第104回全国高校サッカー選手権大会 注目選手紹介 MF&FW編
12月28日から始まる第104回全国高校サッカー選手権大会で、見逃せないMF&FWは誰か。育成年代のサッカーを長年取材してきているフリーライターの土屋雅史氏、森田将義氏のふたりが、魅力的な11名を紹介する。
>>前編「注目選手 GK&DF編」
柴野快仁しばの・はやと(MF/3年/前橋育英・群馬県/173cm、70kg)
「今季見たのはU-17高校選抜でしたが、プレーが圧倒的でした。落ち着きがあってボールが入った時に慌てない。かつ自分の間を作れる選手で、相手の逆を突くのが得意なので、相手が体を寄せてきても簡単にかわすことができるし、タイミングよくボールを放して味方につなぐこともできる。昨年の選手権決勝でも活躍しましたが、あらためてほかとは違う選手だなと感じました」(森田氏)
「前に運べることが一番の特徴。ボランチの位置からスルスルとドリブルで仕掛けていけるし、3列目から飛び出してゴール前で仕事もできる。プレミアリーグでチームトップの6点をマークしたのですが、重要な試合に強い。去年の選手権決勝で同点ゴールを決めましたし、優勝を決める10人目のPKキッカーにもなった。今年の選手権予選は準決勝と決勝のどちらも1-0の勝利だったのですが、どちらの試合でも決勝点を取っています。
中学時代は前橋育英についてあまり知らず、いいサッカーをやっているなぐらいの認識だったみたいです。入学当初は1年生のなかでも一番下のカテゴリーで、キャプテンの竹ノ谷優駕は『柴野のことをよく知らなかった』と口にしていました。ただ、2年生の5月末にいきなりスタメンになり、そこから一気にレギュラーに。この1年半の成長はすごくて、世代別代表に選ばれてもおかしくないレベル」(土屋氏)
おその・かなで(MF/3年/尚志・福島県/168cm、65kg)
「守備感覚に優れたボランチで、FW根木翔大、MF田上真大などアタッカー陣が注目されていますが、彼らが積極的に仕掛けることができるのは後ろに彼がいるから。
「4バックのボランチなのですが、2CBの間に落ちたり、前に出ていったり、柔軟にシステムを変えられるぐらい影響力のある選手だと感じました。昨年、同じような役割をしていた星慶次郎のようなクレバーさを持っています。目立たないけど効いている選手が尚志には毎年いて、面白いです」(土屋氏)
みずさわ・なづき(MF/3年/帝京長岡・新潟県/168cm、62kg)
「帝京長岡から明治大学経由で北海道コンサドーレ札幌に進んだ、田中克幸と同じFCヴィパルテの出身。小さい頃から憧れの選手だったそうで、兄が田中と同い年だった縁もあり、サインをもらっていたみたいです。憧れの先輩を追って帝京長岡に入るぐらい技術も高いのですが、それ以上に目立つのは身体能力の高さ。競り合いに強いし、スピードもあるのでいろんなポジションができる。本職の左のウイングバックだけでなく、ボランチや3バックの左をやっている試合も見ました。彼がいるからチームがうまく回っていると言っても過言ではありません」(森田氏)
おさ・りゅうき(MF/3年/昌平・埼玉県/166cm、63kg)
「1年生の時から試合に出ていた選手です。途中出場が多かったのですが、選手権では印象的なゴールを決めています。誰が見てもドリブルが特徴だとわかるぐらいの選手で、一度スピードに乗ったらファール以外では止めようがない。
「本当にドリブルがうまい選手で、練習を見ていても違いが明らかです。ドリブルだけでなくゴールを狙える選手で、DFの選手からすれば対応が難しい。加えて、インターハイの大津戦で感じたのはドリブルの進化で、カットインが得意な印象だったのですが、縦突破も鋭さも増していると感じました」(森田氏)
しまたに・きしん(MF/3年/流通経済大柏/174cm、65kg)
「ザ・闘将みたいな選手。チームメイトに嫌われることを厭わず、言わなければいけないことを言える。今年の流通経済大柏はダイヤモンド型の中盤を採用しているのですが、アンカーで彼が中盤の仕事をひとりでやっている。ボールを刈り取れるし、セカンドボールも回収できるし、配球もできる。チームの心臓というイメージがあります。
昨年はプレミアリーグの試合に出ながら主力ではなかったなか、今年はケガで離脱した時期もありましたが、シーズンを通してずっとチームの中心であり続けている。プレミアリーグとJ2最終節のキックオフ時間が同じタイミングで試合を取材に行ったのですが、試合終わりに(内定先の)水戸ホーリーホックがJ1に昇格したことを知ったみたいで。
「中学時代は攻撃的な選手だったのですが、高2の夏になってコンバート。元Jリーガーで、現在は流通経済大柏のコーチをしている山根巌さんに『ボランチをやってみろ』と言われ、必要な動きをいろいろ教わったのが大きかったそうです。最初は組み立て役でボールにいっぱい触るタイプだったのが、『ボールには全部行け』、『相手より先に触るんだ』という教えを実践していくうちに、守備が持ち味になっていったと口にしていました」(森田氏)
ふくしま・ゆうじ(MF/3年/大津・熊本県/175cm、72kg)
