「強い、速い、うまい。完璧な相手ですね、やっぱり。
鹿島学園(茨城県)の守護神、プムラピー・スリブンヤコは清々しい表情で試合を振り返った。
史上最多となる6万142人の大観衆が詰めかけたMUFGスタジアム(国立競技場)で際立ったのは、神村学園(鹿児島県)の強さだった。J1優勝の鹿島アントラーズ、J2優勝の水戸ホーリーホックらによる「茨城旋風」に続いた鹿島学園をもってしても、彼らの壁を突き破ることはできなかった。
「神村学園さん、本当に強かったです。それを認めるというか、本当にチャンピオンにふさわしいチームだなって、率直に思います。フィジカル面、技術面、うちよりも上回っていたと思いました」敗れた鹿島学園の鈴木雅人監督は、悔しさを露わにしながらも、相手の強さを称えた。
序盤は互角の戦いだっただろう。下馬評どおりに神村学園がボールを持つ展開となるも、鹿島学園も両サイドの推進力を生かした攻撃で対抗。ハイプレスで相手を制限しながら、背後を突かれても粘り強くカバーする。インターハイに続いて2冠を狙う優勝候補に対し、真っ向勝負で立ち向かった。
ところが19分に裏に抜け出されると、こぼれ球を押し込まれて、与えてはいけない先制点を献上してしまった。
鹿島学園とすれば、同じく優勝候補の流通経済大柏(千葉県)を撃破した準決勝のように、失点ゼロのまま試合を進めていくプランだった。
「最初の15分で失点しなかったのはよかったんですけど、そこから自分たちも少し気が緩んだというか、疲れていた部分もあるんですけど、そこで失点してしまって......。雰囲気にもちょっと飲まれてしまって、チームが悪い方向に行ってしまったかなと」
プランが崩れたなかでも、鹿島学園に勝機がなかったわけではない。
そのひとつが、31分のPKストップだ。
【鹿島学園には光る個性が揃っていた】
「相手はインターハイ(決勝)の大津(熊本県)戦と(今大会の)準決勝でもPK戦があったので、試合前にメモをしていました。あとは(木下)永愛(とあ)選手に『こっちに飛んで』って言われたので、飛んでよかったと思います」
高校進学時に「微笑みの国」タイからやってきたスーパー2年生が絶体絶命のピンチを圧巻のセーブでしのぐと、ここから流れが変わる可能性は十分にあった。
実際、ここから鹿島学園に勢いが生まれたように見えた。しかし、神村学園の優位性を打ち破るまでには至らない。そして39分、自陣でのボールロストから強烈なミドルをお見舞いされ、痛恨の追加点を献上した。
それでも鹿島学園には、高校サッカーらしい不屈の精神が備わっていた。
後半に入ると選手交代で攻撃を活性化し、立て続けにセットプレーの機会を獲得。52分には右CKから決定的なチャンスを迎えるも、ポストに阻まれてしまう。55分にはFKから完璧なヘッドを見舞ったが、相手GKのビッグセーブにあってネットを揺らすことはできなかった。
キッカーを務めたのは、いずれも清水だった。彼の高精度のキックは、間違いなく鹿島学園の強みだ。ほかにも193cmの長身を誇り、大会を通じてダイナミックなセービングを連発したプムラピー、左サイドで強烈なドリブル突破を披露した三浦春人など、鹿島学園には光る個性が揃っていた。
OBの上田綺世でも成し遂げられなかった同校史上初の決勝進出を果たせたのも、彼らのパフォーマンスを見れば、決してフロック(まぐれ)でなかったことが証明された。
もっとも神村学園は、彼らをさらに凌駕した。猛攻を仕掛けてくる相手を冷静にいなし、カウンターからとどめを刺す。まさに試合巧者の戦いぶりだった。
「勝ちたいっていう気持ちは自分たちにもあったんですけど、ボールの動かし方だったり、一人ひとりの強度だったり、そこを上回られてしまったことで、自分たちが準優勝という結果になってしまったのかなと思います」
奮闘した清水は、0-3の完敗に肩を落とした。
【今度はしっかりと決勝で勝てるように】
ただ、頂点にはたどり着けなかったものの、彼らにとって価値のある大会となったことも確かだろう。
試合を勝ち進むなかで自信を深め、劇的な成長を遂げていくのは選手権の醍醐味のひとつだ。インターハイで優勝し、ユース年代最高峰の舞台であるプレミアリーグWESTで5位となった神村学園に対し、鹿島学園はインターハイでは2回戦で敗退し、プレミアリーグのひとつ下のカテゴリーにあたるプリンスリーグ関東では7位に終わっている。
それでも6万人を超える大観衆の前で臆することなく戦い抜き、頂点まであと一歩に迫った。その事実こそが、何よりの財産だ。
決勝の舞台に立ったからこそ、見えたものもある。鈴木監督は言う。
「本当に悔しいですけれど、試合が終わって学んだこともあったので、またそれを糧(かて)にがんばりたいなと思います。指導者の私自身がもっと学んでいかなきゃいけないんだなと、あらためて猛省しました」
大舞台を経験した2年生の存在も大きな希望となる。プムラピーは、曇りなき瞳に力を込めて宣言した。
「来年は僕とか、内海心太郎とか、ワーズィー(ジェイヴェン勝)とか、今の2年生が中心となって、ここから一生懸命やって、国立にもう1回、戻りたいですね。3年生のためにも、今度はしっかりと決勝で勝てるように頑張ります」
大舞台で味わったこの悔しさが、大きな原動力となる。「茨城旋風」は来年も吹き荒れるかもしれない。

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