2026北中米ワールドカップをどう戦う?(前編)
2026年6月に開幕する北中米ワールドカップの組み合わせ抽選会が昨年12月5日に行なわれ、日本グループステージでの対戦相手が決定した。
日本はグループFに組み込まれ、オランダ、チュニジア、欧州プレーオフBの勝者(ウクライナ、スウェーデン、ポーランド、アルバニア)と対戦することとなった。
「ワールドカップ優勝」を目標に掲げる日本は、最初の関門となるこの3試合をどのように戦っていくのか。サンフレッチェ広島時代に森保一監督に師事した佐藤寿人氏が、グループステージの戦いを予想する。
※ ※ ※ ※ ※
まだ1チーム決まっていない状況(2026年3月31日に決定)ですけど、日本にとっては比較的、戦いやすい相手が揃った印象です。もちろん、オランダがグループ最強であることは間違いないでしょう。2010年南アフリカ大会では1-0で日本に勝利し、のちに決勝まで駒を進めた当時のチームよりも、今のほうがメンバーが揃っていると率直に思います。日本はそのチームと初戦で対戦するわけで、厳しい戦いを強いられると予想されますが、ベスト16に進出した2022年カタール大会以降の日本の成長曲線を見るかぎり、たとえオランダが相手だとしても簡単に屈することはないでしょう。スペイン、ドイツと同居した前回大会に比べれば、大会のフォーマットが変わったことも含め、グループステージを突破する可能性はかなり高いと思われます。
大事になるのは、やはり初戦のオランダ戦です。
今のオランダは、本当にタレント揃いのチームです。絶対的な9番がいるわけではないですが、センターフォワードにはメンフィス・デパイ(コリンチャンス)がいて、ウイングにはコーディ・ガクポ(リバプール)とドニエル・マレン(アストン・ヴィラ)がいる。4-3-3の「オランダスタイル」を継承するウイングの存在は、やはり脅威でしょう。
【理想はブラジル戦の攻撃的なサッカー】
また、オランダは中盤にもプレミアリーグで活躍する選手たちが揃っています。シャビ・シモンズ(トッテナム)やタイアニ・ラインデルス(マンチェスター・シティ)、ジャスティン・クライファート(ボーンマス)、ライアン・フラーフェンベルフ(リバプール)......。
そして最終ラインには、大黒柱のフィルジル・ファン・ダイク(リバプール)がいる。そう考えると隙のない陣容に思えます。
ボールを持てるし、縦に速く仕掛けることもできる。無敗(6勝2分)で突破したヨーロッパ予選でも、ボール支配率が60パーセントを下回ることはほとんどなかったんじゃないでしょうか。ボールを持たれる展開となれば、押し込まれながらも少ないチャンスをモノにした前回大会のドイツ戦やスペイン戦のような流れになる可能性も十分に考えられます。
ただ、個人的にはそうはならないと思っています。
3年前の日本は「10回やって1回勝てればいい」というサッカーを、あの舞台で体現しました。森保さんは「勝つ確率を高める」ということを、広島時代からよく言葉にしていました。勝つ確率を高めることを極限まで求めた結果、あのようなサッカーになり、実際に勝つことができました。
一方で、強豪国をふたつも撃破したにもかかわらず、守備的なサッカーは批判も集めました。
だからオランダ戦でも、ブラジル戦のような戦いを理想としているのではないでしょうか。リトリートするのではなく、守備ラインを高くして、前から奪いにいくサッカーです。
【警戒すべきオランダの両ウイング】
実際にこの3年間で、日本はそのサッカーを実現し得るチームに成長を遂げました。守備の強度や奪ってから出ていくところは、カタール大会から格段にスケールアップした部分だと思います。
選手個々が日常的に、それを体感できる環境でプレーしていることが大きいでしょう。実際に森保さんも「プレー強度」は高い基準を設けて選考しているはずで、基準に満たなければメンバーに選ばれることはないと思います。
一方で「対オランダ」ということを考えれば、今季、オランダリーグで活躍している選手が多いことは日本にとってメリットだと思います。なかでもフェイエノールトでゴールを量産する上田綺世の存在は大きいですね。
