宮部藍梨(ヴィクトリーナ姫路)インタビュー 後編

2シーズン目を迎えたSVリーグにて、奮闘しているヴィクトリーナ姫路の宮部藍梨選手。日々、バレーボールと真剣に向き合うのはもちろんのこと、結果を求められるプロとして意識していることや、選手の発信力、見られる職業ということについても聞いた。


 
女子バレー・宮部藍梨「オシャレもSNSでの発信もプロ選手なら...の画像はこちら >>

選手のSNS活用や見た目の変化について語ってくれたヴィクトリーナ姫路の宮部藍梨選手photo by Naoki Morita/AFLO SPORT

【女子バレーを盛り上げるためにできること】

――女子バレー日本代表が世界選手権で4位、盛り上がった状態でSVリーグが開幕しました。開幕してから、集客や環境の変化は感じますか?

宮部藍梨(以下、宮部) 開幕のNEC川崎戦のチケットが完売したと聞きましたし、今まで以上に選手1人ひとりが自分たちで発信しようという意識も感じます。日本代表選手だけでなく選手の誰もが、この波に乗って女子バレーに注目してほしい、見てほしいと思っていると思います。私も試合後にコートインタビューがある時は、必ず「今日は来てくれてありがとうございます」とお礼を言うことと、「それぞれ応援しているチームや選手がいると思いますが、どのチームの試合でもいいので今後もぜひ見に来て下さい」と言うように心がけています。

――「どの試合でもいいから」とあえて言う理由は?

宮部 女子バレーの会場は、お客さんの層もすごく幅広いので、気軽に見に来てもらえるようになればいいなという思いで、あえて口にしています。

 あくまで個人的な意見ですけど、会場でもファミリー層が楽しめるイベントやスペースがあったら楽しいだろうなとか、そういうところにも目がいくようになりました。来ていただくからには、みなさんに気持ちよく試合を見てほしいし、「また来たい」と思える場所でありたい。そのために運営の方々が頑張っているのは選手にも伝わっているので、私もできることをしたいと思います。

――そのひとつがコートインタビューの発言であり、SNSの活用でもある?

宮部 そうですね。私だけでなく、発信する選手の数自体が増えた印象はあります。あくまで私の印象ですけど、今までは「SNSで発信すること自体がよくない。そんな暇があるならもっと練習しろ」と、見られがちだなと思うこともあったんです。実際にそういう言葉を投げかけられたこともありますが、そんなことに心を痛めている暇はない。

嫌なことを言われても、それよりいい反応があればそれでいいと思っています。

【オシャレをすることは悪いことじゃない】

――傷つく言葉もあるかもしれないけれど、プラスの反応も確実にある。結果はもちろんですが、世界選手権を終えたあと、女子バレー選手の髪色やネイルに対して好意的な声も多くあったように感じますが実際はいかがでしたか?

宮部 私はあまりファンが多いわけではないんですけど(笑)、小学生のファンの子が結構多くて。その子たちが「ネイルかわいいね」とか言ってくれるのはうれしいですね。もちろんプレーを見てほしいとは思いますけど、入口はどこでもよくて、見た目もひとつだと思うんです。

 たとえばお菓子を選ぶ時も、最初はパッケージを見て買うこともあるじゃないですか。同じように、人に見られている意識はプロ選手として常に持たないといけないんじゃないかな、と思うので、清潔感はもちろん、オシャレもそのひとつじゃないかなと思っています。

 チームでの写真撮影や取材の時、人の目に触れる時は最低限ちゃんと気を付けるのは当たり前で、オシャレが好きな選手であればどんどんやっていっていいと思います。見た目だけで「チャラチャラしている」と思う人もいるかもしれないですけど、見えないところでの努力をちゃんとして私たちはこの場に立っている。女子選手も男子選手も同じことが言えると思います。

――ヴィクトリーナ姫路は強く、美しく、というテーマも掲げたクラブ、という印象があります。

宮部 ネイルやメイク用品、美容院など美容関係のいろいろなスポンサーさんが支援して下さっているので、私たちはオフの日にネイルサロンや美容院を利用して、きれいになって気分を上げることができるし、スポンサーの方々にとってもプラスになれば相乗効果が生まれる。それも地域密着のひとつで、姫路を知ってもらう、姫路を盛り上げるためのチームワーク。

バレーボールを通していい街にしていくことが私たちの仕事だと思っています。

 いろいろな方に支えていただいているからこそ頑張らなきゃ、という気持ちも今まで以上に強くなりました。こうしてメディアに出て取り上げていただくことも、サポートして下さる方への恩返しだと思っています。

【女子バレーに追い風が吹いている】

――昨年の皇后杯でクラブ初タイトルを獲得しましたが、いい時ばかりでなく苦しい時代も経験した。その経験が今につながることはありますか?

宮部 私たちは一度V2に落ちたことがあるので、その時が大きなきっかけになりました。応援して下さる方やスポンサーの方のために、落ちた年も、その次の年も何が何でも勝たないといけないと思いました。苦しい時にも離れることなく残って下さったスポンサーさん、支援して下さる会社の方々がたくさんいたので、余計に何が何でも勝たないと、と思った。プロ意識を持って戦わなければいけないと本当の意味で思わされた時があるとしたらその時でした。

――昨年は皇后杯を制して、SVリーグではファイナルにも進みました。チームとして着実に力をつけてきています。

宮部 すごくしんどかったですけど、皇后杯で勝てたことがチームとしては大きな成果になったし、取り組み方も変わったと思います。リーグで言えば、今シーズンが始まる前に「今シーズンのゴール」を決めるミーティングをしました。

そこではみんなが「ベスト4に入ってファイナルをホームでやろう」と口にしていて、それは昨シーズンにファイナルを経験できたことが大きかったからです。

 前回はアウェイで、ホームの声援や運営について、経験することができました。ただ、アウェイの試合では負けてしまったので、優勝するためにも「次は絶対に姫路のホームでSVのファイナルを戦いたい」と強く思いました。

――2026年の目標、これからのシーズンはどのように描いていますか?

宮部 リーグでは、少しでも多くの試合に出てライト、オポジットでの経験を積みたいと思っています。ミドルの時もそうでしたけど、経験を積まなければわからないもの、できないことがたくさんあります。少しでも場数を踏んで、今までできなかったことをできるようにしたいし、せっかくミドルの経験を積んだのでミドルの練習もしたい。そこは継続していきたいですね。

 ミドルとして10段階のうち8まで経験できたのに、また次始める時には2でした、とならないように(笑)。スキルのレベルを保つために試合ではオポジットでも、ミドルの練習も継続していきたいです。

――リーグ全体を見ても今季は混戦ですね。

宮部 大げさじゃなく、全部の試合、どこがどこに勝つのか、まったくわからない。リーグも長いので、対策して、選手起用も考えながら回していかないといけない。

見ている方には楽しんでいただけると思いますが、戦うほうはなかなか大変ですね(笑)。女子バレー全体に追い風が吹いていると思っているので、その力に背中を押してもらって、もっと速く走れたらいいなと思います。

Profile
宮部藍梨(みやべ・あいり)
1998年7月29日生まれ、兵庫県出身。身長181cm。小学3年生からバレーボールを始め、金蘭会高校進学後は、1年生からレギュラーで出場し、インターハイ、国体、春高バレーの高校3冠を達成している。ミネソタ大学大学院卒業後、地元である兵庫県のヴィクトリーナ姫路で活躍している。日本代表としては、2015年の高校生の時に初代表入りを果たし、2022年からはコンスタントに日本代表に召集され、世界を舞台に活躍をしている。

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