世界最大のスポーツの祭典、サッカーW杯の開幕まであと半年を切った。2026年6月11日から7月19日まで、アメリカ、カナダ、メキシコの3カ国で、大会史上最多となる48の代表チームが世界一の称号をかけてしのぎを削る。
高度資本主義の最先端、アメリカには世界最大のスポーツマーケットがあり、この国のファンは人気のスポーツイベントのチケットを手にするためには、財布の紐を大いに緩める。地球上で一番愛されるスポーツ、サッカーの最も重要な大会がアメリカ──3カ国共催ながらメインは78試合の会場となるアメリカ(カナダとメキシコは13試合ずつ)──に戻ってくる今、パワーとマネーに取り憑かれたジャンニ・インファンティーノ会長がトップを務めるFIFA(国際サッカー連盟)は、ここがチャンスとばかりに、そのチケットの値段を大幅に釣り上げているのだ。
過去のW杯では、常識的な値段でチケットが販売されていた。グループステージのカテゴリー3の平均チケット価格は2006年大会で91ドル、2010年大会で120ドル、2014年大会で125ドル、2018年大会で138ドル、2022年大会で79ドルだった。だが2026年大会のそれは、200ドル(約3万2000円)だ。カテゴリー2は2022年大会の190ドルから433ドル(約6万9000円)に、カテゴリー1は253ドルから563ドル(約9万円)に値上がりしている。
最も法外な価格が設定されたのは、決勝だ。カテゴリー3が4185ドル(約66万4000円)、カテゴリー2が5575ドル(約88万4000円)、カテゴリー1にいたっては8680ドル(約137万6000円)。それぞれ前回大会のチケット価格から、およそ6倍、5倍、5倍の値上げとなってしまっている。
また今大会のチケットの販売には、W杯史上初めて"ダイナミック・プライシング"が用いられる。
2025年夏にアメリカで開催されたクラブW杯でも採用され、たとえばチェルシーとフルミネンセによる準決勝のチケットは最安で13ドルだったが、翌日に同じ会場(2026年W杯決勝の会場でもあるニューヨーク・ニュージャージー・スタジアム)で行なわれたレアル・マドリード対パリ・サンジェルマン戦のチケットの最低価格は230ドルだった。
【「ダフ屋が規制されていないからといって、FIFAがダフ屋にならなくていい」】
この決定に世界中のメディアやファンから批判が巻き起こるなか、FIFAは新たなシステムと価格を擁護している。彼らのロジックはこうだ。
[もし手頃な価格に設定してしまえば、ダフ屋が買い占めを図り、再販の際に法外な値段をつけ、ファンがその餌食になってしまう]
はたして、この説明に納得する人はいるだろうか。実際、FIFAこそ、アメリカとカナダの自由市場(メキシコではイベントのチケットを額面以上で販売することが法律で禁じられている)で、利益を最大化しようとしているように見える。
FIFAはこれまで、チケットの再販システムの利用料をチケット価格の10%としていたが、今大会から販売者と購入者のそれぞれから15%ずつ徴収、つまり再販価格の30%がFIFAのものとなる。
これに対し、欧州のフットボールファン団体『フットボール・サポーターズ・ヨーロッパ』は、FIFAのハイモ・シュリギCOO(最高執行責任者)へ書面を送った。その内容は次のとおり。
「ダフ屋行為が厳格に規制されていないからといって、FIFA自身がダフ屋にならなくてもいいのではないか。このようなシステムを導入すれば、マーケットの現実に対応していると見せかけて、実のところは利益を最大化しようとしているだけと認識される。
W杯は単なる商品ではないはずだ。グローバルなカルチャーイベントであり、その土台には自国の代表チームやこの競技を心から愛する一般のファンがおり、彼らの情熱や友愛がなければ、成り立たないものである」
それでも、FIFAのグロテスクな拝金主義はこれにとどまらない。
チケットを入手できなかったファンなどのために巨大なスクリーンで試合を放映してきたファンゾーンは、これまでは無料で入れたが、今大会から12.50ドル(約2000円)の入場券が必要になる。またクルマでスタジアムを訪れるなら、駐車場代が75ドル(約1万2000円)から175ドル(約2万8000円)かかる。
今大会の出場国のなかでも、スイスやアメリカといった先進国のアッパーミドルクラス以上の人々ならともかく、そんな社会の流れについていけていない国や人々は多い。今回、W杯本大会に初出場するハイチの試合のチケットは最低でも180ドル(約2万9000円)だが、かの国の平均月収は147ドル(約2万4000円)だ。こうした国では特別な地位にある人や、非常に恵まれた境遇の人しか、現地で自国の代表チームを応援することはかなわないだろう。
【60ドルのチケットは全体の1.6%のみ】
このFIFAの決定に世界中のファンやサポーター、元選手、そして現役選手までもが抗議すると、昨年12月中旬にFIFAは新たに"サポーターエントリーティア"という名目のチケットをカテゴリー4として販売することに決めた。こちらは本大会に出場する各代表チームの熱心なサポーターのために用意されたもので、決勝を含め、全試合の観戦チケットの価格が60ドル(約9600円)に設定されている。1月13日から日本でも販売の申し込みが始まったようなので、ご存じの読者の方もいるだろう。
ただしその数は、スタジアムの大きさにもよるが、1試合あたり400枚から500枚ほど。出場国の協会に割り当てられたチケットが全体の8%で、そのうちの10%、つまり全体の1.6%だけなのだ。それ以外は、先に述べたような、高額なチケットだ。
サッカーは世界中でいかなる階級の人にも愛されている。
※為替レートは2026年1月15日時点
(つづく)
【後編】を読む >>> 【ワールドカップ】高すぎる観戦チケットをめぐりNY市長がFIFAに抗議 日本のサポーターも給料3カ月分を投じることになるか(チケット料金表掲載)

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