10月25日生まれ、神奈川県出身。

177cm・アウトサイドヒッター。小学校4年でバレーを始める。八王子実践に進み、3年連続で春高バレーを経験。キャプテンとして出場した3年時はベスト8に進出した。国士舘大学時代にミドルブロッカーからアウトサイドヒッター/オポジットに転向。2024年にPFUブルーキャッツ石川かほくに入団した。

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