「コツコツと努力を重ねてきた選手です。2年生の開幕時点ではプレミアリーグ、プリンスリーグ九州1部、県1部、県2部と4つのカテゴリーで戦うチームには入れずにいました。大津が取り組んでいる、4つのカテゴリーに入れない選手たちが真剣な試合を行なう校内リーグという取り組みで力をつけ、ひとつずつカテゴリーを上げて、昨年の終盤にはプレミアリーグでベンチ入り、選手権のメンバーにもなりました。今シーズンは完全なレギュラーとして活躍していて、『校内リーグで苦しい思いをしている後輩たちの希望になりたい。自分も頑張ればカテゴリーが上がっていくと思ってもらえる選手になりたい』と話していました。
もちろん大津のレギュラーなのでプレーの質は高い。いろんなところに顔を出して気の利く守備ができるし、縦に差し込むパスも出せる。ビルドアップが生命線のチームなので、パスワークの中心にもなれる。プレミアリーグで成長していると感じますし、この選手はいろんな意味で報われてほしいと思います」(土屋氏)
とくむら・ふうた(FW/3年/神村学園・鹿児島県/168cm、63kg)
「FC町田ゼルビアに内定した選手で、今どきのアタッカーに必要とされる要素を持っています。スピードを生かして自らシュートに持っていけるし、背後への抜け出しもできる。
「今年はプレミアリーグで2桁得点を取っていますが、相当な実力がないとできない記録。基本的には左サイドで試合に出ることが多いのですが、トップ下もできるし、有村監督はトップもできると口にするぐらい、前のポジションならどこでもできるユーティリティー性が魅力」(土屋氏)
あおき・よしひろ(FW/3年/帝京大可児・岐阜県/170cm、60kg)
「相手が嫌がるポジションでボールを受けて相手の逆を突けるタイプで、最前線よりも1.5列目ぐらいの位置でチャンスを作れる。とくに昨年は前線に得点を量産していた加藤隆成という選手がいたので、アシストに重点を置いていたのですが、彼が卒業した今年は加藤がやっていたエース兼キャプテンという重責を引き継ぎました。点を取るプレーも担うなか、夏はケガもあっても思いどおりのプレーができず苦しんでいたのですが、選手権予選の決勝ではよさを出しながらゴールもマーク。仲井正剛監督は『もっとできる』と評価していたので、全国での活躍に期待しています」(森田氏)
しもだ・ゆうま(FW/3年/早稲田実業・東京都/175cm、62kg)
「開幕戦の国立を驚かせることができると思っています。今シーズン、東京のアタッカーで1、2を争うぐらいいい選手です。早稲田実業が2年前に初めて選手権に出た時はベンチに入りながら試合には出ていませんでした。去年もプレーは見ているものの正直そこまで印象に残っていなかったのですが、今年のインターハイ予選で見た時に『こんなスーパーな選手いたっけ?』と思うぐらい際立っていました。緩急のあるドリブルで運べる選手で、スピードに乗った時の加速力がすごくて、止められない存在になっていました。
みかも・そうた(FW/3年/堀越・東京都/169cm、65kg)
「去年の選手権の得点王で、今年はキャプテンに就任。堀越はボトムアップ理論を採用しているので、ほぼすべてを担わないといけない。チームの結果が出ないなかでは本人も相当苦しんでいて、実は選手権予選で1点も取っていないんです。本人は『今シーズンはいろんなことを自分が背負うと決めている。自分が点を取る、取らないというのは関係ない』と言っていましたが、悔しさを感じてないはずがない。キャプテンという役割とエースとしての役割に苦労し、うまくプレーできない時期が長かった感じがしますが、吹っきれてくれると期待しています。得点王になるぐらいのクオリティーとポテンシャルはあるので、ここまで溜めてきたエネルギーを選手権で爆発させてほしいですね」(土屋氏)
いけぐち・りょう(FW/3年/水口・滋賀県/179cm、62kg)
「インターハイ予選で見た全選手のなかで一番インパクトがあったかもしれません。ひとりで力強くボールを運べる選手で、3、4人は引きずり倒してでもゴールを目指せる。最近少なくなっているストライカーとしての空気感が全身からにじみ出ている選手」(土屋氏)
「中学の頃は体が小さく、ベンチにも入れなかったとか。中学時代のチームメイトを見返したいとの思いで高校に入ったのですが、そこから体が大きくなって、肉体強化に励んだ結果、今のゴリゴリなプレースタイルにたどり着いたそうです。今年の水口は彼と岡浩平が二枚看板で、彼らを生かすスタイルが機能し、29年ぶりの選手権出場につながりました。
<土屋雅史氏の注目選手>
MF/柴野快仁(前橋育英)、長璃喜(昌平)、山口豪太(昌平)、島谷義進(流通経済大柏)、福島悠士(大津)
FW/根木翔大(尚志)、霜田優真(早稲田実業)、三鴨奏太(堀越)、オノボフランシス日華(山梨学院)、池口遼(水口)
<森田将義氏の注目選手>
MF/柴野快仁(前橋育英)、梅原良弥(神戸弘陵)、小曽納奏(尚志)、水澤那月(帝京長岡)、河野歩夢(大分鶴崎)
FW/斉藤琉稀空(東福岡)、徳村楓大(神村学園)、大森風牙(高川学園)、青木嘉宏(帝京大可児)、秋鷹青杜(日章学園)

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