関田誠大インタビュー 後編

前編を読む>>関田誠大が語る、移籍したからこそ感じたサントリーの強さ「『これは強いはずだわ』と思いました」

【休養中に感じていたこと】

 1月26日現在、SVリーグで首位を走るサントリーサンバーズ大阪にあって不動の司令塔として活躍している関田誠大だが、2025年は故障した右足関節の手術に踏みきり、多くの時間をリハビリに費やした。病名は「インピンジメント症候群」と「右足関節外側側靭帯損傷」で、そのため日本代表での活動を休養していた。

 

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 現在、手術後のコンディションはどうかと尋ねると、明るい表情でこう語る。

「順調ですよ。もともと持っていた痛みなんですが、それをクリーニングしたという感じです。痛みがひどかったピークは2019年ですかね。ずっと手術をする時間がなく、休まずにプレーしてきましたから」

 もともと捻挫癖もあり、じん帯も緩んでいたそうで、不安のあった個所についてもこの機会に手術で再建したと振り返る。

 これほど大きな故障でバレーボールを休んだことはない。小学生のときから毎日、ずっと生活の一部にあったバレーボールという競技を、コートの外から見たとき、関田の目にはどう映ったのだろうか。

「あまりバレーボールに対する気持ちというのは変わってないですね。外から応援しているっていう感じです。よく皆さんから『プレーしたくてうずうずしませんか?』と聞かれたんですけど、全然なかったですね(笑)。日本代表の試合はいちファンというか、観客として観させてもらいました」

 関田を欠いた日本代表はネーションズリーグでベスト16。続く世界選手権は予選ラウンド敗退に終わった。2024年のパリ五輪でベスト8入りを果たし、新監督のもと、2025年はネーションズリーグ、世界選手権と、いずれもメダル獲得を目標に掲げていたことを考えると、不本意な結果に終わっている。

 関田の不在を嘆くバレーボールファンの声も多かったが、関田は日本代表のメンバーに対して配慮を見せる。

「そもそも僕は(何かを)言える立場にありません。実際、自分が代表でプレーしていたときには大変だなって思うことが多かったので、こればかりは本当に中の人たちにしかわからないこともたくさんあります」

 国際大会の結果への言及を避けた。

「今はSVリーグの最中で、そのことで頭がいっぱいです。これは毎年そうなんですけど、SVリーグの時期はSVリーグのこと。代表の期間は代表のこと、それぞれに全力なので、今は日本代表のことはあまり考えられないですね」

 ただし、これだけ所属チームが好成績を残せば、再び日本代表に招集される可能性も高くなる。

「今シーズン、個人的に感じている課題はあります。トスの質とか、トス回しとか。そういう課題を消化しながら戦っていきたいなと思っています。配球に関しては、どうしても試合を重ねるごとにデータも集まっていくので、相手が対策を考えてくるなかでも、しっかり攻撃を決めていくことが大事だと考えています。それを克服しながら、改善していくのが課題です」

 まずはセッターとして日々、向上することが目標だと語る。

【セッターとして日々、努力は惜しまない】

「試合数が多いので、いろいろ試しながら、その都度、フィードバックしていきたいです。

それに『もっとうまくなりたい』という気持ちがありますから」

 試合では常に冷静に、安定したトスを供給する関田は「天才」と評される機会が多い。確かにジャンプ力や反射神経など先天的に持っている能力も多いが、彼を支えているのは限りのない向上心と、そのために続けてきた努力の量だ。

「努力しているねと褒められることがあっても、『いや、これが普通だ』と思っちゃうんですよ。特に『努力しないといけない』とは思ってないですね。足りないと思うところがあるから、練習するだけで、それを続けないとうまくなれないと思っているからです」

 現在、32歳。そろそろベテランと呼ばれる域に達しようとしている。バレーボール界全体では次世代司令塔の成長が待望されているが、関田は自身の立ち位置をどう考えているのだろうか。

「後輩たちが頑張っているなぁという思いと、僕ももっと頑張らなきゃいけないなぁという思い、どちらもあります。ただ、ライバル視はしていません。自分は自分、まずは、自分のやるべきことをやろうという感覚です。比較をしたくないんですよね。同じセッターの選手からは刺激をもらえますけど、変な意識はしていないです」

 近代バレーでは相手チームの特徴によって、戦略的にセッターを交代させることもある。

その場合は同じ特性を持つセッターより、まったく違う配球、考え方をするセッターを複数、有するチームのほうが有利だ。「セッターって各々にその人のよさがあると思います」と関田が語るのは、そういったチーム戦略の一部としてセッターというポジションを俯瞰しているせいかもしれない。

 SVリーグはレギュラーシーズン全44試合を戦い、上位6チームがチャンピオンシップに進むことができる。現在、好調なサンバーズではあるが、昨年の例(シーズン首位の大阪ブルテオンがセミファイナルで敗れる)もあるように、レギュラーシーズンの勢いをそのままチャンピオンシップで発揮できるとは限らない。

 相手を観察し、相手のディフェンス戦略を分析し、味方のアタッカーを最大限生かす――。勝ち進めば勝ち進むほど、これまで日本代表で見せてきた関田の手腕が重要になってくる。

 小学校から大学まで、すべてで日本一を知る関田にとって、悲願ともいえるトップカテゴリーでの優勝。その目標を叶えるための戦いは続く。

Profile
関田誠大(せきた・まさひろ)
1993年11月20日生まれ。東京都出身。身長175cm。ポジション・セッター。


小学生1年生の頃からバレーボールを始め、東洋高校では1学年上の柳田将洋とともに春高バレーで優勝。中央大学時代はインカレで連覇を果たし、主将を務めた4年時はMVPにも選ばれた。パナソニックパンサーズ、堺ブレイザーズ、ポーランドリーグ、ジェイテクトSTINGS愛知を経て、現在はサントリーサンバーズ大阪で活躍中。日本代表としては2016年に初選出され、2019年頃からは中心選手として欠かせない存在となっている。

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