ネイマール「最後の戦い」(前)
ネイマールの人生はまるで一本の映画のようだ。いや、ネイマールは自分が映画のなかの主人公であるかのように生きてきた、と言ったほうがいいかもしれない。
この2月5日でネイマールは34歳になる。映画もついに終盤に入ろうとしている。最終章のテーマははっきりしている。ネイマールがこれまでも何度も公言してきたこと――再びブラジル代表のユニフォームを着てワールドカップという舞台で戦うことだ。それはほとんど「執着」と言っていいほどだ。
ネイマールが2023年に結んだアル・ヒラルとの契約は想像を絶する好待遇のものだった。莫大な年俸(約100億円)、好きな時に利用可能なプライベートジェット、専属スタッフ、豪邸、5人の常勤スタッフ(そのなかにはプロの料理人も含まれる)、勝利やタイトルごとのボーナス、さらにはSNSでの1回の投稿ごとにも報酬が支払われていた。
こうした待遇に惹かれ、かつてイングランド、スペイン、イタリア、ポルトガルの多くのクラブが欲しがったブラジル人は、サッカーのレベルとしては二流、三流のサウジアラビアでプレーする道を選んだ。世界のエリート選手のなかで、最も若い年齢でサッカーの中心から去ったひとりとなった。
これにより、人々は彼を「サッカー界の堕落の象徴」とみなした。
おまけにサウジアラビアのピッチでも、ほとんど何も起きなかった。負傷のため、17カ月で公式戦に出場したのはわずか7試合。得点は1ゴールのみ。さすがにサウジアラビアのサポーターも批判を始め、現地メディアも厳しい目で彼を見るようになった。
この頃になるとヨーロッパでは、ネイマールは「ただの色物」としか扱われなくなり、彼の映画はほぼ終わったように見えた。
だが、ここでネイマールはすべてを覆そうと試みる。
【12月31日に契約を延長】
2025年1月、再びサッカーの中心に戻るため、ネイマールはサウジアラビアを去る決断をする。契約の満了を待つことなく、ネイマールはまたチームを去った(サントスやバルセロナでも同様だったが)。
今回、彼が行ってしかるべきクラブは世界でただひとつ、古巣のサントスだった。彼のすべてが始まったクラブで、ペレの背番号10を背負うという夢を追い、そのために月給が10分の1になっても構わないというストーリーは、母国に美しい物語として伝えられた。ただ現実には、それはネイマールの助けを求める叫びだった。
ただし、さすがのサントスもネイマールの体調には不安があったようで、最初の契約はわずか6カ月だった。そのあともまた6カ月だけ更新した。様子を見ながらのテストのようなものだった。
実際、フィジカルコンディションは相変わらず低調で、サウジアラビアで見たのと同じようなシーンが繰り返されることも多かった。「もう限界だろう」と、誰もが思うようになりつつあった。それでもネイマールは昨シーズン、リーグ戦、カップ戦など合わせて28試合に出場し、11ゴール、4アシストを記録しており。スター選手の数字ではないが、まだ「生きている」ことを示した。そして、彼が本当にいいプレーを見せた終盤の4試合が、サントスを降格から救った。
ネイマールは、昨年12月のブラジル全国選手権終了から数日後、再び左膝の手術を受けた。膝、足首、筋肉――彼のキャリアにおける手術はすでに10回以上になる。その数字は、彼がキャリアのなかで、延べにしてほぼ4シーズン分をピッチ外で過ごしたことを物語っている。
それでも、彼は契約を更新する。
それには大きな理由がある。2025年最後のインタビューで、ネイマールは今の自分をこう語っている。
「僕のキャリアには、プロジェクトの最後の部分がまだ足りていない。今、僕には最後の使命が残っている」
【「不可能に挑むスーパーヒーロー」?】
それはサントスでタイトルを獲ることではない。大金を稼ぐことでもない。彼の使命とはブラジル代表、そしてワールドカップだ。
2026年の初頭、ネイマールは自身のインスタグラムに、バットモービル(映画『バットマン』に登場する乗り物)仕様にデザインされた愛車とヘリコプター、そしてプライベートジェットとともに登場した(車は『ダークナイト』に登場するバットマンの車「タンブラー」のレプリカ。ヘリコプターはエアバスH145、飛行機はダッソー・ファルコン900LX、。総額は約5600万ドル/85億円と評価されている)。そしてひと言、「夢は叶えることができる」。
言わんとするメッセージは明白だ。
「2年のブランクもものとせず、代表に復帰する」――ネイマールは、自身を「不可能に挑むスーパーヒーロー」として見ているようだ。
彼が最後にカナリア色のユニフォームを着たのは、2023年10月17日、モンテビデオで行なわれたウルグアイ戦だった。その夜、彼は左膝の前十字靭帯を断裂し、半月板を損傷した。
ネイマールは担架に乗せられ、泣きながらピッチを去った。それ以来、セレソン(ブラジル代表)に彼の姿は830日以上ない。
代表復帰の夢。だが、控えめに言っても、状況は非常に厳しいものがある。ブラジル代表の新監督、カルロ・アンチェロッティは、これまで何度もネイマールと話し合いの場を持っているが、それでも彼を招集したことは一度もない。ネイマールは、いまのところアンチェロッティのワールドカップ行きのリストに入っていない。イタリア人指揮官の態度はシンプルかつ一貫している。
それは「もしネイマールがいいプレーをするなら、招集する」というものだ。
「ネイマールは、他の多くの選手と同じようにウォッチングリストに入っている。もし彼が代表に入りたいなら、(招集メンバーを最終決定するまでの残り)6カ月でフィジカルコンディションと力を示す必要がある」
論理的かつ冷静な言葉である。アンチェロッティは約束をしない。だが......。
(つづく)

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