12月27日、大阪。大同生命SVリーグの2025年最後となった連戦の初戦で、初代王者サントリーサンバーズ大阪は大阪ブルテオンと首位を争い、セットカウント3-1で勝利を飾っている。

 サントリーは開幕戦でブルテオンに敗れて以降、これで怒涛の14連勝。天皇杯ではヴォレアス北海道に金星を献上したものの、リーグ戦では死角のない強さが目立っている。

「今日は勝てたことがよかったし、連勝記録も更新できたのはよかったと思います。相手がブラジルで世界クラブ選手権を戦ったあとでベストコンディションではなかったでしょうけど、自分たちもメンバーも読めなかったなか、しっかり勝ちに持っていけたのは収穫かなと」

 サントリーの日本代表ミドルブロッカー、小野寺太志はそう言って、勝利を振り返っている。

 小野寺は国際経験豊かな日本代表だが、この試合でもブルテオンの前に立ちはだかっていた。オールラウンドなミドルの本領を発揮。2本のサービスエースを決め、7本のクイック成功、3本のブロックを記録し、サーブレシーブの成功率は75%だった。3セット目を自滅に近いミスで失ったあと、小野寺は要所で高いクイックを決め、追いすがるライバルを振りきっている。

 今シーズン、チームは関田誠大という天才的セッターを得たこともあって、その力が最大限に引き出されつつあるのか―――。

【男子バレー】小野寺太志のオールラウンダーぶりが完成形に 首...の画像はこちら >>
 小野寺がバレーと遭遇したのは、中3の時だったという。それまでは野球をやっていたが、バレー選手だった両親の影響、190cmを超えていた長身もあり、バレーの宮城県選抜選考会に参加した。

 以前、インタビューでその原点を振り返ってもらったことがあった。

「当時、身長はコンプレックスだったんですよ。変に大きな注目を浴びちゃうのが嫌だなって。最初は、"自分が行きたかった"というよりは、ほぼ強制」

 小野寺は小さく笑って、当時を懐かしんでいた。

「(宮城)県選抜では、ずっとバレーをやってきたうまい子ばかりで、そこに"初心者で大きいだけの子が行く"のは抵抗がありました。それでも約4カ月、練習を重ねたら、周りのレベルが高いので、レシーブができて、サーブが打て、スパイクが打てるようになって、できることが増えた時に"楽しい"って思えるようになりました」

【安定した守りの基盤に】

 以来、小野寺は真正面からバレーと向き合ってきた。名門、東北高校に入って中心選手としてプレーし、アンダー世代の代表としてアジア、世界を転戦。シニア代表にも選ばれ、さまざまな大会に出場し、東京五輪、パリ五輪とメンバーに入った。挫折がないようにも映るが......。

「周りと比べて、できないことのほうがずっと多いですよ」

 そう言う小野寺は、謙虚というよりも冷徹なのかもしれない。

「高校も3年生の時、全国大会に負けて出られなくて......当時、東北は十何年連続で春高に出場していたのに、僕の代で負けて出られなくなり、負けた悔しさは今も残っています。全部が順調に進んでいたわけじゃない。それこそ、石川祐希は同年代でユースからずっと一緒ですけど、彼は日本の世代のトップで、どんどん先に行ってしまう。

髙橋健太郎も先にシニア代表に入り、彼らと自分を比べて"勝ててない"って感じて、海外遠征も"自分はなぜ選ばれているの"って......」

 小野寺はそう洩らしている。彼は慎重すぎるほどに、少しも驕ったところがない。あるいは、そうやって真摯にバレーと向き合ったからこそ、ディテールを極めることで、オールラウンドな能力を高められたのではないか。Vリーグ時代は4度もベスト6に選ばれている。

「高さがあって器用なミドル」
「冷静で連係に優れる」
「とくにつなぎでミスをしない」

 関係者たちにそう称賛される世界有数のミドルブロッカーが生まれたのは、必然だったかもしれない。

 この日のブルテオン戦も、安定した守りの基盤になっていたが、自らの手柄を誇るよりも、「サンバーズはいいディフェンスがいるし、今日は外側のヘルプもいたので、真ん中のゾーンを通さないようにできました。ディマ(ドミトリー・ムセルスキー)は一枚でも対応できますし」と、連係を評価し、チームメイトの力量に喝采を送った。周りを立てる姿勢こそ、守りを司るミドルの真骨頂だ。

〈ディフェンスからしぶとくつないで、連係でパワーのある相手にも競い勝つ〉

 それが日本バレーの勝ち筋だけに、小野寺ほどの人材はいない。

 12月28日の2025年最終戦。小野寺はセットカウント3-0で勝利したブルテオン戦でも、サントリーの15連勝に貢献している。ネット際で立ちはだかるだけで、敵のミスを誘った。

また、おとりになって味方のスパイクを有利にしていた。

 2026年もチームは東京グレートベアーズに連勝スタートして17連勝。多彩で多才なるミドルブロッカー、小野寺の完成形が楽しみだ。

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