スルーパスに反応し、三笘薫が左インサイドで裏に抜けた。正確なファーストタッチでボールの軌道を自らの進行方向へ。
三笘は、クロスを選択した。しかし、2タッチ目に左足から放たれたボールは、ゴール正面に走り込むCFダニー・ウェルベックの頭上を越えた。スピードも高さも、ありすぎた。蹴った当人が、「しまった!」と言うかのように、思わず両手で頭を抱えていた。
結果的に逆転負け(1-2)を喫するブライトンが、前半に奪ったリードを2点に広げるチャンスを逃した一場面は、三笘の現状を表わす好例でもあった。
左足首のケガから約2カ月ぶりの戦列復帰が叶ったのは昨年12月上旬のこと。その後、6試合目のリーグ戦出場で、先発は4試合目となった左ウインガーは、まだ100パーセントの状態ではない。三笘らしからぬ姿は、タッチライン沿いでプレッシャーを受け、簡単にボールを失った前半41分などにも見られた。前節のボーンマス戦(1-1)では、本人が「ミスも多いですし、追いついてくれたのでよかったですけど、自分のなかで課題も多い」と認めていた。
もちろん、トップクラスの選手らしく、己に厳しくあるが故の発言ではある。ブライトンの"実力者"に対する周囲の信頼と期待は、続くフルハム戦もフル出場だった事実が物語っている。本人も、責任は十二分に承知の上だ。
「プレーで返さないといけなかったですけど、期待外れかなと思います」と反省していたのは、復帰後初のホームゲームとなった第17節サンダーランド戦(0-0)後のこと。後半にベンチを出た三笘は、総立ちの拍手喝采でホームの観衆に迎えられていたのだった。
【ウインガー対決は相手に軍配】
昨年9月上旬以来となる今季2得点目を記録した第21節マンチェスター・シティ戦(1-1)後は、開口一番に「やっと(点を)取れたのはありますけど、ケガをしてチームを離れてもいたので、これから取らないといけない」と、決意を口にしていた。
ゴール自体は見事なフィニッシュだった。ブロックを試みる相手選手を、GKの反応を遅らせる道具として利用し、その股間を抜いてゴール右下隅に決めている。ただし、本人が「ああいう形をもっと増やさないといけない」と話していたように、83分間のピッチ上で、ほかに貢献らしい貢献が見られなかったことも事実だ。
総体的には、シティの左ウイングとして90分間、ブライトンに対する脅威となったジェレミー・ドクの出来が上回っていた。その2週間半後、フルハム戦で互いに最後までプレーしたウインガー対決でも、敵の右サイドで先発したハリー・ウィルソンに軍配が上がった。両者は、対照的だったとさえ言える。
三笘と同じ28歳のウィルソンは、今季出場全26試合で9ゴール5アシスト(第23節終了時点)と好調。言わば、自信の塊のようだ。この日も立ち上がり25分間で、自らのミドルを含む3度のシュートチャンスに絡む存在感。最後は、後半アディショナルタイム2分のFKで左足一閃。セーブを試みたバルト・フェルブルッヘンの手を押し退けてゴール左上隅に飛び込む、逆転の23メートル弾を決めた。
一方、三笘が本当に三笘らしかったのは、前半30分のシュートシーン程度に限られる。ホットラインとも呼べる、CBルイス・ダンクからのロングボールに呼応してゴール前に抜けると、抜群のコントロールから左足でのシュートに持ち込み、相手GKにセーブを強いている。
もちろん90分間、チームのために最善を尽くしてはいた。プレッシングで敵のボールロストを誘発したのは開始早々の3分だった。
ブライトンはその2分前に追いつかれたばかり。三笘は、カウンターで自陣内からドリブルで中央を上がると、相手DF3人の注意を引きつけてデリケートなスルーパス。反応したウェルベックのシュートはゴール右下隅に転がり込んだが、VARによりオフサイドの判定が下り、勝ち越しのアシストは幻に終わった。
ほかにも、冒頭で触れたシーンの直後、味方がファーサイドでボールをリサイクルした流れからのクロスを、ジャンプのタイミングもいいヘディングで中央に折り返し、惜しくもウェルベックが合わせ損ねるなど、好機を演出してはいた。
しかしながら、冒頭の場面にしても、本来の三笘であれば、そもそも左足でのクロスではなく、もう1タッチで切り返し、右足でカーブをかけたシュートでファーポスト内側を狙っていたのではないか。その時間的余裕はあったように見受けられた。現時点の三笘には、それだけの「自信」が感じられないプレーが見られる。
この2文字が当人の口をついたのは、年始の第20節バーンリー戦(2-0で勝利)後だった。復帰後初めてスタメンに名を連ねた一戦では、今季、ミランからプレミアに戻ったベテラン右SB、カイル・ウォーカー(元マンチェスター・シティ、トッテナムなど)とのマッチアップが実現した。だが三笘自身は、「数回ありましたけど、抜きにいけるような相手ではなかったかなと思いますし、もう少し自信がついたらいければ、と思います」という反応だった。
その後、さらに先発3試合を重ねている三笘だが、まだ"心"のコンディションも回復途上にあるようだ。
月末の同節は、ワールドカップイヤーである2026年のひと月目の終了を意味する。
復帰初戦となった昨年12月の第16節リバプール戦(0-2で敗戦)後、「ワールドカップどうこうではなく、まず自分がピッチに立つことでアピールしないといけない。そこで出ない限りは選ばれないと思いますし」と語っていた三笘。年始の試合後には、新年に期するところを聞かれ、「とにかく勝って上位に行くことと、僕自身、コンディション上げていくこと」と答えていた。
ブライトンは第23節を終えてリーグ12位。6ポイント離れている目標の欧州戦出場圏(6位以内)へと浮上するため、そして今夏の日本代表がワールドカップ16強の壁を破るためにも、心身両面における三笘の完全復活が待たれる。

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