Juju インタビュー 後編(全2回)

 2024年、全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)に史上最年少の18歳でデビューし、大きな注目を集めたJujuこと、野田樹潤。2025年はSFで2年目のシーズンを戦いながら、電気自動車の最高峰レース、フォーミュラEのテストにイギリスのジャガー・チームから参加。

「世界を舞台に戦いたい」という子どもの頃からの夢に向けて、着実にステップを重ねているJuju。2月に20歳になる彼女に国内トップフォーミュラ参戦3シーズン目にかける思いと、節目となる2026年の決意を聞いた。

レーシングドライバー・Jujuの20歳の決意「世界で活躍する...の画像はこちら >>

【速いマシンに乗って突き詰めたい】

ーー2024年にSF史上最年少の18歳で参戦して2シーズンを終えました。目標として掲げている「予選のQ2進出とポイント獲得」は達成できていませんが、あらためてSFの難しさとは?

Juju(以下同) 出場するドライバーのレベルが高く、本当に重箱の隅をつつくような細かいセットアップの差で勝負が決まる難しいレースです。ドライバーとマシンのどこか少しでも足りないところがあったら、結果を出すことができません。

 しかもドライバーやチームの多くはずっと国内のレースを戦ってきて、サーキットを熟知していますし、経験も豊富です。そこに結成されたばかりの新チームのドライバーがポンと入ってきて追いつくのは並大抵のことではないと思います。

ーーJuju選手はライバルとの差を少しでも埋めるために、海外のサーキットでフォーミュラカーの練習走行をしています。SF以外の国内レースに出場してみようと思ったことはありますか?

 本当だったらSFのマシンを使って自由にテストができたらいいのですが、それはルール上できません。そういう現実があるなかで他のチームやドライバーに追いつくためには、ヨーロッパに行ってSFと同等のマシンで走ることがベストの選択だと考えています。

 国内のレースでは、たとえばスーパーGTは、SFに出場する大半のドライバーが出場していますし、開催サーキットも一緒です。でも今のところはフォーミュラカー、速いマシンに乗って突き詰めたいという気持ちが強いです。

ーーSFに搭載されるエンジンは550馬力以上を発生すると言われています。

Juju選手がヨーロッパでの練習走行に使用しているマシン、フォーミュラ・ルノー(FR)3.5も同じぐらいの馬力ですか?

 そうです。2025年はFRでフランス、スペイン、スロバキアなどのサーキットで走りました。ハイパワーのマシンをコントロールするためのいい練習になりますし、FRにはパワーステアリングがついてないので、フィジカルトレーニングにもなるんです。

 日本でも古いF3を借りてテストしたこともあるのですが、走行時間がすごく短い。1日に30分間のセッションが3回とか。しかも他のマシンと一緒に走るので、ほとんどクリアラップが取れません。でもヨーロッパのサーキットは比較的空いていて、1日何時間も走れるんです。向こうで2~3日くらい走っていると、もうヘロヘロになります(笑)。

 あと向こうで走る大きな理由のひとつは、将来は国内だけじゃなく、海外でレースに挑戦したいという思いがあるからです。実際にヨーロッパで練習走行をしていると、いろんな人脈やネットワークが広がってきます。そういう意味でもヨーロッパに行くことに意味があると判断しています。

レーシングドライバー・Jujuの20歳の決意「世界で活躍するために結果を出す」「ジャガーで走れたのはいい経験」
photo by Murakami Shogo

【国内レースで求められる結果】

ーー昨年10月末にスペイン・バレンシアで開催された電気自動車の最高峰レース、フォーミュラE(FE)の女性ドライバーのみによる公式テストセッションにイギリスのジャガーから出走しています。それも海外でのネットワークがあったからですか?

 チームからはドライバーとして評価していると言葉をいただきましたが、そこもあったと思います。

海外で走ることでいろんな人と関わる機会が多かったですし、そのなかでSFでも一緒になってやってくれる仲間も増えました。海外で活動することは、ドライバーのキャリアを築くうえでは長い目で見てアドバンテージになると思っています。

レーシングドライバー・Jujuの20歳の決意「世界で活躍するために結果を出す」「ジャガーで走れたのはいい経験」
photo by Tanaka Wataru

ーーJuju選手は「FEのような世界選手権に参戦することが夢」と話していますが、実際にテストをしてみた感想は?

 今回、ジャガーから声をかけてもらってびっくりしましたが、イギリスのファクトリーの立派さにも驚きました。実車を走らせる前にファクトリーで2日間シミュレーターをやらせてもらったのですが、とにかく設備がすごかった。

 シミュレーターの精度もめちゃくちゃ高いですし、シミュレーターテストの数日後に実際にサーキットでFEのマシンを走らせてみると、まったく違和感なくドライブできました。そこにも正直驚きました。

ーーテスト結果について、ジャガーチームの評価はどうだったのですか?

