先日、U-23アジアカップを制したのは、ひとつ下の世代のU-21日本代表だ。しかもそのチームには、欧州でプレーする同世代の選手がほとんど含まれていなかった。
小杉啓太(19歳)/アイントラハト・フランクフルト(ドイツ1部)
実直で責任感の強いリーダーだ。どんなに注目されても、いくら周りから高い評価を受けても、自分の信念とスタンスを曲げない。口癖は「実力が追い付いていない」。昨年9月のU-23アジアカップ予選で、その真意をこのように話していた。
「他人の評価やいろんな移籍の噂が立っているなかで、評価が先行して実力が伴っていない部分もある」
2023年秋のU-17ワールドカップで日本代表のキャプテンを務め、左利きの攻撃的なSBとして存在感を示したのは間違いない。一方で当時所属していた湘南U-18では高校在学中にトップチームでプレーする機会は得られず、絶対的な立場ではなかった。卒業後はトップ昇格や、大学進学の選択肢があったなか、選んだのは海外挑戦。トライアルを受けてスウェーデン1部のユールゴーデン入りを勝ち取り、2024年3月から新たなステージで挑戦を続けてきた。
入団してからしばらくは出場機会を得られなかったが、同年夏以降にポジションを掴んで出番を確保。UEFAカンファレンスリーグでも活躍し、昨夏から欧州5大リーグ移籍が現実味を帯びてくるようになった。
自認するそのギャップを埋めるべく、常に向上心を持ってプレーする。そのスタンスはどこに行っても変わらない。圧倒的な運動量、正確な左足のクロス、戦術理解度の高さ、リーダーシップ。どれをとっても世代屈指のレベルにある。
そして今年1月に、ドイツの名門アイントラハト・フランクフルトに引き抜かれた。お披露目の最初の記者会見では、ドイツ語で挨拶をして始め、その後は完璧な英語でメディアの質問に応じている。その姿は、とても10代のアジア人選手とは思えないほど、堂々としていた。大物の雰囲気を漂わせるレフトバックがここですぐさま活躍することになれば、A代表入りはもちろん、今年6月のワールドカップ出場も夢物語ではないだろう。
【スペインとオランダでプレーするふたりの守備者】
喜多壱也(20歳)/レアル・ソシエダB(スペイン2部)
189cmの上背を誇る左利きのセンターバック。京都サンガのアカデミーで育ち、高校3年生だった2023年3月8日のJリーグカップ・ガンバ大阪戦でデビューを飾った。この年は1試合の出場に終わり、正式にトップチームとプロ契約を締結した翌シーズンもJリーグカップで1試合、天皇杯で2試合出場したのみで、なかなかピッチに立てなかった。
プロ2年目の昨季もJリーグカップで1試合にフル出場したが、リーグ戦は出番なし。苦しい時期が続いたが、昨年2月に参加したU-20アジアカップのプレーが評価され、リーグ戦未出場ながら、久保建英の所属するレアル・ソシエダへ期限付き移籍を果たした。
Bチームが籍を置く2部リーグで出場時間を伸ばし、開幕からCBのレギュラーとして13試合に出場。昨年9月のU-20ワールドカップでも正確なフィードとエアバトルの強さを示し、年明け早々の1月4日にトップチームでベンチ入りを経験。ペッレグリーノ・マタラッツォ新監督の初陣で抜擢され、新たな刺激を得た。
前向きな性格でコミュニケーション能力が高い。とはいえ、調子に乗りやすい性格ではなく、謙虚に研鑽を積んでいる。「自分がすごいと思ったことはない」と、常に地に足がついている。
2028年のロサンゼルス五輪や、その最終予選を兼ねた次回のU-23アジアカップへの出場は所属クラブ次第となるが、大きな才能の伸びしろは無限大。当たり負けしないヨーロッパ仕様の身体が出来上がれば、早期のトップチームデビューもあるか。
高橋仁胡(20歳)/アルメレ・シティ(オランダ2部)
