「春高」の名称で馴染みの「JVA 第78回全日本バレーボール高等学校選手権大会」が1月5日から11日にかけて東京体育館で行なわれた。高校生たちがシーズンの集大成として、日本一を懸けて戦った晴れ舞台。

そこには将来の日本代表入りも期待される逸材たちの姿があった。

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■馬場柚希(ばば・ゆずき 大阪/金蘭会高校3年)

 まずは、7年ぶり4度目の優勝を飾った大阪の金蘭会から、大会の最優秀選手賞に選ばれた馬場柚希。身長180cm、最高到達点300cmのポテンシャル以上に光るのは、そのオールラウンダーぶりだ。

金蘭会ではミドルブロッカーだが、中学時代はサイドアタッカーとしてプレーしており、サーブレシーブを磨き続けた。実際、高校入学時から、ミドルブロッカーながら後衛でそのままレシーブに入ることもあった。

 それは、本人が望むスタイルだった。2022年には、「第14回アジアU18(ユース)女子選手権大会」にチーム最年少の14歳、唯一の中学生として出場。同年には「JOCジュニアオリンピックカップ第36回全国都道府県対抗中学大会」で最も将来有望な選手に贈られる「JOC・JVAカップ」を受賞した。

 その頃から常に「オールラウンダーになる」と口にしており、アタックはもちろんのこと、レシーブやブロックの質も高め、さらに海外遠征ではセッターに挑戦する姿勢も見せていた。それらは将来、世界のトップレベルで活躍することを見越してのことだろう。日本国内ではサイズに恵まれていたとしても、世界で戦うにはあらゆるプレーができることの必要性を本人はわかっている。

 金蘭会では1年時からレギュラー入りを果たし、並行してU19日本代表なども経験。

自身最後の春高でも、「いつもより緊張していないと言いますか......緊張よりもワクワクが勝っていると感じます」と、実に堂々としていた。

 春高では金蘭会の組織的なブロックを先導するように、前衛で相手の攻撃をしっかりとはばむ。攻めては高さを活かしたアタックに加えて、ネット上のボールを咄嗟の判断で相手コートの奥に押し込むなど、機転を利かせる場面も。自由な発想のプレーも、彼女のオールラウンドな面の一部だ。

 高校生活で有終の美を飾り、次のステージへ。近い将来、シニアの日本代表にその名が連なるに違いない。

■マクアリスター アイリーン心寧(ことね 神奈川/横浜隼人高校3年)

 金蘭会の馬場とともに、中学生時代に「令和4年度全国中学生選抜」の海外遠征メンバーに選出されたマクアリスター アイリーン心寧も春高で奮闘。神奈川の横浜隼人のエース兼キャプテンとしてチームをベスト16に導いた。

 アメリカ人の父と日本人の母を持つ彼女の魅力は、身長179cm、最高到達点295cmを活かしたアタック。幼少期に、テレビ番組『ライオンのグータッチ』(フジテレビ)の企画で元女子日本代表の大山加奈さんに指導を受け、メキメキと成長したという。春高の会場では、その成長を喜ぶ大山さんの姿もあった。

 U17日本代表の経験もあるマクアリスターは、横浜隼人ではトスを託されるポジションに就き、「自分が得点を決めることが、一番チームに流れを引き寄せられる」と話す。

しかし一方で、「ひとりで戦っていては絶対に勝てませんから。苦しくてもチームとして戦うことを大事にしています」と、キャプテンとして仲間との絆を武器に晴れ舞台を戦い抜いた。

 高校卒業後は渡米し、シラキュース大学に進学予定。「日本では経験できないような選手たちと一緒にプレーして、またひとつ成長したい。もっともっとバレーボールがうまくなれたら」と、笑顔で意気込みを語った。

 大学生活をアメリカで過ごした例で言うと、現在はヴィクトリーナ姫路に在籍する宮部藍梨がいる。ミネソタ大学での実績を引っさげて日本代表に選出され、パリ五輪出場を果たした。それに続くことができるだろうか。

■忠願寺莉桜(ちゅうがんじ・りおん 大分/東九州龍谷高校2年)

