東京ヴェルディ・アカデミーの実態
~プロで戦える選手が育つわけ(連載◆第32回)
Jリーグ発足以前から、プロで活躍する選手たちを次々に輩出してきた東京ヴェルディの育成組織。この連載では、その育成の秘密に迫っていく――。
第31回◆東京ヴェルディユースからトップ昇格できなかった選手の「成長のメソッド」>>
僕のプレースタイルはヴェルディで培われたもの――。
東京ヴェルディのアカデミー出身で、北陸大学を経てプロサッカー選手になるという夢をかなえ、今季横浜FCに移籍した横山暁之は、そう断言してはばからない。
「やっぱり、中央の狭いエリアでも前を向いてゴールを目指す技術ですね。相手の逆を取ったり、味方とのコンビネーションを使ったり。そういうところはヴェルディで教わったのかなと思っています。確かに技術的なところは(ヴェルディで身につけたことが)多いですね。
あとは、こうしていろいろと振り返ってみると、負けず嫌いなところも、そのベースはヴェルディの時に培われたものではあるのかな、と思います」
やはりイメージどおりというべきか、ヴェルディのアカデミーという場は、技術や個人戦術的なことを伸ばしてくれる環境だった。横山もまた、そう感じている。
「それは確実にありましたね。ポゼッションとかもたくさんやりましたし、味方の動きを見てポジションを変えたりとか、そういうこともめちゃくちゃやりました」
「それに」とつないで、横山は「選手には個人個人のよさがあって、自分は背が小さかったし、フィジカル的にも弱かったから、そのなかで生きる術をすごく教わったっていう感覚が強いです」と続ける。
「相手に倒されずに、どうやって戦うのかとか、相手にぶつかりそうな時は、どうやってファウルをもらうのかとか。その他にもずる賢さというか、見えないところでの相手との駆け引きとか。
横山自身、「僕なんかがヴェルディを語ることが、はたして正しいのかどうかわからないですけど」と話しているように、ヴェルディのアカデミーに所属していた当時、横山は必ずしも注目される選手だったわけではない。
ユースチームの監督を務めていた冨樫剛一(現横浜F・マリノスユース監督)や、同期の選手だった中野雅臣の回想からは、彼が非凡な才能を秘めた選手であったことはうかがえるが、それを10代で発揮するには至っていなかった。
だが、それでも横山が"ヴェルディでしか身につけられないものをしっかりと身につけていた"からこそ、プロ選手として現在に至っていることは疑いようがない。
横山が誇らしげに語る。
「大学に進んでからもそうだったし、プロになってからもそうだったし、やっぱりヴェルディで培われたものっていうのは確かに大きくて、今でも自分のプレースタイルは『ヴェルディらしいな』って言われることがありますからね。僕のプレーを見た人が、僕の経歴を見てみたら、『やっぱりヴェルディユースだった』みたいな(笑)。あそこで培われたものが、今の自分に生きているって思います」
いわば、ヴェルディのアカデミーにしか育てられない選手がいる――。横山暁之というプロサッカー選手の存在は、ヴェルディがヴェルディたるゆえんを示していると言えるのかもしれない。
横山は「ヴェルディらしい」と言われることについて、「褒め言葉だと思います。僕はすごくうれしいですね」と言い、笑顔を見せる。
「僕はヴェルディで育ったことがすごく誇りだし、もっと言いふらしたいんですけどね(笑)。
(文中敬称略/つづく)

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