バルセロナでアルゼンチン人の父と日本人の母の間に生まれ、FCバルセロナが世界に誇る下部組織ラ・マシアで13歳から研鑽を積み、ラミン・ヤマルともプレーした。正確な左足のキックと推進力を身上とし、バルサ仕込みのポジショニングや状況判断の良さも目を引く。
U-15スペイン代表に選出された経歴を持つ一方で、年1回ほどのペースで関西出身の母の地元を訪れており、日本への想いは強く、日の丸を背負ってプレーしたい気持ちは子どもの頃からあった。
その願いは2022年6月に叶った。モーリスレベロトーナメント(元トゥーロン国際大会。アンダー世代の国際大会)で初めて世代別代表に招集されたのだ。そこで評価を高め、翌年3月には飛び級でU-20アジアカップに出場し、同年5月にはU-20ワールドカップにレギュラーとして出場。その後はケガに泣かされ、フベニールAからバルセロナBへの昇格は叶わなかった。
そこで日本行きを決断し、24年7月にセレッソ大阪に加入。1年目はJ1デビューを飾れなかったが、昨季はオーストラリア人のアーサー・パパス監督のもとで出場機会を増やした。昨年9月のU-20ワールドカップは右第5中足骨骨折が完治せずに参戦できなかったが、J1では22試合に出場。大岩剛監督が率いるロサンゼルス五輪世代のチームにも、昨年11月のイングランド遠征や年末の国内活動で招集を受け、年明け早々にオランダ2部のアルメレ・シティFC──2025年10月にC大阪の主要株主でもあるヤンマーホールディングスが買収──に期限付き移籍が決まった。
本稿執筆時点では新天地でデビューを飾れていないが、そのオープンな性格でポジティブに日々を過ごしているだろう。英語とスペイン語を流暢に話せるため、コミュニケーションに不安もない。
【コミュニケーション能力に優れるサイドアタッカー】
齋藤俊輔(20歳)/KVCウェステルロー(ベルギー1部)
1年前は当時所属していた水戸でも、U-20日本代表でも絶対的な主力ではなかった。昨年2月のU-20アジアカップではコンディションが整わず、出場機会は限定的。だがそこから目覚ましい成長を遂げ、ロサンゼルス五輪世代を代表するサイドアタッカーのひとりとなった。
転機になったのは、昨年6月のモーリスレベロトーナメントに選出されなかったことだ。3カ月後にU-20ワールドカップ開幕を控えていたなか、危機感を持った齋藤はそこから一気に評価を高めていく。機動力を生かした仕掛けと思い切りの良いシュートでゴールを重ね、水戸でレギュラーの座を獲得。同年7月にはJ2の月間MVPに選ばれ、U-20ワールドカップのメンバーにも選出された。
本大会ではゴールこそ奪えなかったが、エジプトとの第1戦、チリとの第2戦ではエリア内での仕掛けからPKを獲得するなど、チームの連勝に貢献。クラブに戻ってからも安定したパフォーマンスで、J2優勝とJ1初昇格の立役者となった。J2のベストイレブンにも選ばれた成長株は、大岩剛監督が率いるロス五輪世代のチームにも継続して招集されており、シーズン終了後には海外挑戦を決断。ベルギー1部のウェステルローに完全移籍を果たし、早速デビューを飾った。
サイドだけではなく、トップ下やインサイドハーフでもプレーできる技巧派は、ピッチ外では人なつこく、先輩に可愛がられるタイプでもある。コミュニケーション能力に優れ、言葉の壁も乗り越えられそうだ。プレースピードやフィジカル面は課題だが、異国の地で揉まれれば、ステップアップも見えてくるだろう。
(つづく)
>>> 後編を読む【欧州で揉まれる若き日本人フットボーラーたち ブンデスリーガに引き抜かれた出世頭は攻撃陣にも】

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