【駅伝】「選手が足りなくなる!?」「大会2日前に発熱」創部1...の画像はこちら >>

【選手兼監督の神野大地は「厳しいですが、これが現実」】

 元日に行なわれたニューイヤー駅伝(全日本実業団駅伝)で、創部1年目にして初出場を果たしたMABPマーヴェリック(M&Aベストパートナーズ)は出場40チーム中40位の最下位に終わった。

 東日本実業団駅伝では戦えても、実業団のトップが集うレースでは勝負にならなかった。東日本に続いて"監督業"に専念した神野大地プレイングマネージャー(選手兼監督)も「厳しいですが、これが現実」と、さすがに声のトーンが落ち、悔しさを噛みしめた。

 レースは、1区の鬼塚翔太が29位と少し出遅れ、2区の中川雄太は区間37位でチームは35位に。続く3区の山平怜生は「過去最悪の駅伝」と自身が振り返る走り(区間40位)で最下位に転落した。今大会の目標は20位以内だったが、ここで早くも黄信号が点滅。その後も立て直せず、最終7区を前に襷が途切れて繰り上げスタートとなった。初挑戦のニューイヤー駅伝は、かくも厳しく苦い結果に終わった。

 最終ランナーを務めた主将の木付琳は、苦しいレース展開を振り返った。

「ニューイヤー駅伝に向けては、正直、個人(の調子)を上げるところがなかなか難しかったです。(ニューイヤー駅伝の予選となる)東日本を突破できたことはチームにとって確実な前進だったと思います。でも、ニューイヤー駅伝はレベルが高く、さすがに厳しかった。もっとがんばらないといけない。それを全員が肌で感じたと思うので、来年は自分も含めて、もっと上を目指していかないといけません」

 チームは昨年4月、神野を含めた10名の選手で本格始動。そこから最大目標に掲げていたニューイヤー駅伝出場にたどり着くまでの一体感と成長ぶりは、目を見張るものがあった。

長い合宿を経て練習を積み、競技レベルを向上させた。

 11月の東日本は、そのお披露目の舞台でもあった。1区の山平が流れをつくり、エースの堀尾謙介もここ一番の強さを見せ、全員がミスすることなく6位でフィニッシュ。

「できすぎかなと思いますが、それでもここまでみんなが苦しいながらも目標達成のために努力し続けてくれたおかげです」

 神野はそう振り返る。できたばかりのチームを見事に一枚岩にして、壁を打ち破った。だが、目標を達成したことで、2カ月後のニューイヤーに向けていくつかの問題が生じた。

 東日本は周回コースでの駅伝で、距離もニューイヤー駅伝よりも短い。東日本で結果を出すために10kmから16kmくらいの距離を走る練習を軸にしてきた。調整にも気を配り、ピークを合わせた。そこで一度、力を出しきってニューイヤー駅伝の出場権を獲得。そこからニューイヤー駅伝に向けて再びピークに持っていくのは難しかった。距離への適応も十分にできなかった。

【今回のMABPには40位となる理由があった】

 厳しい言い方をすれば、ニューイヤー駅伝をどう戦うかまで考えられていなかったのだろう。東日本を突破した時点で、選手の気持ち的には"終わった感"が漂っていたのかもしれない。

 レース後、鬼塚は厳しい表情だった

「東日本が終わって1回安心してしまった。今回は東日本の突破が目標になっていて、チームのモチベーションも東日本の時ほど上がってこなかった。来年は、東日本を通過点にして、ニューイヤー駅伝で勝負できるようにしていきたいと思います」

 東日本で出しきった反動で、堀尾とチェルイヨット・フェスタス・キプロノの主軸ふたりが故障をして戦線離脱。プレイングマネージャーの神野も6月に難病ジストニアの手術を受け、いまだ回復途上。これ以上故障者が出ると、ニューイヤー駅伝は棄権に追いこまれてしまう。そのプレッシャーは相当なものだったはずだ。

 今回、レース2日前に発熱した山平は、代わりとなるメンバーがいれば欠場するような状態だった。それでも出場を強行したのは、熱が下がったのもあるがチームのための決断だった。また、堀尾を起用できないことで、後半のロング区間を予定していた中川雄太が2区に回った。飛車角抜き、満身創痍でのニューイヤー駅伝初挑戦だったのだ。

 神野監督は、寒風のなかこう振り返った。

「やっぱり駅伝は流れが大事なので、まだ全員にひとりで走る力がないですし、あらためてそういうところをしっかりやっていかないといけないと自覚できた駅伝になりました。11月の東日本にピークを合わせたので、そこから今回のニューイヤー駅伝に合わせるのが難しかったですが、それでも出場できて、一歩前に踏み出すことができたのはよかったと思います。この悔しさを忘れずに、今後やっていけるかどうかですね」

 この日、大会新記録で優勝したGMOインターネットグループは、優勝までに創部から10年を要した。当初からトップレベルの選手を複数抱えていたが、なかなか勝てなかった。だが、今回優勝することができたのは、チーム全員のコンディションを整えて走らせるという一番難しい課題を克服したからでもあろう。全員がミスなく区間上位で走り、青山学院大から鳴り物入りで加入したルーキーの太田蒼生も大砲級の働きを見せた。MABPにも今後はゲームチェンジャー的な存在が求められる。

 優勝するチームには、優勝するだけの理由があった。40位だったMABPには、40位となる理由があった。目の前で行なわれたGMOの胴上げシーンを、MABPの選手たちはしっかりと胸に刻んだだろう。挑戦は始まったばかりだ。

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