 アンダーエイジカテゴリー日本代表に"飛び級"で選出された馬場に続くように、大分の東九州龍谷で2年生エースを担った忠願寺莉桜もまた、世代を代表する選手と言えるだろう。

 中学2年時に、一学年上の馬場らに混ざって全国中学生選抜の海外遠征を経験。翌年には同遠征で参加したユース世代の国際大会「Nations Winter Cup」で日本を優勝に導き、自身は大会MVPに選出された。身長182㎝、最高到達点300㎝から放つスパイクはダイナミックで、いずれ日本代表のサウスポーエースになることを期待されている。

 名門・東九州龍谷で1年目からエースを担い、高い注目を集めた。それに足るだけのポテンシャルがあるのは誰もが認めるところだが、本人は「プレッシャーを大きく感じてしまうタイプ」と口にする。謙虚で、それでいて自分と向き合いながらコツコツと自信を積み上げてきたのだ。

 今回の春高では、大会中に「誰も私を見ていない、と思うようにしていました。注目されることがメンタル的にもきつい部分はある」とも明かした。だが、「以前だと、もっとマイナスな方向に自分で運んでしまい、プレーにも影響していましたが、それに潰されてしまうのは違うかなと思うようになったんです。ここは成長の通過点で、私のゴールではない。やるしかないですし、それを乗り越えることで自分の成長につなげたい」と力強く語った。

 結果的に、チームをベスト4に導いたが、それでも「まだまだ足りないし、まだまだできる。この結果に満足せず、自分にも謙虚になって、もう一度スタートしたい」と振り返った。トッププレーヤーになることへの思いはますます高まっており、「まずは来年、日本一を獲って、その先の自分につなげていきたい」と意気込んだ。

■大雲舞子(おおくも・まいこ 東京/八王子実践高校1年)

 将来が楽しみなニューフェイスたちも、春高でデビューを果たした。

 まずは、東京の名門・八王子実践で、1年生にしてエースを担う大雲舞子。一貫校の八王子実践中学3年時の「JOCジュニアオリンピックカップ第38回全国都道府県対抗中学大会」で「JOC・JVAカップ」を受賞し、全国中学生選抜の海外遠征も経験。身長185㎝、最高到達点295㎝と高さのあるアタックが魅力だ。

 同校のOGであり、2012年ロンドン五輪銅メダリストの元日本代表、狩野舞子さんと同じ名前であることから、"二代目舞子"と呼ばれることもあり、会場ではツーショットも実現。大雲自身は「実績ある先輩と同じ名前ですが、それにふさわしい活躍ができるようになれたら」と語った。

 今回の春高は準々決勝で敗退。「相手の高いブロックやディフェンスに対して、コースの打ち分けや前後の揺さぶりなど、取り組んできたことを出せなかったのが悔しい」と涙を浮かべた。その悔しさを糧に、さらなる成長を自らに課す大雲は、「来年、必ずこの舞台に戻ってきて、自分にトスが集まってきた場面で絶対に決めきります」と誓った。

■頼冨果穂(よりとみ・かほ 鹿児島/鹿児島城西高校1年)

 大雲とともに、中学3年時に「JOCジュニアオリンピックカップ第38回全国都道府県対抗中学大会」で「次世代有望選手」に選ばれた頼冨果穂も、初の春高でインパクトを残した。

 鹿児島の鹿児島城西を32年ぶりの春高出場へ導いた1年生エースで、持ち味は、なんといっても跳躍力。身長は174cmながら、最高到達点は300cm。しっかりと助走をとってからジャンプし、最高打点からアタックを繰り出す。

 今回の春高には、「32年ぶりの出場なので、鹿児島城西の名前をほとんどの方々が知らないと思うんです。だからこそ大会で勝って、周りが驚くような結果を出すことで学校の名前を全国に広めていきたいです」という思いを胸に臨んだ。1回戦を勝利し、2回戦は山口の誠英の守備の前に敗れたものの、鹿児島城西、そして頼冨果穂の名前は確かに春高の舞台に刻まれた。

 頼冨は、全国中学生選抜に2、3年時の2年連続で選出され、2024年には「女子U17世界選手権大会」にも出場。夢は「五輪で金メダルを獲ること」と「全国大会でも世界でも戦える選手になること」。今まさに、その道を歩んでいる真っ最中だ。

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