ミラノ・コルティナ五輪 フィギュアスケート展望 男子編
【圧倒的な優勝候補と2位以下は混戦模様】
イリア・マリニン(アメリカ)が圧倒的な力を見せつけている今季のフィギュアスケート男子。2月のミラノ・コルティナ五輪では彼が中心の展開になるのは必至だ。
マリニンは例年のようにGPシリーズは前半で2戦をこなし、じっくりと調整してGPファイナルに臨んだ。
結果としてはミスとなって3位発進になったが、フリーではアクセルを含む4回転6種類7本を跳び、しかもすべてのコンビネーションジャンプを基礎点が1.1倍になる後半に入れるハイレベルな構成を完璧に降り、歴代世界最高得点の238.24点を獲得。合計は332.29点にする圧勝劇を見せた。
そんなマリニンは自身のピークを五輪に持っていくと公言していて、彼の優勝の確率は高いだろう。
一方で、2位以下の戦いは混戦になる可能性が高い。頭ひとつ抜け出しているのが鍵山優真(オリエンタルバイオ/中京大)になるだろう。昨季は「エースとはどうあるべきか」を考えて心が迷う時期もあったが、今季は自分らしさを重要視し、前半戦は自身のベースを固めるためにフリーの4回転をサルコウとトーループ2本の計3本のみにして、その構成で合計300点台を目指した。
GPシリーズは11月のNHK杯からの出場。10月の西日本学生のフリーで200.54点の高得点を出し準備を整えて臨んだ、そのNHK杯ではSPでキャメルスピンが0点になるミスを出しながらも、98.58点で目標の300点に王手をかけたがフリーで崩れてしまった。
続くフィンランド大会でも目標を果たせなかったが、12月のGPファイナルではSPをノーミスで滑って、北京五輪で出した自己ベストを4季ぶりに更新する108.77点を出した。フリーは終盤にミスを重ねてしまったが、合計は302.41点にして目標をクリアした。しかし、さらに自信をつけるべく臨んだ年末の全日本選手権は、優勝したが287.95点と悔しさを残す結果になった。
GPシリーズ2試合ではGPファイナル進出を強く意識し、全日本選手権では五輪代表の一発内定がかかっていた。「何もかかっていないから思いきってできる」と話していたGPファイナルも、300点台を意識するなかで、他の試合と同じように躊躇する気持ちが出て、攻めの演技ができない部分があった。
だが2回目の五輪代表が決まったことで、鍵山の気持ちも吹っ切れたはずだ。五輪に向けて鍵山は「前回の北京五輪は銀メダルでしたが、守りに入ることはまったく考えていないし、とにかく攻めて、攻めて、攻めまくり、自己ベストや勝ちを求めてチャレンジすることが一番大事だと考えています。後悔しないような生活を送って、五輪という舞台を全力で楽しみたいです」と決意を固める。
鍵山は五輪のメダルラインについて「最低でも300点を出すのは絶対条件」と言うが、真に狙うのは自己ベストの310.05点の更新だ。それを果たせば銀以上は確実になるだろう。
【仲良し3人組の相乗効果に期待】
一方、鍵山とメダルを争うライバルとなると、まず挙げられるのは306.78点の自己ベストを持つアダム・シャオイムファ(フランス)と、2025年世界選手権2位のミハイル・シャイドロフ(カザフスタン)になるだろう。
ただ、今季のシャオイムファはミスも多く、GPシリーズは2試合とも2位でシーズンベストは280.95点にとどまっている。また昨季、急成長し、自己ベストを287.47点に伸ばしていたシャイドロフは3種類の4回転だけではなく、その4回転をコンビネーションジャンプでも独創的に使う魅力は健在だが、今季はSPからミスが出ていて、シーズンベストはチャレンジャーシリーズ(CS)デニス・テン・メモリアルチャレンジの282.22点止まりだ。
不気味なポテンシャルを持つこのふたりがどこまで立て直してくるか、それ次第で鍵山を含めた戦いは大きく変わってくるだろうが、GPファイナルで自己ベストを292.58点まで伸ばした佐藤駿(エームサービス/明治大)も、そのなかに食い込んでくる可能性も持つ。
とくに今季の佐藤は、自信を持った演技の姿勢に成長も感じさせる。
今季は昨年6月の『ドリーム・オン・アイス』で右足首骨挫傷を負ってのシーズンインになったが、GPシリーズに入ってからは冷静な滑りで中国大会を優勝。NHK杯は鍵山に次ぐ2位に入った。そして、GPファイナルのSPではトリプルアクセルのオーバーターンで自身初の100点台は逃したが98.06点を獲得し、フリーも自己ベストと着実に得点を挙げてきている。
全日本はSPで冒頭の4回転ルッツが3回転になるミスで5位と出遅れて合計276.75点の2位という結果になったが、NHK杯とGPファイナルに続きフリーでは鍵山を上回る得点を獲得。五輪でもSPで100点台に乗せることができれば、合計300点も視野に入ってくるだけに、表彰台争いにも加われそうだ。
そして3人目は、昨季負った左太もも肉離れの回復を探りながらのシーズンインとなった三浦佳生(オリエンタルバイオ/明治大)。シーズン序盤は苦戦したが、SP、フリーともに昨季のプログラムの継続を決めてからは復活の気配を見せ、全日本は261.18点で3位になって五輪代表を決めた。
フリーではループとサルコウ、トーループの3種類4本の4回転を入れる構成に挑み、SPでも鍵山や佐藤が後半のジャンプをトリプルアクセルにしているのに対して三浦は4回転トーループを入れて基礎点向上を狙う気持ちの強さを持っている。合計の自己ベストも281.53点と高いポテンシャルを持っている。
五輪代表の3人は小学生時代から切磋琢磨してきた関係で、日常生活でも大の仲良し。
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