彼に対する警戒心はオランダ国内でも高まっているはずで、少なからず相手を牽制することができるはずです。上田だけではなくヨーロッパの舞台で結果を出せる選手が増えていることは、この3年間で個々が成長してきた証(あかし)でしょう。
警戒したいのは、やはり相手の両翼です。
そうなると上田が孤立し、彼を生かすことが難しくなってしまう。状況によってはDF5枚で受ける時間もあると思いますが、あくまで奪ってから出ていくという意識を保ち続けたいところです。
相手の圧を回避して、自分たちが前に出ていく形は十分に作れると思います。ただ、痛手なのは南野拓実(モナコ)の離脱です。
ライン間でしっかりと受けられるし、スペースに入っていくこともできる。さらに守備もうまい選手で、相手に持たれた時にスイッチを入れられる。上田のサポート役としても欠かせない存在だったので、彼が大ケガを負ってしまったのは日本にとって小さくないダメージでしょう。
それでも日本は、この3年間で多くの選手を試しながら、選手層を厚くする作業を行なってきました。ケガ人が続出した最終ラインに新たな選手が台頭してきたように、たとえ南野が不在となったとしても、その穴を埋められる選手が必ずや現れるはずです。
【ターンオーバーは今大会でも採用?】
オランダ戦の結果にかかわらず、第2戦のチュニジア戦は絶対に勝たなければいけない試合となります。前回大会ではドイツに勝ったにもかかわらず、第2戦ではグループ内で一番力が劣ると思われていたコスタリカに敗れ、苦しい状況に陥りました。
カタール大会では第2戦でターンオーバーを採用して敗れたことが、批判の的になりました。個人的には中3日のスケジュールでメンバーを入れ替えることは、間違った判断ではなかったと思っています。
そして森保監督は、今度の北中米大会でも同じようにメンバーを入れ替えてくるはずです。カタールでの結果によってやりづらさもあるかもしれませんし、今回は試合間隔が中4~5日に空きますが、それでも森保監督は自身のやり方を曲げないはずです。
そのためにカタール大会以降は、2試合をマッチメイクしたなかで、より多くの選手たちにプレー機会を与えてきました。実際に起用できる選手の大枠は広がっていますし、ふたつのチームを作れるほどになっていると思います。
ましてや日本は「世界一」を目指しています。3試合をトータルで考えているのではなく、グループステージの段階からその先の決勝トーナメントを見越した戦いをしなければいけません。
3戦目の相手はまだどこになるか決まっていませんが、実力的にはポーランドになるのではないかと、個人的には予想しています。
ポーランドであれ、スウェーデンであれ、十分に実力のあるチームです。必ず勝てる相手ではありませんが、グループステージですべての力を注ぐのではなく、ある程度、余力を残しながら戦う必要があると思います。
前回優勝したアルゼンチンの戦いを見た時に、彼らはファイナルの舞台でも驚異的なインテンシティを保っていました。
グループステージの3試合ではなく、決勝までを含めた8試合をトータルでプランニングしないと、優勝はできないと思います。そのためには、グループステージで力を使いきらないような戦いをしないといけないですし、たとえば用意していたセットプレーをすべて晒さないようなやり方もしていかないといけないでしょう。
勝つ確率を高めていくために、森保さんはさまざまなこと考えているはずですし、そこが広島時代から変わらない森保さんのすごさだと思っています。どのような戦いを見せてくれるのか、カタール大会以上に期待感は膨らみます。
(つづく)
◆後編>>佐藤寿人が考える「ゴールから遠ざけるべきオランダ人選手」
【profile】
佐藤寿人(さとう・ひさと)
1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。

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