「60ドル(約9600円)の"サポーターチケット"は全体の1.6%しかない。これではまったく足りない。
そう訴えたのは、2026年1月1日にニューヨーク新市長に就任したゾーラン・マムダニだ。インド人の両親のもとウガンダで生まれ、南アフリカを経て7歳の時にニューヨークに移住した現在34歳の政治家は、史上初のイスラム教徒のニューヨーク市長にして、一般市民の声を代弁する民主社会主義者である。そして、少年時代からアーセナルをサポートする大のサッカー好きだ──2012年にスペインのクラブ、レアル・オビエドが財政危機に陥った際、一部の株式を買い取って助けを申し出たこともあるほどの。
マムダニは続ける。
「我々が具体的に必要としているのは、"ダイナミック・プライシング"の廃止、チケットの再販の際の上限価格の設定、そして地元ファンへの15%のディスカウントだ。サッカーという美しいスポーツ(the beautiful game)は、万人のためのものだから」
これらは昨年9月に、当時はまだニューヨーク市長選への立候補者だった頃のマムダニが始めた署名運動、"強欲に終焉を"(Game Over Greed)が求めているものだ。富裕層だけでなく、一般的な市民が普通に心地よく暮らせるニューヨークの街を取り戻すとスローガンを掲げ、無料の市営バスの運営や公的な子供用の保険、市営のスーパーマーケットの設立、30ドルの最低賃金などの公約をもって市長選を勝ち抜いた彼は、自身が愛するスポーツに対しても同じ姿勢を貫いている。
「FIFAの公式サイトでチケットが再販される際、現状では価格の上限がない。つまり、60ドルで買ったチケットを6000ドル(約96万円)で売ることもできるわけだ」とマムダニは嘆く。
「また過去のW杯とは異なり、地域住民への割引チケットがない。そうなると、自分が住んでいる場所で世界最大のスポーツイベントが開催されているのに、チケットが高すぎて参加できないことになってしまう」
【「自宅を担保に借金しなければなくなる人も」】
マンハッタンの郊外、ニュージャージーのイースト・ラザフォードにあるニューヨーク・ニュージャージー・スタジアムは今大会、決勝を含む8試合を開催するメイン会場のひとつだ。この地域に富裕層が多いのは確かだが、いかなる都市と同様に、普通の暮らしを送る人々が大多数だ。
とはいえ、マムダニ市長にFIFAの強欲な動きを止めることはできるのだろうか。
「そう信じている。自分の立場を利用して、FIFAに働きかけていく所存だ」とマムダニは『CBS』の番組で語った。彼のインスタグラムのフォロワーは1100万人、Xのそれは100万人、TikTokのそれは300万人だ。
「クロアチア・サッカー協会によると、(このままダイナミック・プライシングが採用されると)今大会の決勝のチケットは最低でも4000ドル(約63万5000円)は下らなくなるという(1.6%しかないカテゴリー4を除く)。前回のカタール大会の5倍以上だ。そうなると、どうしても決勝を現地で観戦したいと思う一般人は、自宅を担保に借金しなければならなくなる人もいるだろう。
とにかく、まともな値段のチケットにしてほしい。前回、アメリカで開催された(1994年)大会の決勝は、カリフォルニアで開催され、最高でも200ドルしなかった」
マムダニ市長はフットボールに人々を団結させる力があることを知っている。それだけに、自身が市長を務める街で行われるこのせっかくの機会を、富裕層しか参加できないようなものにしたくないのだ。
彼にFIFAの考えを改めさせることができるかどうかはわからない──FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長が顔色を窺い続けるドナルド・トランプ大統領には、その力がありそうだが、傲慢なビリオネアがそんなことをするとは考えにくい。
なお、欧州のサポーター団体『フットボール・サポーターズ・ヨーロッパ』の試算によると、ひとつの代表チームを初戦から決勝まで現地で観戦し続けたら、安く見積もって7000ドル(約111万円)はかかるとされている。日本の2024年の平均月収は40万円に満たないようだが、もしあなたたちの代表チームが決勝まで勝ち進めたら、3カ月分のサラリーを投じて追い続けても、価値はあったと感じるのだろうか。
【2026年W杯チケット価格表】
ちなみに、第3次抽選時点における日本代表の試合と決勝トーナメントのチケット価格は以下のとおり。グループステージの料金にばらつきがあるのは、FIFAが試合のランクをつけているからだ(SからDまで)。
6月14日(日)オランダ対日本/ダラス:ランクB
カテゴリー1(プレミアティア) :600ドル(約9万6000円)
カテゴリー2(スタンダードティア) :430ドル(約6万9000円)
カテゴリー3(バリューティア) :220ドル(約3万5000円)
カテゴリー4(エントリーティア) :60ドル(約9600円)
6月20日(土)チュニジア対日本/モンテレイ:ランクD
カテゴリー1(プレミアティア) :450ドル(約7万2000円)
カテゴリー2(スタンダードティア) :380ドル(約6万1000円)
カテゴリー3(バリューティア) :140ドル(約2万3000円)
カテゴリー4(エントリーティア) :60ドル(約9600円)
6月25日(木)日本対欧州プレーオフB勝者/ダラス:ランクC
カテゴリー1(プレミアティア) :500ドル(約8万円)
カテゴリー2(スタンダードティア) :400ドル(約6万4000円)
カテゴリー3(バリューティア) :180ドル(約2万9000円)
カテゴリー4(エントリーティア) :60ドル(約9600円)
ラウンド32
カテゴリー1(プレミアティア) :610ドル(約9万7000円)
カテゴリー2(スタンダードティア) :490ドル(約7万8000円)
カテゴリー3(バリューティア) :235ドル(約3万8000円)
カテゴリー4(エントリーティア) :60ドル(約9600円)
ラウンド16
カテゴリー1(プレミアティア) :770ドル(約12万3000円)
カテゴリー2(スタンダードティア) :605ドル(約9万6000円)
カテゴリー3(バリューティア) :295ドル(約4万7000円)
カテゴリー4(エントリーティア) :60ドル(約9600円)
準々決勝
カテゴリー1(プレミアティア) :1440ドル(約22万9000円)
カテゴリー2(スタンダードティア) :1015ドル(約16万1000円)
カテゴリー3(バリューティア) :680ドル(約10万1000円)
カテゴリー4(エントリーティア) :60ドル(約9600円)
準決勝
カテゴリー1(プレミアティア) :3170ドル(約50万1000円)
カテゴリー2(スタンダードティア) :2440ドル(約38万7000円)
カテゴリー3(バリューティア) :920ドル(約14万6000円)
カテゴリー4(エントリーティア) :60ドル(約9600円)
3位決定戦
カテゴリー1(プレミアティア) :1125ドル(約17万9000円)
カテゴリー2(スタンダードティア) :865ドル(約13万8000円)
カテゴリー3(バリューティア) :455ドル(約7万3000円)
カテゴリー4(エントリーティア) :60ドル(約9600円)
決勝
カテゴリー1(プレミアティア) :8680ドル(約137万6000円)
カテゴリー2(スタンダードティア) :5575ドル(約88万4000円)
カテゴリー3(バリューティア) :4185ドル(約66万4000円)
カテゴリー4(エントリーティア) :60ドル(約9600円)
※為替レートは2026年1月15日時点
(了)
【前編】を読む >>> FIFAがダフ屋化? 北中米ワールドカップ決勝のチケット価格は最高で137万円超! スタンドは富裕層だらけに...

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