ヒロド歩美 インタビュー 中編(全3回)

 ミラノ・コルティナ五輪でキャスターを務めるヒロド歩美さんが、フィギュアスケートに続いて注目するのは、日本人選手の世界的な活躍が目覚ましいスノーボード・男子ハーフパイプだ。ヒロドさんは先日、北京五輪金メダリストの平野歩夢選手と、レジェンドであるショーン・ホワイトさんの対談という、貴重な機会に立ち会った。

 時代の移ろいとともに変化するふたりの関係性から見えたものとは? そして、世界を席巻する日本人トップ3の強さの秘密と、初の雪山取材に臨む五輪への意気込みを語ってもらった。

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【憧れからライバル、そして継承へ】

 ミラノ五輪に向けて、スノーボードも本当に楽しみな競技のひとつです。というのも、2025年9月に、平野歩夢選手(TOKIOインカラミ)と、先日現役を引退されたショーン・ホワイトさんの対談インタビューをさせていただく機会があったんです(『報道ステーション』で2025年12月18日放送)。

 その時、ふたりの関係性の変化に、私は「時代」というものを強く感じました。平野選手がスノーボードを始めた頃、ショーンさんは言うまでもなく憧れの存在。それが、大会を重ねるごとによきライバルになり、そしてショーンさんが引退した今、平野選手がその思いを背負ってミラノの舞台に挑む。ひとりのアスリートと、彼が追いかけたスターとの関係性が、「憧れ」「ライバル」「継承」へと変化していく物語に深く引き込まれました。

 ショーンさん自身も、最初は「アユムっていう、すごい少年がいるらしいぞ」というところから、実際に世界の舞台で戦い、その実力を認め合う仲になったと語ってくれました。そんなレジェンドと現役王者の関係性の変遷について直接伺えたことは、すごく貴重な経験でした。

 平野歩夢選手自身も、今やレジェンドとなりつつあります。そして、そんな彼の背中を追って、「平野歩夢に勝つためにはどうすればいいか」と、平野流佳選手(INPEX)と戸塚優斗選手(ヨネックス)がすぐ後ろから猛追している。先日、中国で開かれたワールドカップ開幕戦(2025年12月12日決勝)では、この3人が表彰台を独占しました。日本人選手が世界のトップレベルを牽引している状況は、本当にすごいことだと思います。

 ショーンさんも、「今のスノーボード界のレベルを上げているのは日本人選手だ」とおっしゃっていました。平野歩夢選手、流佳選手、戸塚選手の3人がいるからこそ、世界のレベルが上がっているんだと。これは、ひとりの日本人として本当に誇らしいなと感じた瞬間でしたね。

 そして、私が最も衝撃を受けたのが、その技術の進化のスピードです。2022年の北京五輪は、平野歩夢選手が「トリプルコーク1440」という大技を成功させて、悲願の金メダルを獲得したのが本当に印象的でしたよね。当時は、あの大技を成功させること自体にものすごい価値があったはずなのに、それからわずか数年で、今度のミラノではその技が当たり前というレベルになっているんです。

 平野流佳選手も戸塚選手も、当然のようにその技を自身のルーティンに組み込んできます。「できて当然」の世界で、そこからさらにプラスアルファ、どんな個性や武器を乗せて戦うか。そんな、とんでもなく高い次元に突入している。

 それぞれが繊細で、多様な武器を持って挑むミラノ五輪は、間違いなく面白い戦いになります。日本のトップ3が世界の頂点にどっしりと構えているこの状況を、取材できることが今から楽しみでしかありません。

【届けたいのは現場の"熱狂"と"音"】

 今回のミラノ五輪は、私にとって本当に初めてづくしの大会になります。

2021年夏の東京五輪は取材という形で参加しましたが、冬の五輪も、そしてキャスターとしてしっかりと携わるのも、今回が初めての経験です。

 会場がミラノとコルティナの2拠点に分かれていて、4カ所ほどに会場が点在しているので移動も大変そうです。私は主にスノーボードなどが行なわれる「山の競技」担当で、文字どおりサバイバルな取材になりそうですが、それも楽しみのひとつですね。それぞれの場所で美しい景色に出会えるでしょうし、イタリアの美味しいピザも待っているはず(笑)。何より、そうした環境で日本人選手の活躍を見届けられることが、一番のエネルギーになります。

 雪山での取材も初めてなんです。大学時代に趣味でスノーボードをやっていた、というくらいで......。夏の甲子園の取材で暑さには慣れているのですが、寒さには正直ビビっています(笑)。しっかりとした防寒対策で臨みたいですね。でも、ご一緒する松岡修造さんという大先輩がいらっしゃるので、その熱で温めてくださると信じています!

 前回の北京五輪は、コロナ禍で多くの制限がありました。だからこそ今回は、その制限が解除された現地の「熱狂」を、肌で感じられることが本当に楽しみです。先日のフィギュアスケートのグランプリファイナルでも実感しましたが、テレビではなかなか聞こえない「音」が、現場にはたくさんあります。

選手の息遣い、スノーボードのエッジが雪を切る音、そして観客の「声」。そういった、現場でしか感じられないリアルな音や空気感を、今回は敏感にキャッチして、しっかりとお届けしたいと思っています。

 メダルが期待されるスノーボード競技の担当として、メダリストたちの喜びを伝える瞬間も多くなるはず。各局がその瞬間を狙う中で、私たちならではの言葉で、その喜びと感動を伝えられたらなと思います。

ヒロド歩美が引き込まれた平野歩夢の「物語」 五輪男子ハーフパイプは間違いなく面白い戦いに

後編につづく

<プロフィール>
ヒロド歩美 ひろど・あゆみ/1991年10月25日生まれ。兵庫県宝塚市出身。早稲田大学国際教養学部卒業後、2014年に朝日放送テレビ(ABCテレビ)入社。2016年に『熱闘甲子園』のキャスターに就任。その後は『サンデーLIVE!!』『芸能界常識チェック!~トリニクって何の肉!?~』『芸能人格付けチェック』などに出演。2023年からフリーとなり、現在まで『報道ステーション』のスポーツキャスターを務めている。2026年2月6日に開幕するミラノ・コルティナ冬季オリンピックのテレビ朝日系中継番組では、松岡修造とともにキャスターを務める。

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