ホンダ・レーシング
渡辺康治社長インタビュー
後編「2026年~未来」

◆渡辺康治・前編>>「チャンスがあれば角田裕毅と一緒にやりたい」

 2025年シーズンが終わりを告げると同時に、F1はすでに2026年へと加速を始めている。

 車体もパワーユニットも規定が大幅に刷新され「大変革の年」となる2026年に、ホンダはアストンマーティンへのワークス供給という形で正式にF1に復帰する。

 1月末に始まる開幕前テストへ向けて、すでにパワーユニットは暫定仕様が決まり、最後の仕上げへと入っている。そしてテストやベンチでの信頼性確認を経て、2月末の最終仕様決定と3月のシーズン開幕を迎えることとなる。

 2026年に向けたホンダの現状を、HRC(ホンダ・レーシング)の渡辺康治社長に語ってもらった。

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【F1】2026年に復帰するホンダの最終目標はタイトル獲り ...の画像はこちら >>
── 2026年型パワーユニットの開発・製造状況はいかがでしょうか?

「開幕前テストに向けて一度仕様をフィックスして、組み立てが始まるという段階です(12月第1週目時点)。ただし、ホモロゲーション(承認・認証)は2月末ですから、そのギリギリまでは開発を続けていくことになるかと思います」

── ホンダは「かなり大きなブレイクスルーが果たせないと達成できないような高い目標値を設定している」とおっしゃっていました。その目処は立ったのでしょうか?

「ライバルメーカーの状況が掴みきれないだけに、あくまで自分たちで立てた目標値に対してどこまで近づけるかという戦いですが、まだまだ時間がほしいというのが正直なところです。

 いろんなタマを持っているなかで、それぞれのタマを入れることでどのくらい性能が上がるのかを積み上げながら開発を進めていますが、うまくいっているものもあれば、うまくいったと思ったら失敗したものもあったり、いろんなものがあります」

── メルセデスAMGだけがうまくいっているとか、メルセデスAMGとホンダだけだとか、他メーカーは苦しんでいる点があるなど、報道は錯綜しています。

「正直に言えば、すべてがうまくいくわけではないので苦しんでいる部分もたくさんありますけど、致命的なことが起きてどうにもならないといったようなことにはなっていません。そのなかで粛々と、パフォーマンスと信頼性を上げることに専念している状況です。

 アストンマーティン側としてもエイドリアン(・ニューウェイ)の意思が入った車体をどんどん作っていきたいわけですから、それに対してパワーユニット側としてもどう適応していくかが次のステップになるかと思います。それによって戦闘力が上がって勝てるようになるのであれば、我々はいくらでもやりますよ(笑)」

【アストンマーティンとの関係】

── アストンマーティン側の体制が変わり、ホンダとの窓口であったアンディ・コーウェルがCEOやチーム代表の座を退いてホンダとの提携に専念、代わってエイドリアン・ニューウェイがチーム代表も兼任することとなりました。

「我々はアンディ・コーウェルとも、エイドリアン・ニューウェイともコミュニケーションしながら開発を進めてきました。アンディは今までやってきたパワーユニットや燃料のアラムコ、油脂類のバルボリンとの提携部分に集中し、車体全体はエイドリアンが見て、チーム代表も兼任していくということですね。

 我々としては、それに従って今までどおりやっていくだけです。技術陣は今までどおりアンディとやっていくことが多いですし、私(社長)の立場ではエイドリアンとやることのほうが多くなると思います。

 昨日もローレンス・ストロール(アストンマーティン・オーナー)さんとふたりで話しましたが、現時点でまだパートナーシップが完璧に出来上がっているとは思っていません。これから積み上げていくものだと考えています」

── アストンマーティン側も、ホンダとともにタイトルを獲りにいくつもりだと宣言していました。

「そのようにストロールさんと三部(敏宏/ホンダ社長)で固く誓ってやっていますし、我々もそれを実現しろと言われて日夜がんばっているところです。我々には長くF1で積み重ねてきた技術やノウハウがありますので、最終的には戦えるポジションに行けると信じていますし、そうでなければいけないと思います。

 ただ、初年度がどうとか短期的に目先だけを見るのではなくて、(アストンマーティンと密に提携してF1に参戦し続ける)仕組みを作り、伸びる技術をあきらめずに取り組める環境を構築することで、その先が伸びていくと考えています。そのあたりは技術陣ともディスカッションしながら先々を見据えて、体制の構築を進めているつもりです」

【トヨタにはトヨタの狙いがある】

── 2027年以降、2チーム目への供給については?

「それは当然やるべきというか、レース会社としては当たり前のことだと思っています。正直に言えば、今はまだ何も考えていません。まずはウチのエンジニアたちも『目の前のパワーユニット開発に集中させてくれ』ということなので、アストンマーティンとの提携に集中して、いいものを作ることに専念しています。

 しかしその後に関しては、マネジメントとしては供給先を広げることによるメリットが大きいと思います。そういったこともしっかりと取り組んでいきたいと考えています」

── トヨタがハースのタイトルスポンサーへと提携を拡大したことについては?

「報道された内容しか見ていないので詳しくはわかりませんが、日本のF1が盛り上がるという意味ではいいことだと思います。

 ただし、トヨタさんはトヨタさんで狙いがあって、タイトルスポンサーという立ち位置でやっておられるのだと思いますし、我々は純粋に技術を突き詰めるためにパワーユニットを作り、マシンをともに作るプロセスで戦っていますので、まったく狙いが違います。お互いで盛り上げていければいいのかなと考えています」

<了>

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