 自分としては、いいパフォーマンスが発揮できたと思っていますし、チームも私にすごく興味を持ってくれ、育てるつもりだと言ってくれています。もうレギュラードライバーが決まっているので、レースに出場するという話ではないのですが、シミュレーターやテストドライバー、ルーキーテストも何回かあるので、そこで走行する可能性を考えていると話してくれています。

 ジャガーで走れたのはいい経験でした。とくにエンジニアの数と質の高さには感心しました。タイヤだったらタイヤだけのエンジニアがいますし、F1で実績を残したエンジニアも多数いました。本当に"ミニF1"と言っていい体制のなかで走れたのは、すごく刺激的でしたし、勉強になりました。

ーー世界の舞台で走りたいという気持ちがますます強くなりましたか?

 そうですね。小さい頃からFEやF1など海外を舞台に活躍するドライバーになるのが夢であり、目標です。そこに最短ルートでたどり着くことを目指していますので、国内でレースをするのは、長くてもあと数年かなと思っています。

 だからこそ2026年は結果を出さなければなりません。出場する以上勝ちにいく気持ちでやらないといけないと思っていますが、まずは予選Q2進出と、決勝はポイント圏内のトップ10入りを目指します。

レーシングドライバー・Jujuの20歳の決意「世界で活躍するために結果を出す」「ジャガーで走れたのはいい経験」
photo by Tanaka Wataru

【20歳を迎えやってみたいことは?】

ーーJuju選手は今年2月に20歳を迎えます。20歳を対象とした式典が自治体で開催されますが、出席されるのですか?

 地元の美作市(岡山)に戻って、催しに出席する予定です。振袖はもう準備しています。

ーー最後に20歳の決意をお聞かせください。

 SFで結果を出すことはもちろんですが、レース以外にもいろいろなことにチャレンジするような年にしたいと思っています。昨年は大学(日本大学ポーツ科学部)にあまり行く時間がなかったので、もっと出席して勉強したいです。

 私はレースとプライベートの切り替えを大事にしているのですが、友達と食事をしたり、旅行に出かけたりする機会が少なかった。

そこも充実させたいです。あと20歳になったら、お酒がどれくらい飲めるのか、ちょっと挑戦してみたいかな。父は下戸なので遺伝的には飲めないと思いますが、めちゃくちゃ酒癖が悪かったらどうしよう(笑)。

レーシングドライバー・Jujuの20歳の決意「世界で活躍するために結果を出す」「ジャガーで走れたのはいい経験」
photo by Tanaka Wataru

ーーこれからはレースの世界でも付き合いが広がっていくと思います。たとえば、誰か先輩ドライバーの方と食事に行ったりすることは?

 今のところはないですね。日本のレースでは幼少期のカート時代からずっと一緒に戦って、トップカテゴリーにまでステップアップしてきたという選手が多いじゃないですか。そこにポンって入ると、なかなか......。それに私は女性なので、やっぱり気を遣っているのかもしれません。

ーー20歳になり、家族と離れて自分ひとりで戦ってみたいという気持ちが芽生えたことはないですか?

 近い将来、ファミリーチームを離れ、どこかのチームに入って活動する日が訪れます。そうすると勝手に自立していくのかなと思っています。たとえそうなっても両親はこれまでどおりに私をサポートしてくれるはずですので、関係性は変わらないと思います。とにかく2026年はSFで結果を出して、夢の実現に向けての大きなステップにしたい。

それが20歳の一番の目標です。

レーシングドライバー・Jujuの20歳の決意「世界で活躍するために結果を出す」「ジャガーで走れたのはいい経験」
photo by Tanaka Wataru

終わり

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<プロフィール>
Juju 野田樹潤 のだ・じゅじゅ/2006年、東京都生まれ、岡山県育ち。元F1ドライバーの野田英樹の次女として生まれ、3歳でカートに乗り始め、4歳でカートレースデビュー。9歳でフォーミュラカーを初めてドライブ。2020年から家族とともに渡欧し、デンマークF4、女性ドライバー限定のフォーミュラカーレースWシリーズなどを経て、2023年はユーロフォーミュラオープンで女性初の優勝を飾る。同年、ジノックスF2000(旧イタリアF3)で史上初の年間王者に輝く。2024年よりスーパーフォーミュラに史上最年少の18歳でデビュー。2025年からは父・英樹氏が監督を務めるTriple Tree Racingから参戦。日本大学スポーツ科学部在学中。

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